「痴漢です」 電車内で女性の小さな声が確かに聞こえました。 夫婦が歩み寄り、「できることはありますか?」と声をかけると、女性はボロボロと涙をこぼし「この人が逃げないように見ていてください」と訴えました。 見ず知らずの女性のために行動した夫婦は、臨床心理士と弁護士。 被害者支援を行うこともある専門家でもありました。 (ネットワーク報道部・大窪奈緒子) 去年6月の昼下がり。津金由美子さん津金貴康さん夫婦は大阪から京都に向かう特急電車に乗っていました。 隣の車両から40~50代くらいの男性が足早に移動してくるのが目に入りました。そのすぐ後ろを、20代前半くらいの女性が男性を追いかけるように歩いてきます。 横を通り過ぎるとき、女性のかぼそい声が確かに聞こえました。 「痴漢です」 ボックス席に座ると、女性を無視して窓の外を見続ける男性。 周りの乗客も異変に気付いている様子でしたが、声をかける人はいま