夏休みになって,様々な企業が子ども向けのイベントを開催している。富士通では2008年8月2日,「富士通キッズイベント2008 夢をかたちにするしくみ」を開催した。小学4年生から6年生を対象に,コンピュータ科学を学ぶ催し物である。これがあまたある「パソコンで遊ぼう」といった,他のイベントと一線を画しているのが,情報教育なのにコンピュータを一切使わないという手法を取っているところだ。筆者は,子どもたちの学びの現場を知るため,イベント・スタッフの一員として体験取材を行った。 合言葉は「アンプラグド」 情報教育なのに,コンピュータを使わない。そんな逆説的な教育手法が注目を集めるきっかけになったのは,2007年9月に翻訳出版された,その名もズバリ『コンピュータを使わない情報教育』(発行:イーテキスト研究所)という本である(写真1)。原著は,ニュージーランドのコンピュータ科学の研究者Tim Bell博