2013年2月。「週刊少年マガジン」(講談社)に掲載された一本の読み切り漫画がネット上を大きくにぎわせた。そのタイトルは『聲(こえ)の形』。聴覚障害者のヒロインがクラスメイトから壮絶ないじめを受ける様を生々しく描くという、少年漫画雑誌という媒体としてはなかなか際どい内容である。絵柄のタッチも力強く、そして骨太。そのストーリー、画面構成、すべてが熟練の技を感じさせる読み応え十分な本作だが、執筆したのは先日初めての連載作品『マルドゥック・スクランブル』(原作:冲方丁)を終えたばかりの新人漫画家・大今良時。弱冠24歳の女流漫画家である。 本作はもともと、2008年の「第80回週刊少年マガジン新人漫画賞」に投稿された作品で、大今は新人賞を受賞。当初は「マガジンSPECIAL」No.12に掲載される予定だったが、その内容の際どさからお蔵入りとなってしまった。しかし、編集部内において、初代『聲の形』は