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2021年8月30日月曜日

DX人材育成、どうする?

■DX人材育成、どうする?



デジタル立国ジャパン・フォーラム。

「デジタル人材育成に挑む」登壇しました。

DX人材はIMDランキング63位。どうする。

片山さつぎ議員、経産省情報経済課和泉室長、SOMPOシステムズ浦川会長、デロイトトーマツ森執行役員と。

ぼくのコメントです。


1.DX状況認識

日本は没落した。競争力ランキングが平成の30年で30ランクダウン、賃金も低い国になった。

コロナで明らかになったのは、日本が劣っていたのはデジタル対応。デジタルで没落した。


テレワークは30年前から課題だったが主要国最低水準。

産業界以上に深刻なのは医療、教育、行政という公共分野。現場はFaxで危機に対応できず、オンライン授業は5%しかできず、国の手続オンラインは7.5%。

20年前のeJapan戦略と昨年の骨太方針はどちらも行政・教育IT化が柱。20年止まっていた。

 

AIIoTで第4次産業革命、Society5.0というが、日本は第3次産業革命にもSociety4.0にも届いていなかった。

まずこれを認識することがスタートライン。


しかし希望を持っている。遅れたのは、昭和の成功体験が強すぎたから。

産業成長では日本型経営がもてはやされた。

医療・教育・行政は「世界に冠たる」分野とされていた。

デジタルで刷新するインセンティブが乏しかった。


コロナで気がついた。そして地力はある。

コロナでの死者は少なく、ロックダウンなしに乗り越えられそうで、安全・安心は毀損しない。海外の人は戻ってくる。

今のうちに対応して、この状況をチャンスに変えたい。



2.DX人材の課題

人材の層が急激に広がる。

デジタル人材=IT専門家はベンダー、SIer、デジタル企業に偏在した。

だが全業種・職種がデジタル化し、全員がデジタル人材となる。

ベンダーだけでなく、金融も物流も製造も建設も農業も。

IT部門だけでなく、経営も企画も営業も総務も経理も。


トップ、ミドル、ボトムの3層で厚くする必要がある。

トップ=専門家を大学で育てる。

ミドルのビジネス人材をリカレント、研修、大学カリキュラム編成で育てる。

それ以上に、長期的には、全員のリテラシーを上げることが重要。PC1人1台、プログラミング必修化でようやく始まる。


iUは情報と経営でイノベーションを起こす人材を育てるために作った。

IT企業で働くというより、全産業でお役に立つデジタル人材。

それを全員インターンで企業とともに育てる。

開学1年で連携企業が250社に達したのは、産業界からのニーズがある証。



3.人材育成の戦略

平井卓也デジタル大臣から地域DX人材育成策を要請され、iUでカリキュラムを設計している。だが1校ではムリ。産学連携で全国展開したい。

教えるのはオンラインでできるが、ハンズオンで学ぶ拠点が必要。自民党案は6~9か所を整備としている。各地の大学を活用したい。


ただ、長期的には楽観視している。

10年後、PCモバイル世代のいま40歳あたりが社長になる。中学生が就職する。それまで凌げば大丈夫だろう。

必要なのは、世代交代だ。 

2021年8月23日月曜日

美術館博物館政策に参加します。

■美術館博物館政策に参加します。


文化審議会博物館部会。第1回。

今期から参加します。

博物館、美術館、動物園などの振興を議論します。

博物館法の登録や学芸員の制度を改正する大きな宿題を負いつつ、コロナ後の博物館の在り方を展望するもの。

デジタル時代にアートが果たす役割について私見を述べていきます。

初コメント3点。



1.法改正。

長年の懸案をクリアするもの。支持する。

しかしなぜ登録のメリットがないところまで制度が動かなかったのか。

それは、制度改正に国民の支持があるのかという問いでもある。

村の問題で、国民にとっての優先度が低いのではないか。

法改正に至るには、優先度を上げる努力が必要ではないか。


いかに博物館法の登録・学芸員制度の改正が国民生活や社会経済にとって大事かの説得力が重要。

博物館がこう変わり、国民にこういうメリットがある、ということを表すべき。

中間まとめ冒頭「国民生活に欠くことのできない施設」と博物館は見ているが、国民がそう見ているかの厳しい評価・検証が必要。



2.博物館の役割。

WG浜田座長が下記のとおりまとめている。

「まもり、うけつぐ」 コレクションの保護と文化の保存・継承

「わかちあう」 文化の共有

「はぐくむ」 未来世代への引継ぎ

「つながる」 社会課題への対応

「いとなむ」 持続可能な経営

シャープでわかりやすく的確。


博物館がその役割を担わせてもらえるのか、が問題。

デジタルやネットワークで、知は急激に分散していく。

情報も活動もリアルの場からバーチャルに移行していく。

博物館の意義は逆に厳しく問われる。

それに対し、どういう価値を打ち返すのか。

情報化、ネットワーク化が真ん中の課題。



3.データの共有。

博物館政策のプライオリティを上げ、ビジョンを描くには、その前提となるデータを共有しておきたい。

利用動向:年間どれくらいの人/時間が利用するのか

市場規模:年間総事業費はどの程度か

収支構造:公共、企業協賛、入場料の比重はサステナブルか


それら基礎数字が、他の文化施設(教育・エンタメ)などと比べどういう位置か。

G7や中国など他国と比べてどういう位置か。

を踏まえて、

どう成長戦略を描くのか

サステナビリティを確保するのか

格差を是正するのか

という政策ないし戦略を描く必要がある。



と申し上げました。

門外漢の新顔にしては申し上げすぎですが、博物館法がかつて法改正に挫折したことなどを踏まえ、学界・業界の内輪話で満足せず、普通の行政分野で行われている数値による評価分析を踏まえた科学的な政策論にしたいと考えました。

