Twitter

2017年7月31日月曜日

CiP2016

■CiP2016 
 CiP協議会発足から2年、ポップ&テック特区として多くのプロジェクト・活動が動き出しています。基礎はできてきました。政府、海外等との連携策に見るべき進展がありました。昨年度の成果を報告しておきます。

1) 政府予算プロジェクト
 政府の予算を獲得してプロジェクトを遂行する案件が3つ実現しました。純民間の取組として始まったCIPの意義を国も認め、プロジェクトベースで産官学連携を行う仕組みができました。

アーティストコモンズ
 経済産業省の平成27年度補正予算「地域発コンテンツ海外流通基盤整備事業費補助金」の著作権の権利関係情報集約化事業(音楽分野)

デジタルサイネージ
 総務省平成28年度事業「IoTおもてなし環境実現に向けた地域実証に係る調査請負」(竹芝地区)

世界オタク研究所
 経済産業省平成28年度コンテンツ産業強化対策支援事業(世界のコンテンツ消費者に関する実態把握調査)


2) 海外連携
 海外の政府や研究機関との連携が進展しました。今後、人材育成や起業支援などの具体的な連携策を講じていきます。

韓国政府
 韓国政府コンテンツ振興院と起業支援等を内容とするMOUを調印しました。2017年3月15日、ソウルにて調印式を開きました。

マレーシア等研究機関
 マレーシア政府が進める開発構想「イスカンダル」で中心的な役割を果たしている「イマジニアリング研究所」及びセルビア・ノヴィサド大学、セルビア・ズレニャニン市とMOU締結作業を進めています。

スタンフォード大学
 2016年11月17日、スタンフォード大学アジア太平洋研究センターのシン所長はじめ代表団を迎えたパーティーをCiPが竹芝で開催し、スタンフォード大学留学経験者を中心として50名超の参加がありました。


3) イベント構築
 CiP協議会理事との連携により、新種のイベント構築が進みました。街開き後の活動を形作るモデルとしていきます。

LIVE MUSIC HACKASONG
 理事会員のビルボードジャパンとCiP協議会が連携して約3か月にわたり、「ライブ体験の拡張」をテーマにアイディアソン、ハッカソンを実施しました。ビルボードライブ東京で開催した最終発表では計10チームが作り上げた技術を発表しました。

超人スポーツゲームズ
 内閣官房東京オリパラ推進本部「オリンピック・パラリンピック基本方針推進調査」の試行プロジェクトとして、東京タワーメディアスタジオにて第一回「超人スポーツゲームズ」を実施しました。

KMDフォーラム
 11月26日、慶應義塾大学にて行われたKMDフォーラムで、IT政策研究会、LIVE MUSIC HACKASONGのスピンオフイベントや、起業支援活動としてのビジネスコンテスト、キッズワークショップを開催しました。



 2017年度の方針は次回。

2017年7月27日木曜日

ドローンレース@仙台その2、やってまいりました!

■ドローンレース@仙台その2、やってまいりました!

JAPAN DRONE NATIONALS 2017
ソウルで開催される国際ドローンレース大会の日本代表選考会。
XEBIO ARENA仙台にて開催しました。
海外の男女トップパイロットも参戦しました。

昨年に続く第2回となります。
第一回の模様はこちらに。


FPVFirst Person View:一人称視点)のレース。
選手はパイロットと呼ばれます。
ドローンに取り付けられたカメラから送られるリアルタイム映像をHMDで見ながら操縦し、タイムを競います。
熟練になると100km以上の速さで飛ばします。


機体は最大330mm、プロペラは6インチ3枚、ラジコン向け電波を使用。
選手はアマチュア無線4級の資格が必要です。


主催の日本ドローンレース協会JDRAの小寺会長は「新しいスポーツだ」と言います。
電波を使い、デジタルの映像で、操縦する。
ITであり、VRであり、IoTなんです。


