『大豆田とわ子と三人の元夫』は見たことのないドラマだった。各回の冒頭でダイジェスト映像を見せるなど、これまでのドラマの定石をことごとく覆し、次なる展開の予想は常に裏切られ、毎回未知の世界を見せてくれた。 終了した今も、あのドラマがなんだったのか、言語化するのは難しい。多くの人々がすごいドラマだったと感じているにもかかわらず、この語り難さはなんだろうか。ここではその理由を考えてみたい。 「雑談って、いります?」 そもそも大豆田とわ子(松たか子)とは何者なのか。「これ、歩いている大豆田とわ子」で始まる伊藤沙莉の独特なナレーションによってこのドラマは幕を開ける。ナレーションは、 「靴の中に小さい石がはいってしまった。靴の中にはいった小さい石を、靴を脱がずに取り出そうと試みる大豆田とわ子。体をねじる運動のところがいつも人と合わない。ここも合わない。おしゃれなパン屋にジャージではいれる大豆田とわ子。