ビジネス文書や雑誌で、当然のように使われる日本語の横書き表記だが、 どのような経緯で現在の形に定着したのかは手付かずの研究分野だった。 日本語学者の屋名池誠教授は、日本語の縦書き・横書きと、 日本の文化・社会とが影響しあう関係について研究している。 ※前篇はこちら 高井ジロル(以下、●印) 先生は小さいときから文字が好きだったんですか。 屋名池 誠(以下、「——」) そんなことはないですね。文字の研究者には文字好きが多いですが、私は並外れて好きなわけじゃない。一つ一つの文字じゃなくて、システムとしての文字に興味があるんです。もともと文法を研究していたことが影響したんでしょうね。文法もシステムですから。 書字方向の研究で調べた資料は、個人のコレクションが公の機関に寄贈されたものが多いんですが、なんでこんなものを集めたのかなぁと不思議に思っていました。だんだんわかってきたのは、コレクターという