仙台市はドローンや自動走行に国家戦略特区として取り組むとのこと。
NTTdocomoや富士通などの民間スポンサーと自治体との連携で実現したイベントです。


小寺会長によれば、課題は2つ。
まず、電波。
日本ではアマ無線免許と開局申請が必要だが、韓国も中国も不要で、日本で国際大会を開催するのに難があるとのことです。
だから海外で行われる国際大会の予選のような位置づけになってしまうのですね。


もう一つは、資金。
パイロットの収入源を確保すること。
これは世界的な課題です。
有能な人たちがこの世界に憧れを持ってもらい、人材を育成・確保するには、おカネが回る仕組みが前提となります。
ライブイベント化と配信システムとでビジネス化したいです。


いずれもまさにeスポーツが直面しているのと同様、制度との調整とビジネス化の問題です。
役所との折衝や配信事業者との連携など、ぼくらが役に立てることもありそうです。
やりましょう。


ドローンはいずれ自動化・プログラム化が進み、監視や防災など公益の役に立つ場面も増えるでしょう。
でも人力パイロットの腕も問われ続けるはず。
ドローン教育の必要性も高まると思います。


そこで、会場脇で、おもちゃのようなドローンを使っての教育ワークショップも開かれていました。
エンタメ化、ビジネス化と並んで教育利用も考えていきたい。
ポップ&テック特区CiPとしても取り組みたいテーマです。



ところで、レースでは、世界No.1パイロットのショーン・テイラーさんが準々決勝で敗退の波乱。敗戦の弁を語る。さて優勝は誰の手に。

・・・85日、TBSGYAOにて。お楽しみに。

2017年7月24日月曜日

オープンデータVLED勝手表彰2017

オープンデータVLED勝手表彰2017

 オープンデータVLED勝手表彰。各地のオープンデータ活動を勝手に表彰させていただきます。産官学連携による取組で、今回で5回目になります。

 いま政府はAIとIoTによる第4次産業革命に突き進んでいて、競争力の決め手はデータそのものだ、という共通認識が持たれるようになっています。ビッグデータをいかに利活用できる環境を整備するかが最重要の課題です。

 その中で、今回はこれまでとはずいぶん異なる主体が表彰されました。下記のラインナップです。


最優秀賞
官民データ活用推進基本法
各党議員(代表:平井たくや衆議院議員)

審査員の声:オープンデータ、ビッグデータによる価値創出を加速するエンジンとなる法律。政府データカタログ、政府標準利用規約2.0に次ぐ重要なマイルストーンが達成された。社会に対するオープンデータ推進の強い動機づけになる。今後この法律をもとに具体的な施策が続々と生まれることを期待する。

 平井議員は、議員立法で推し進めたこの法律がオープンデータを具体的に進めることになるだろうが、データを使えば国民生活が豊かになることを広く伝えていくことが大事だと指摘されました。それはわれわれVLEDが汗をかかなければなりません。宿題をいただきました。


優秀賞 4点

「ネ申 Excel問題」への取組
河野太郎衆議院議員

審査員の声:文科省の科研費申請に求められたExcel罫線のムダを排した議員の行動。長らく日本の生産性を落としてきた帳票の問題に政治家の立場から切り込んだ。使いやすいデータの提供のために避けて通れない課題であり、今後は他分野に対しても指摘していただきたい。

 これに対し河野議員は、役人に「やめとけ」とヒトコト言っただけのことだが、それで動くことがあれば他にもやるので教えて!とのこと。はい、いろいろ持ち込みます。



国税庁法人番号公表サイト及び法人インフォメーション
国税庁、経済産業省

審査員の声:ID・コード体系の管理と後悔は公的機関の役割そのものであり、これを機械可読な形式で提供するというお手本のようなサイト。法人番号の利用可能性は広く、有意義な社会インフラ。


