2005年文学賞を振り返って 豊崎 せっかく『文学賞メッタ斬り!』の2人が揃っているので、たぶんメッタ斬りを期待している人もおられましょう。今年もすでに文学賞の受賞結果がいくつか出てますけど、大森さんが一番納得がいったというか、嬉しい受賞は何でした? 大森 ……何だろう。川端賞とか。辻原登の『枯葉の中の青い炎』。スタルヒンが300勝目を飾れたのは南の島の呪いのおかげだったというすごい話で。当時、トンボ・ユニオンズに在籍していた相沢進っていうピッチャーが――その後、生まれ故郷のトラック諸島に戻って酋長にまでなってるんですが――スタルヒンのためにベンチで禁断の呪術を使い、その瞬間、スタルヒンの球が旋回しながら青い炎をあげてキャッチャーミットにおさまったという……。プロ野球史を知らない人は全部ウソだと思うでしょうけど、8割ぐらいはホントの話で、どこからががウソなのかよくわからない(笑)。もう1