『まどマギ』『おお振り』など手がけるアニメーター・谷口淳一郎に聞く、仕事の流儀とキャラクターデザインの手法 人気作を手掛けるアニメーター、谷口淳一郎 動画工房に所属するアニメーターの谷口淳一郎は、2024年の最新作『夜のクラゲは泳げない』、そして2025年冬に公開予定の『魔法少女まどか☆マギカ』など、数多くの作品でキャラクターデザインや総作画監督に関わっている。 その守備範囲は美少女系や魔法少女アニメから、スポーツ、ギャグまで実に幅広く、「あの作品も谷口さんなんだ!」と驚く人も多いのではないか。谷口の多彩な絵柄はいったいどこから生まれたものなのだろうか。 そして、動画工房といえば、創業以来数々の名作アニメを生み出し続けているスタジオだ。近年屈指の話題作『【推しの子】』から『ちいかわ』までヒットを連発しているが、実は、その人材育成にも谷口が関わっているのだという。 リアルサウンドブックでは谷
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日本のアニメは海外でどのように見られているのか。エンタメ社会学者の中山淳雄さんは「学園ラブコメアニメは安定して人気だ。大きな展開はなく登場人物たちのわずかな感情の揺れを描くような作品の方に関心が高まっているのは興味深い」という――。 盛り上がったのは『推しの子』だけじゃない 世界中にいるアニメファン約2000万人が集う「My Anime List」は、アニメ好きのためのWikipediaのような存在だ。 3カ月ごとに60~70本放送される新作アニメのページが新設され、Members(アニメをリストインしている人)、Score(アニメ評価)、Popularity(Members数の歴代ランキング)、Ranked(Scoreの歴代ランキング)の4つがトップに表示される。当然海外のアニメファンのためのサイトであり、すべて英語。 ここはエンタメを研究する私のような立場の人間にとって宝の山だ。6~7
現在、ニュータイプ本誌で連載中、アニメの現場の各セクションのクリエイターが対峙し、現状について話し合う「Creators Dialogue 2024」。10月10日発売のニュータイプ11月号では先日「虎に翼」の放送が終わった吉田恵里香さんと近年オリジナル、原作もの問わず活躍している大河内一楼さんの対談を掲載。実写とアニメ、映画とTVシリーズ、さまざまな媒体で戦いつづける脚本家の「今」について語ってもらいました。1万字以上にもおよぶ対談の中から抜粋してお届けします。 ニュータイプ11月号掲載の「Creators Dialogue」──写真撮影中から、すでにお話が弾んでおられましたね。 大河内 教えをこいたいと思って。 吉田 ええっ。やめてください(笑)。大河内さんに私が教えられることなんてないですよ。 大河内 実は先日、実写の脚本を依頼されたんですが、アニメと同じように書いていいのか悩んでし
ホーム > ニュース総合 > 特集・コラム > 数土直志の「月刊アニメビジネス」 > 【数土直志の「月刊アニメビジネス」】00年代初めと似てきたアニメ業界、不況は繰り返されるのか ■過去にもあったアニメビジネスブーム 日本アニメの活況が続いている。日本動画協会がまとめる「アニメ産業レポート2023」によれば、2022年の世界市場は2兆9277億円と史上最高だ。20年前、2002年の1兆968億円と比べれば3倍近くにもなる。 今後発表される2023年の金額も、円安などの後押しもあり過去最高を更新してくる気配が濃厚だ。市場成長に限ればアニメ業界には楽観した雰囲気があふれ、新たにアニメ事業に進出する企業が引きも切らない。アニメビジネスブームの様相だ。 しかしアニメビジネスブームは、今回が初めてでない。日本のアニメ産業は1950、60年代に本格的に立ちあがった。大衆的な人気に支えられ一本調子に成長
<前編>2024夏アニメのネット評判だけだとわからない、67万サンプルの視聴データを元に面白い作品について語ってみた (中間期) この対談の目的 片岡 この10年くらい、おすすめ作品を毎クール放送前に選定 (「みるコレ」サービスにも利用) してきましたが、見る前に選んでるので、実際に見てからどうだったの? ということが発信できてないなと思ってたんです。配信で後からでも見られる時代になりましたし、せっかく毎クール50作品程度見ているのと、膨大な視聴データ分析もあるので、これを情報共有したいなと考えていました。しかし作品は好みもありますから、一人の視点で語ってもねということで、ニッポン放送のアナウンサーであり、アニメ業界でも有名で、「つづきみ」のフロントマンとしても活躍する吉田尚記さんとの対談という形が実現しました。本日はよろしくお願いします。 吉田 よろしくお願いします! 総合ランキングから