厚生労働省によるNDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)のオープンデータ化
厚生労働省

審査員の声:47都道府県の個性の豊かさが日本の大きな魅力。ケガや病気の多さから見えてくる県民性を分析することで、地域の新しい宝や課題が発見できそう。


都道府県議会議事録横断検索「yonalog」及び地方議会議事録横断検索「議事ロックス」
Bitlet、小田恭央さん

審査員の声:地方議会の議事録というオープンデータを使ったうまい活用例。シンプルでわかりやすいサービスで、議会への関心アップに貢献した。



スポンサー賞
CiP協議会賞
ルヴァンカップ決勝(360°自由視点映像実証実験)
日本プロサッカーリーグ、キャノン
評:スポーツ観戦コンテンツの新たな可能性を示し、2020東京オリパラ大会に向けて、その応用が期待される。
副賞はクルン(360°歯ブラシ)。


融合研究所賞
除雪車情報のwebAPIによる公開と通れる雪道MAPの開発
会津若松市、トヨタIT開発センター、CODE for AIZU、会津大学、デザイニウム
評:雪国のニーズを反映し、データ保有者側とサービス開発者側がうまく連携、新たなサービスモデルを提示した。
副賞は伊達ウィスキーとシャーのマグカップ。(Data ShareをもじってDate とSharらしい)


ニューメディアリスク協会賞
神戸市・バルセロナ市連携World Data Viz Challenge 2016
神戸市
評:海外姉妹都市と連携したデータ活用ワークショップ開催は斬新で、データアカデミーなど神戸市その他の取組との相乗効果も期待でき、他都市の模範となる。


 ぼくのコメントです。

 勝手表彰の最優秀賞、1年目は鯖江市。2年目はオープンデータの地域連合。3年目は東京メトロ、公益企業。4年目は静岡市とトヨタ、自治体と民間企業のセットでした。
 そろそろ政府が取るかな、と思っていたら、立法府が当選。驚きましたが、順当です。優秀賞にも国会議員が入りました。
 想定を超えて広がりをみせるオープンデータ。法律や国会の後ろ盾も得て、新しい局面に入ったということでしょう。政産官学連携でオープンデータ大国の道を歩みましょう。

 受賞者のみなさまにはおめでとうと言うべきところ、毎年申し上げているが、これは勝手に表彰させていただいているので、受賞されたみなさま、受賞してくださってどうもありがとう。

2017年7月18日火曜日

[閲覧注意] いかーん、日本の若者は創造力を欲しとらん!!!

[閲覧注意] いかーん、日本の若者は創造力を欲しとらん!!!

Adobe、日本の若年層(12-18歳)に関する衝撃的な調査発表。
あまりのことにつき、報告します。
「日本のZ世代は世界に比べて「創造的」ではない?」


「自分は創造的か」
47%、独44%、英37%、日8%。
日本の若者だけが自分を創造的だと思っていない。



「将来、何かを「作る」仕事をしている」
83%、英75%、独70%、日43%。
日本の若者だけが創造する仕事に就こうと思いっていない。



「創造性が求められる仕事や職業はたくさんある」
77%、英75%、独73%、日31%。
日本の若者だけが創造力に期待をしていない。



「将来に向けて準備ができている」
73%、独61%、英49%、日16%。
日本の若者だけが将来を向いていない。



「将来の職業におけるネット上の行動の重要性」
81%、英80%、独73%、日39%。
日本の若者だけがネットの力を重視していない。



「アクティブラーニングや実習・演習が効果的」
78%、英65%、独43%、日35%。
日本の若者は旧来の暗記型教育でよいと考えている。


総じて言えば、自分は創造的ではなく、創造する意思も可能性も見出していない。
ネットの力も重視しておらず、旧来の暗記型教育でよいと考える。
いか~ん!!!!

昨年のAdobeの国際調査で、世界から創造的と見られているのに自分はそう思っていない姿が浮き彫りにされショックを受けたところでした。
各国の大人に対する調査でした。
「創造的なんだけど創造的じゃない日本」

しかし今回のは、もっと暗澹たる気分になります。
次を担う若者層の認識であり、マンガ・アニメ・ゲームやネットでクリエイティビティを育んできた、ポジティブな自画像を描いている、と期待する層のことだからです。

19世紀までの農業社会=土地。
20世紀の工業社会=資源。
どちらも「持たざる国」の日本は、それを戦争に求め、敗れた。
21世紀の情報社会=創造力。
その「持てる国」になるにはどうする。
持つ「意思」と「教育」だと考えます。

どうすれば若年層に「創造」の意思と可能性を持たせられるか、考えません?