議論、スタート。

2021年8月16日月曜日

通信・放送行政見直しのザワザワ

■通信・放送行政見直しのザワザワ



電波シンポジウム「東北新社・NTT接待問題の背景にあったものは何か?」に登壇しました。

NHK池田信夫さん、元通産省安延申さん、元NTTドコモ夏野剛さん、そして元郵政省のぼくという座組。

通信・放送独立委員会が論点。

話したこと、話さなかったこと含め、メモしておきます。


独立委員会は98年の橋本行革、2009年の民主党政権、そして今回、10年ごとに頭をもたげます。

ぼくは98年には郵政省の担当で、その話を潰しました。09年の時も反対しました。

理由は一点「規制強化になるから」。それは今も変わらない。

ただ、話が潰れて20年の結果が今回の騒動なので、今回は反対はしません。


まずこの20年の行政をどう評価するか。

総務省になってメディア行政は「よくやっている」と見ます。

デジタルインフラ整備、という主目的は海外に比べ成功し、郵政省時代より役所の評判はよくなった。

独立機構である米仏英はもっとキツくて不透明です。


逆に「弱くて狭い」のが日本の特徴です。

通信・放送行政の強大な権力からくる政官業の癒着、という問題の見立ては的外れで、弱くて狭いから今回のような事態を招いたとぼくは見ています。


日本の行政は弱いです。ユルいです。

90年代後半、料金・参入規制を抜本緩和し、電波を除き外資規制も撤廃。

テレビ番組で問題があってもせいぜい注意止まりで、米仏英のように番組打ち切り勧告や根拠不明の罰金が課せられるなんてことはない。

日本に合っている行政だと思います。


独立させたら暴走して、透明度も下がりますよ。

政治や政府からの独立だから、議員会館まわりも夏野さんの規制改革会議への付き合いもしなくてよくなる。

官僚にとっては望むところ。

規制だけするんだから、一生懸命規制しますよ。

海外を見ていたらそうなるだろうことは想像できます。


そして日本の行政は狭い。

郵政省には、通信・放送の他に、物流、金融、保険がありました。

98年行革で総務省になって郵政事業が切り離されました。

自治省・総務庁と合併したが交流せず、通信・放送だけになりました。

弱くて問題視もされず、同じ人たちが狭い業界と20年。その歪みが今回の問題です。


さらに問題は、この分野の政策アジェンダがもう変わっている、ということです。

通信も放送もデジタルインフラの整備が完了し、融合法体系の整備も10年前に済ませ、後は携帯値下げやローカル局経営問題など成熟市場の調整です。

事業者行政から消費者行政にシフトしています。


より重要なアジェンダは、IT政策と知財政策の融合、データ戦略、海外プラットフォーム対応、個人情報保護、セキュリティ対策、行政・教育・医療デジタル化といった事項。

これらはこの20年で政府各所で対応がとられてきました。

総務省は狭いままで、主役ではありません。


それはデジタル時代のタテ割り問題としても露呈しています。

通信・放送に、IT、知財、コンピュータ、著作権、セキュリティ、これらの役所がバラバラ。

さらにデジタル庁もできます。

規制・振興の分離なんてさらなる細分化じゃなく、大ぐくりのほうが重要です。


大ぐくりにする際、行政の見直しは必要。

スリム化やさらなる規制緩和を進めましょう。

市場監視という面では、総務省の紛争処理委員会の機能を強化すればいい。

番組チェック面は民間組織であるBPOの権限を強化すればいい。

行政に対する監視は、行政管理局と会計検査院の強化でしょう。

独立委員会は要りません。


規制強化につながる独立委員会を望むセクターはいないんじゃないですかね。

政策を担ぐスポンサーが見当たらない。

これは電波オークションも同様。

アカデミックな議論や政治談義があっても、産業界、利用者ないし外国など実現を求めるプレッシャーがないとリアリティーあるプランになりません。


ぼくは「文化省」を掲げています。次の省庁再編案として。

通信・放送はじめデジタル系の行政を大ぐくりにした強力な役所。デジタル庁を核にすればいい。

2018年に経団連が提案した「デジタル省」(情報経済社会省)とほぼ同じ内容です。

これは政策スポンサーがいるんです。


今回のざわざわが、デジタル庁創設を経て、その次のアジェンダとして、大ぐくりの行政組織論議に発展してくれれば生産的だと考えます。

2021年8月9日月曜日

ありがとう、東京2020。

■ありがとう、東京2020。



57
年ぶりの。誘致から8年。待ちに待った、五輪。

コロナ禍で賛否渦巻く中での成功。

無観客であれ何であれ、やってなかったと思うとゾッとします。

アスリート、スポーツは尊い。

ネガ反応も受けつつ、それを跳ね返し美しく闘うみずみずしい男女、尊敬します。

ありがとう。


ずっとディスプレイの前でした。
テレビ1台、PC3台、タブレット2台、スマホ1台。
写真とってるスマホもう1台。
家にあるデジタル8台で五輪を追ってます〜。
五輪はマルチ能力を高める訓練期間です。

よしもと大崎会長いわく
「きちんとした寿司屋は8人を同時に相手する。
 カウンターは8人。」
そうかぼくは五輪でにぎりの修行をしていたのか。
江戸五輪だからね!



