世阿弥が残した『風姿花伝』を始めとする多くの著作は、演劇や芸術についての考えが述べられたものですが、世阿弥のことばの深さはそれだけではありません。今でいえば、「観世座」という劇団のオーナー兼プロデューサーでもあった世阿弥は、劇団の存続のためにはどうしたらいいかを考え抜きました。 それは役者の修行方法から始まり、いかにライバル劇団に勝ち、観客の興味をひくにはどうすべきかなど、後継者に託す具体的なアドバイスを記したものが、彼の伝書です。いわば、芸術のための芸術論というよりは、生存競争の厳しい芸能社会を勝ち抜くための戦術書ともいえるものです。 世阿弥は、観客との関係、人気との関係、組織との関係など、すべては「関係的」であり、変化してやまないものと考え、その中でどのように己の芸を全うするか、ということを中心に説いています。 「能」を「ビジネス」、「観客」を「マーケット」、「人気」を「評価」として読
今後、労働力不足がさらに深刻化する中、限られた労働力を活用するべく、生産性の向上が求められています。そうした中、働き手のボリュームゾーンを占める40歳以上のミドル・シニア層には、更なる躍進を通じて、企業組織を支える中核的な役割を担うことが期待されています。しかし、ミドル・シニア層の就業意識や躍進の実態については十分明らかになっていません。そこで、パーソル総合研究所では、法政大学大学院 石山恒貴教授プロジェクトリーダーの下、ミドル・シニア層の働き方や就業意識に関する実態、およびミドルからの躍進に影響する要因を定量的に調査分析するプロジェクトを発足しました。本レポートでは、同プロジェクトで実施した「ミドル・シニアの躍進実態調査」(※1)の結果、明らかになった主なトピックスを全7回の連載形式でお届けします。 第1回目となる今回は、「ミドル・シニアの躍進の実態」についてです。 現在、ミドル・シニア
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