Adobe様に指摘されるまでもなく。

2017年7月17日月曜日

LIVE MUSIC HACKASONG

■LIVE MUSIC HACKASONG

 このところデザインやテック系の学生から、商品やサービスのプロトタイプ作ってユーザ評価も良好という研究報告をよく受けるんですが、その研究の意味は何?と聞き返すことが多い。だって評価は良好に決まってるもん。タダで新しいモノ使わせてくれるなら。

 商品やサービスの評価は、その研究のスポンサーが投資に値するか、ユーザが購入するかですよね。前者はスポンサーに直接聞くべきだし、後者は潜在ユーザに「価格」を示して評価させないとリアリティーがない。研究としては成り立つのかもしれませんが。

 なにせちかごろ無料のものが多いから、価格を認識しないでユーザ調査したりするんですが、その場合、ではそのビジネスに誰が投資し、誰が広告を出稿してくれるのかが裏についてないとね。

 デザインにしろテックにしろ、それが実商品や実サービスを前提とする研究は、マーケットやビジネスを認識していないと、独りよがりになりがちです。ウチの大学院がマネジメントも柱にしているのはそういう意味です。

 さて、そんなことを考えつつ、ポップテック特区CiPビルボード「LIVE MUSIC HACKASONG」最終審査会。審査員長を務めました。会場のお客さまたちと一緒に、10組のプレゼンを審査しました。

 技術者やプログラマーが集中的にプログラムを制作するイベント、ハッカソン。普通は1日-2日で作り込みますが、今回は11月から3ヶ月かけて作りました。テーマは「ライブ体験の拡張」。Techを使ってPopをプロデュース。バーチャルでリアルを演出するものです。

 学生や起業家の卵たちが、プロのサービサーらとともに、商品やサービスのプロトタイプ作って、スポンサー候補のかたがたにプレゼンをします。学校や学会で、リスクを負わない相手に対してプレゼンするのとはわけが違います。ヒリヒリします。

 でも、エンタテイメントのイベントである点がこのハッカソンの特徴。楽しくやりました。

モデレーターは吉本興業カラテカの入江さんと、KMD佐藤千尋さん。電通ラボ東京、東芝、Napster、レコチョク様に技術提供をいただきました。審査会ライブはLINE LIVEで生中継しました。


ステージから投げキッスするとその先の客が持つウチワが光る。ライブの盛り上がりをスクリーンに示す。
音楽に合わせてドローンが飛ぶ。
Pepperがライブ360度映像をVR送信する。
アーティストの脳波データをステージで可視化する。
豊かなアイディアの実装がプレゼンされました。

優秀賞は3次元の自由な場所からライブ映像音声を再生するシステム。
最優秀賞はライブ映像の収録スイッチングを自動で行う装置。
いずれも即実用のレベル。乞うご出資!


出場者の中には慶應KMD、SFC、SDM、明治など学生もいれば、IT企業社員もいれば、ベンチャー起業家の姿もありました。純朴なテック系プレゼンの合間にはライブも。SETAさんと佐橋佳幸さんのデュオ、素敵。佐橋さん(松たか子さんの夫)、気さくなかたでした。


ぼくの総評:AR,VR、ドローン、ロボット、ウェアラブル、IoT、技術のおもちゃ箱でした。だけどやっぱりワクワクするのはライブ。ライブというリアルなポップと、バーチャルのテックを掛け合わせる新世界を2020年に向けて作ろう。参加型で。みんなで作ろう。またやりましょう。