日本目線での快挙がたくさんありました。

大橋悠依さん、水泳王者種目の2冠。

橋本大輝さん、体操の華、総合と鉄棒の2冠。

欧州の奥義、フェンシング・男子エペ団体。

柔道大野将平さん、川井梨紗子さんの連覇。

入江聖奈さん女子ボクシング初制覇。


「ゴン攻め」の逆転劇も元気をくれました。

卓球水谷・伊藤組、スケボー堀米雄斗さん西矢椛さん。

きょうだいの金もありました。 

柔道阿部兄妹、川井姉妹。

女子バスケ銀も、女子ゴルフ稲見さん銀も、自転車女子オムニアム梶原さん銀も、偉業です。

日本女子すげー



メダル、数えてみた。

27:女子14、男子12、混合1

14:女子8、男子5、混合1。

17:女子8、男子8、混合1。

58:女子30、男子25、混合3

紅組、圧勝。



大坂なおみさん、桃田賢斗さん、瀬戸大也さん、男子400mリレー、男子サッカー。

金の期待をしょいながら、地元プレッシャーか、応えきれないかたもおられました。

でも他種目の金ラッシュが眩く、気分はポジです。

いかにメディアの事前評があてにならないかも知りました。




開催前、この五輪のレガシーは、

1.五輪を五輪に戻すこと、

2.コロナからの復興を示すこと、

3.データを遺すこと、

の3点と考えました。

「五輪のレガシー」

http://ichiyanakamura.blogspot.com/2021/07/blog-post_20.html


1.アスリート中心の、スポーツに純化した大会に戻す。

これは成功したでしょう。

ぼくは無観客には反対でしたが、とはいえ、キャッチング音、バットの快音、選手の声だけの野球を、実況も解説もないネットで観て、新しい魅力を得ました。

大都市でない、地方都市の分散でもできるね、とも感じました。


2.コロナからの復興を示す。

示せたでしょう。

取り分け、欧米のようにマスクなし生活が戻らず、感染状況が悪化する中の日本でも大過なく開けたことは、世界に光を届けたと思います。


3.データはまだわかりません。今後どれだけ利用できるようになるか。

でも、AIIoT4K8K5G、ロボット・ドローン。

テックの総合ショウケースは示せました。

陸上トラックではたらくロボ、AIによる実況中継、水泳の秒速表示。

自転車トラックではIoTカメラが大活躍でした。

これら機器の遺す全データを使いたい。


eスポーツも爪痕は残しました。

IOC主催「Olympic Virtual Series」が五輪前に野球、サイクリング、ボートなど5種目を開催。

パリ、ロスにつながることを強く希望します。




改めて日本に引き戻すと、金が中米に次ぐ3位。総数では米中ロ英に次ぐ5位。

これほど列強に伍すことは未来ありますまい。

五輪のメダル数は国力を反映する。経済文化政治の総力を端的に示す。国旗と国歌をかける争いでこの場を上回るものはない。近代の国家主権の象徴。

ぼくはそう考えてきました。


その昭和な考えは鮮やかに覆されました。

スケボーやクライミングなどシティ系の新競技は、ハングリー精神よりも笑顔を見せる涼やかさ、背負うものは国家ではなく、愛や友情のようでした。

スケボー女子パーク、ゴン攻め4位の岡本碧優さんをライバルたちが担いだ姿は時代の転換を示す歴史的場面です。


スケボーはストリートとパーク、男女4種中、堀米さん西矢さん四十柱さんと3つの金。お家芸だ。

しかも女子メダリスト4人は19歳、16歳、13歳、12歳!

楽しんで、笑って、国は二の次。

そんな姿をティーンズが発信してくれたのは(また国に戻って申し訳ないが)日本にも未来があると思わせました。


