日本の農業の活路をさぐるこの連載で、いつか取り上げるべきだと思ってきたテーマがある。植物工場だ。 メディアでは、新たにできた植物工場がひんぱんに取り上げられる。最新テクノロジーが凝縮されたようなその映像を見ると、ここから農業の未来が開けてくるような気がしてくる。 一方、農業者に取材すると、その評判はかんばしくない。「お日様はただなのに、なぜ電気で光を照らすのか」。植物工場は天候の影響を受けないから低コストという見方への反論も多い。 植物工場は、農業のことをよく知らない人たちが期待する幻想の技術なのか。それとも、既存の農業の閉塞感を突破する可能性を秘めているのか。植物工場の研究で第一人者の古在豊樹・千葉大名誉教授に聞いた。 「太陽光型」も植物工場? そもそも植物工場とは何ですか。 「世界的にみて植物工場と言えば、人工光を使うタイプのものだけを指す。ところが、漢字文化圏の日本、韓国、台湾、中国