2017年7月13日木曜日

データ流通にも競争政策を

■データ流通にも競争政策を

日経新聞の経済教室に、大橋弘・東京大学教授が「新時代の競争政策()IT世界の寡占化課題に・データ囲い込み 対応急務」という記事を寄稿している。重要なポイントを突いているので、引用しつつコメントします。

「データの集積と利用の間に相乗効果が働くとき、その関係はネットワーク効果を持つという。ネットワーク効果が働くときには、データを集積できる勝者とそうでない敗者の間で明暗がはっきり分かれることから、市場は寡占化する。」

  ネットワーク効果は本来、交通や通信などの物理的な網が、ユーザが増えるほど価値を高めることを指していたが、それがITでは上位層のプラットフォームやアプリケーションに主体が移り、さらにはその上を流れる「データ」に主体が移ってきた。とても重要なポイントです。

「欧米の競争当局も近年、データ集積と寡占化について注目している。昨年にはドイツの連邦カルテル庁とフランスの競争当局が連名でリポートを発信し、米連邦取引委員会もビッグデータをテーマとする文書を発表している。」

  日本ではIT政策・知財政策としてデータの利活用促進がこの1年のテーマとなりましたが、競争政策上の議論はさほど聞こえません。

「欧米での議論では競争政策上の懸念として、既存事業者のデータ囲い込みにより、新規参入者の新たなサービス提供機会が奪われる可能性が指摘されている。こうしたデータの囲い込みは新たなイノベーション(技術革新)の芽を摘み、産業活性化を妨げかねない。」

  GoogleAppleはじめ巨大国際IT企業に対し、EUや欧州各国は税制や競争政策上の課題をつきつけているが、その論点がデータにも広がっている。これに比べ日本の当局は、米IT企業に対するスタンスは緩いです。国内企業に適用されるルールが海外勢にはスルーされるケースも散見されます。

「AI技術がBtoB(企業向けサービス)にも急速に浸透するようになり、ものづくりの世界でもデータ集積に対する競争政策上の懸念が生じている。」

  AIの重要性が急激に高まる中で、その利用力の決め手が「データ」であることが共通認識となってきました。いかに自らデータを確保・洗練し、いかに外部のデータを利用・共有できるかがポイントになっています。

「国民・消費者がBtoCで、自らのデータがどのように事業者間で共有・活用されているかを事実上把握できない懸念を踏まえれば、財やサービスと同様に、データに関しても所有や利用のあり方を明確にすべきだ。」

  政府のIT本部では、データの所有・利用・流通のためのインフラ整備が論じられており、知財本部ではデータの利活用を促進するための知財システムが議論されています。ぼくは後者の共同委員長を務め、この春ようやく政策合意にこぎつけました。

「企業が保有するパーソナル情報を個人に還元して管理を促す仕組みとして、個人が自らのデータを管理する「パーソナル・データ・ストア(PDS)」という考え方が生まれつつある。この概念をBtoBの世界にも拡張しつつ、データ所有・利用権を確立していくための議論を政府全体で始めるべきだろう。」

  PDSは個人が自ら管理するという点で重要な概念。「データ取引市場」の整備と合わせて、データ利用・流通のインフラとなります。このあたりがIT本部中心に議論されていることがらです。

「わが国の産業競争力を強化していくうえでも、安心・安全にデータが流通・活用される環境の整備が急務だ。特定の事業者が不当にデータを囲い込んだり、不公正な方法により競争をゆがめたりする事態に対して、競争当局が調査・摘発できる体制と専門性を確立する必要がある。」

  なるほど。IT政策としてのインフラ整備と、知財政策としての知財システム整備の両輪を回せ、という主張をぼくはしてきましたが、さらに競争政策としても管理すべきという状況にあるということですね。ぼくの活性化論は甘く、海外の強者に対する政策論が必要ということでしょう。

「こうした競争的な基盤が備わって初めて、昨年12月に施行された官民データ活用推進基本法や今年5月に全面施行される改正個人情報保護法の下でのデータ流通・利活用が、真の国民生活の利便性向上につながると考えられる。」


  ぼくが普及委員長を務めるオープンデータ推進団体「VLED」の今年の勝手表彰グランプリは「官民データ活用推進基本法」に授けられました。基本法の理念を具体化するよう、環境整備が求められます。関係者のみなさま、よろしく。

2017年7月10日月曜日

thinkC 10周年!