ニッポンお家芸の野球、ソフト、空手はパリにはありません。

東京開催のごほうびでした。

もういいよね、メダルとか国とか。

孫のような女子にそう言われているかんじ。

死にものぐるいでメダルを競う国家型の近代五輪は反転し、超近代の、ユルく楽しむ祭典になる。

これが最大のレガシーかと。



反対、批判、混乱を乗り越え、開催してくださった全ての関係者、参加者に感謝申し上げます。

本当にありがとう。

3年後のパリまで、この余韻で、酒を飲みます。

2021年8月2日月曜日

ぼくの開会式 を貼ってみた

ぼくの開会式 を貼ってみた


五輪開会式は思ってたのとちがいました。

文春が掲載したMIKIKO案。

AKIRAPerfume、渡辺直美、マリオ。

そのようなPop & Techになると思っていました。

https://bunshun.jp/denshiban/articles/b1436


5年前、慶應大学で「ぼくらの開会式」というイベントを開き、

ライゾマ斎藤精一さん、1→10澤邊芳明さん、水口哲也さん、落合陽一さん、谷田光晴さんら第一人者に開会式プランを出してもらいました。

宇宙空間を使う壮大なプランが相次ぎました。

2020年、ポップ&テック」

http://ichiyanakamura.blogspot.com/2017/03/2020.html


ぼくも自分のアイディアを描いていました。

10億円くれたらこんな感じ、という企画。

でも第一人者はスケールでけえ。

はずい。

それに本番はもっとクールでシャープなものになる。

なので見せる機会もなくおしまいでした。

(授業でも学生たちにたくさんアイディア出させました。どれも結構おもしろかった。)


で、本番。

何かトレーニング日の丸君が代MISIA→黙祷木遣り、タップダンス。

選手入場。

花火、宣誓、ドローン、イマジン、バッハ・橋本さん、開会宣言、ピクトグラ

ム、劇団ひとり、海老蔵暫く・上原ひろみピアノ、聖火。

こうでした。


あれっ。

だったら自分の案もアリバイとして残しておけばよかった。

後出しですが、出しときます。

まず、古代中近世戦後→64東京後の日本。

前編で伝統、戦後復興からのポップ&テックを示す。

選手入場後、後編で未来(分散とエコ)を示す。






古代:水と米の映像1(ミラノ万博日本館で見せたような)


中近世:NARUTOが先導坂東玉三郎+人間国宝たちの雅楽祇園甲部芸妓衆総勢による「ありゃありゃ」→KIMONOプロジェクト200体と力士200 でおもてなし









戦後:スーパーカブに乗るカップ麺きぐるみ 大軍団による会場一掃(BGMアニソン+ゲーム音楽)


○64東京後:アニマル1、ミュンヘンへの道、キャプテン翼、からのガンダム、マリオ、ソニック、ピカチュウ が中空ホログラフィックでマルチ言語あいさつ 






(被災地にいる)野村萬斎・市川海老蔵と初音ミクがNTT Kirari! で三番叟


君が代 (水木一郎)


選手入場(民族衣装)





未来
分散:5Gで結ぶ世界の子どもたちによるeスポーツ

未来

エコ:福島の人々と食と自然、 水と米の映像2 




--こんなかんじ。

 たぶんこんなかんじのオレオレ案がたくさん生まれていただろうな~

 本番よりよかったのもたくさんあっただろうな~

 こうやって無責任に勝手案つくってころ楽しかったな~




てなことをつぶやけるのも、賛否うずまくなか、大変なご努力で五輪を開いてくださったから。

元気をいただいております。

心から感謝申し上げます。