■thinkC 10周年!

thinkC 10周年記念パーティー@神宮前スマートニュース。
福井健策さん宮台真司さんドミニク・チェンさん赤松健さんなどなどなど。

冒頭あいさつ申し上げました。

2006年のタイムマガジン、パーソン・オブ・ザ・イヤーは、表紙の鏡に映ったあなたの顔をPCが囲んでいて、左下に「You」とある。デジタルでパワーアップしたあなた、一人ひとりが情報を生産して発信して力を持つ社会。みんながデジタルになるWeb2.0が流行語になりました。

twitterができたのが2006年。iPhoneの登場はその翌年。thinkCが生まれたのは、スマホとSNSによるスマート革命、ソーシャル革命の前夜でした。thinkCはその到来を見越して、著作権をみんなのものにする運動でした。

しかし、みんなというのは、ユーザも、クリエイターも、業界も、みんなです。落としどころを見つけるのは難しい。だけど、みんなで考えるきっかけにはなりました。

みんなで考えていたら、TPPという、別のみんながやってきて、厄介なことになりました。すると今度はアメリカのみんなが、トランプさんを選びました。
また局面が変わります。引き続き、みんなで考えましょう。

同時にまた別の波が来ています。IoTとAIというやつです。AIが生む著作物や知財をどうするのか。福井さんらも参加する政府の委員会で、日本は世界に先駆けた議論を進めています。これまたthinkCのみなさんに相談を持ちかけることになるでしょう。

10年たって、話題は移れどネタは尽きません。
まだまだCをthinkしていくことになります。よろしくご指導のほどを。


写真おおきに。

2017年7月6日木曜日

ニコニコ超会議2017

■ニコニコ超会議2017

ニコニコ超会議@幕張。6回目。
ポップ&テック&参加型の、世界最重要イベント。
これまでもメモしてきました。
13年
14年
15年

昨年は来客がキャパ超えを見せる一方、工作系やアカデミックな色彩が薄まり、限界かな?と思われた超会議。
でも、またパワーアップ。
今年は、超・超人スポーツとして、初めて出展側に回りました。自分でやんなきゃね。


超・超人スポーツ。
ラスボス小林幸子さん、超柔道・篠原信一さん、超シンクロ・青木愛さんが参戦くださいました。


超・バブルジャンパーに篠原信一さんが挑戦するという。
そんなことしなくても超人なんですが。デカい。


超柔道・篠原vs上林博士。



超・対戦VR対戦HADO。超人どうしの闘い。ラスボス小林幸子さんはこの日のために対戦衣装を新調したという超スポぶり。



バーチャル上では小林さん側にラスボスが降りてきて圧勝でした。
ホッとしました。芸能界の秩序として。


超・ドローン、「ドボーン」by TBS。ドローンからの映像で場内の答えを探す早着陸クイズ。
さあて、これが新しいスポーツに育つかな。


超「ARMS」ブース。Nintendo SwitchのARMSは、超スポですよね。気になりすぎておりまして、ブース凸撃。いいね!



NTTはおかしな会社になりました。昨年に続き、超歌舞伎を出展。「花街詞合鏡」。伝統芸術(歌舞伎)と、世界に誇るポップ・キャラクター(初音ミク)と、先端技術(NTTのkirari)と、炎上型ユーザ参加(ニコ生)という、「これぞ日本」の凝縮イベント。よろずや!はつねや!電話屋!



昨年、安倍首相出席の官邸での会議で、これを2020東京大会のオープニングで、ポップ&テック伝統芸術の代表としてやりましょうという議論になりました。毎年進化を続け、実現しましょうよ。


NTTのウルトラフューチャーミュージアムも面白い。上下左右のアングルから違う視座で立体映像がみられる仕組みwith東北大学。このキャラ、「みかか」という。みかか、が何を表すか、ここに集う世代は知らないだろうな。


NTTのロボット大喜利。corevoがクラウドAIでお題にお答えするよ。


NTT☓ファナック。エッジコンピューティング、ロボットアーム。マッチョ。
攻めるね、NTT。


もう見て回る気力がないので、あとは目についたものだけ。
自民党はカレーでしたよ。党本部の会議に呼ばれると食わされるカレーですよ。
官僚だったころ、昼休みの部会を3件かけもちしてカレー3杯食った大臣をみて、ぼくは政治家にはなれないと思いましたよ。
そのかた早死にしましたが。


銀行もブース出してるのね。昨年のCEATECにもMUFJがフィンテックで出展してたもんね。
みずほはITAIの新会社を設立するというニュースもあるし。銀行がようやくフロントに立とうとしてますね。


このイベントはインフラ。

こういうことが毎日できるよう、ポップ&テック特区のCiPは場作りを進めます。

2017年7月4日火曜日

加計問題は岩盤官僚も乗った結果じゃないかと思えてきた。

■加計問題は岩盤官僚も乗った結果じゃないかと思えてきた。

加計問題でまだ政権や内閣府を叩くメディアは岩盤の何たるかをわかってないなと思いつつ、文科省を叩く側も構図が読めていないと思うことがあります。本件は文科省だって被害者じゃないかと思うから。 

だって文科省は大学の設置を自由化する方向で政策を進めてきていて、獣医など4分野だけが岩盤として残っているわけで。だけどそれは文科省の意思じゃないですよね。

岩盤側の農水・厚労の官僚だって、好んで岩盤を擁護しているわけではありますまい。本心で岩盤を守りたいとしたら変態ですよ。あくまで業界やそれをバックとする政治からのプレッシャーで動いている。 

ぼくも現役のころ、岩盤を守ろうとする役人とずいぶん闘いましたが、いずれのケースも、担当する業界や議員との板挟みで苦しみ、落としどころを探るものでした。業界や議員の意向を汲んで行政を進めないと左遷ですから。

たいてい厄介な案件は官僚が議員から吊し上げを喰らいます。民間の支持者から押された議員は、それに対峙する民間との調整を自分ですることは滅多になく、間に立つ官僚を吊し上げて仕事したことにします。民民を調整して落とし所を探るのが官僚の役割です。

今回の件、そういう意味では、文科・農水・厚労省ともさほどの抵抗や理論武装をせず、あわわあわわとなぎ倒されたように見えます。それは、ひょっとすると、岩盤崩しの阻止にわざと汗をかかなかったんじゃないか、とも思えてくるのです。

政権の意向で岩盤を崩そうというんだから、乗っとけ、となったんじゃないか、という気もするわけです。岩盤側に立ち向かうのは政権であって、政権の強さをいいことに、板挟みを避けたんじゃないかと。

官僚の気持ちを忖度するとですね。

だって課長・審議官級の協議で決しているわけでしょ。役所がホントにもめたら事務次官同士の折衝を経て官房副長官裁定まで行きますもん。ぼくも現役のころ、そんな案件を2回担当したことがあります(いずれも相手は通産省でした)。

現に流出した文書からは、政権側の政務が岩盤側の政治家と調整するさまが読み取れます。本件、官僚はあまり実質的な役割を果たさず、政治vs政治でコトを進めたんじゃないかと。

とすれば、けっこうこの国の政治は機能してるとも読めるのでした。


全方位に チョ~好意的に うがちすぎですかね。ぼくは。

2017年7月3日月曜日

知財計画2017、(ホントに)整いました。

■知財計画2017、(ホントに)整いました。

首相官邸にて、首相以下全閣僚出席のもと知財本部会合が開かれ、知財計画2017が決定されました。
ぼくは委員会の座長として出席しました。

ぼくの冒頭コメント:
 映画やテレビ番組などの海外展開は成果が現れ始めました。
 リオ五輪の閉会式で総理がスーパーマリオに扮した、そのメッセージも世界に伝わりました。
 2020年に向けてクールジャパンの発信を強めるべきです。
 そしてそれらコンテンツは、AIIoTなどの新技術と組み合わせる戦略を立てる段階にあります。
 今回とりまとめたAIやデータの知財システムの政策と、政府が同時に進めているIT戦略とを、車の両輪として回していくことをお願い致します。


知財計画2017、コンテンツ関連は、第4次産業革命への対応と、コンテンツ力の強化の2本柱。
具体項目は以下のとおりです。

I.第4次産業革命(Society5.0)の基盤となる知財システムの構築
1.データ・人工知能(AI)の利活用促進による産業競争力強化に向けた知財制度の構築

 ①データ利活用促進のための知財制度等の構築
  契約ガイドライン、データ取引市場、公正競争秩序の確保
 ②AIの作成・利活用促進のための知財制度の構築
  著作権制度、オープンデータ推進
 ③第四次産業革命の基盤となる著作権システムの構築
  権利制限規定、拡大集中許諾制度、教育情報化
など

2020年とその先の日本を輝かせるコンテンツ力の強化
1.コンテンツの海外展開促進と産業基盤の強化

 ①継続的なコンテンツ海外展開に向けた取組
 ②コンテンツと非コンテンツの連携強化
 ③クリエイターの創造環境整備
 ④新技術によるコンテンツ表現開発の促進
  ARVR、ドローン、AIなどを活用した制作支援
 ⑤模倣品・海賊版対策
  リーチサイト、サイトブロッキング等の対策
など

2.映画産業の振興
 ①映画産業の基盤強化のための取組
 ②海外展開の質的・量的拡大に向けた取組
 ③ロケーション支援の強化に向けた取組

3.デジタルアーカイブの構築
 ①アーカイブ間連携と利活用の促進
 ②分野ごとの取組の促進
 ③アーカイブ利活用に向けた基盤整備

AIやデータの活用促進策、コンテンツ海外展開や映画産業の振興に関してはこれまでメモしてきましたので略します。


2012年以来、知財計画には教育情報化の記載もあります。今年はデジタル教科書に関し、以下のとおり整理されました。著作権制度の対応がクローズアップされました。教科書・教材の著作権処理問題は民間の対応も促されるものであり、DiTTとしてもこの課題に取り組んでいきます。

「デジタル教科書の有する公共性等を考慮し、その学校教育制度上における位置付けを踏まえ、デジタル教科書についても、公表された著作物の掲載が必要な限度で認められるよう、必要な措置を講ずる。(短期・中期)(文部科学省)」

なお、学校教育制度上の位置付けを踏まえ、とあるとおり、これはデジタル教科書は学校教育法等の改正が前提となっています。その改正もこれからのこと。制度の整備がしかるべく進むよう、後押ししてまいりたく存じます。


関係閣僚から発言がありました。
文科大臣:柔軟な權利制限など著作権システムを構築。小中学校からの知財教育を推進。
経産大臣:特許法・不正競争防止法などの改正を検討。コンテンツ海外展開を推進。
総務副大臣:放送コンテンツの海外展開を2020500億円に目標を引き上げ。

オッと思ったのは、農水大臣の「農業は知識産業。スマート農業など攻めの農業を推進する。」という発言。どうした農水省。いいぞ農水省。
金融は知識産業、という金融大臣の答弁を。医療は知識産業、という厚労大臣の答弁を。運輸は知識産業、という国交大臣の答弁を求む。

委員からも発言。
川上委員:AIの開発は若手に予算を回そう。
五神委員:データ活用の規制緩和を。
迫本委員:タテ割り・単年度予算の打破を。
竹宮委員:アーカイブ対応の強化を。


これを受け、安倍首相は「知財創造教育を推進する。コンテンツによるインバウンドを強化する。デジタル・アーカイブの工程表を作る。」としました。知財計画の実行、よろしく。