ヤンマーホールディングスは7月18日、オリジナルアニメ『未ル わたしのみらい』を2025年春に地上波で放送することを発表した。単発の映像作品ではなく、全5話を予定している。 同社によるアニメプロジェクトは2023年6月に発表されたもので、米国開催の「Anime Expo 2023」では会場に作品内のロボットを展示し、注目を集めた。アニメを活用し、国内外におけるブランド認知度の向上と、将来のオリジナルIPの育成を図っていくようだ。 本稿ではこの例を基に、「ツール」としてのアニメ活用について展望したい。 販促としてのアニメ活用の歴史 アニメを自社製品のプロモーションに活用する、また、それを目的としたアニメ製作自体は珍しいものではない。昭和の時代から特に子ども向け商品で行われてきた。 その代表例がガンダムシリーズだ。サンライズ制作の『機動戦士ガンダム』の人気を背景に爆発的に売れたバンダイの「ガン
アニメを取り巻く環境は、劇的に好転している。国内はもちろん、海外のファンも急激に増え、「Anime」という単語は日本製のアニメを指す単語として定着した。アニメファンのボリューム、そして経済圏が急激に成長を迎える中、メディアが果たすべき意義も変わってくるのではないだろうか。 本メディア「ドキドーキ!」は、株式会社ワクワークが運営し、これからアニメ業界での就職を目指す若者に向けて、できるだけ生の情報を届けるとともに、本気で就職を目指す方向けに運営している「アニメ業界就職セミナー」「アニメ業界ライティング講座」へ興味を持ってもらうことを目的としている(両講座とも2024年度は休講中)。 この夏から「ドキドーキ!」のテコ入れとして、「『ドキドーキ!』をアニメ業界でライターとして働きたい人たちにとっての目標となるメディアにしていきたい」と考え、現在進行系で業界最前線で執筆されているライター前田久氏・
※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。 反日暴動の陰で始まった日本のアニメの配信 中国における日本のアニメ配信が本格的に始まったのは2012年の後半に楽視(LeTV)で配信された「ソードアート・オンライン」からではないかと思われます。 2012年は尖閣諸島問題に関連して中国で大規模な反日暴動が発生した年です。当時の中国ではアニメや声優のイベントなど日本関連のオタク系イベントを行う流れが拡大しており、オタク関連分野の中国進出の動きもそこかしこに出ていましたが、暴動の影響によって大きくブレーキがかかることになりました。中国における日本のアニメの正規配信はそういった動きの陰で始まりました。 この配信が成功して「ソードアート・オンライン」が人気を獲得して以降、中国の動画サイトでは日本
■直近には「らんま1/2」「魔法騎士レイアース」「地獄先生ぬ~べ~」 最近、かつて人気だったアニメ作品の大型リメイク化が話題を呼んでいる。この7月だけでも「らんま1/2」「魔法騎士レイアース」「地獄先生ぬ~べ~」など、一時代を築いた作品の再アニメ化が相次いで発表されたのが理由だ。 ただ、かつて人気だった作品の再アニメ化は昔から繰り返されており、決して珍しいものでない。テレビシリーズだけで過去に6回もつくられている「ゲゲゲの鬼太郎」のような例もある。過去の人気にあやかった新シリーズ化は、アニメ製作者の常套手段だ。 【2023年から24年7月にかけてリリース・発表された主要なリメイク作品】 ・「るろうに剣心」(1998) ・「うる星やつら」(1986) ・「UFOロボグレンダイザー」(1977)※新作タイトルは「グレンダイザーU」 ・「らんま1/2」(1992) ・「北斗の拳」(1988) ・
アニメ『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます』を手掛けた「つむぎ秋田アニメLab」の櫻井司社長ロングインタビュー後編。引き続き、ゲームエンジンを使ったアニメ制作の実際などについて語っていただいた (C)謙虚なサークル・講談社/「第七王子」製作委員会 〈前編はこちら〉 今こそ“クオリティーの安定”を目指すべき 「Unreal Engine」というゲームエンジンの採用によって、アニメ制作の工程を大きく変化させることに成功したつむぎ秋田アニメLab。これまで縦割りだった工程をさまざまな役職のスタッフが越境しながらこなすさまは、『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます』(以下、『第七王子』)のエンドクレジット表記で垣間見ることができる。 だが、制作工程を大幅に見直した目的は、決してクオリティー向上のためではないという。今回は、日本アニメが輸出産業として成り立つには、向
アニメ制作のためのAI開発を考えるアニメチェーン構想の中核メンバー、AIHUB CTO・新井モノとアニメ関係者の対談企画第2弾。今回はスタジオジブリ作品などにも参加する撮影監督・コンポジッターの泉津井陽一を迎え、制作現場でAIがどのような働きができるかについて語り合う。 ■プロフィール 泉津井陽一(せんずい・よういち) 撮影監督、コンポジッター。1997年よりスタジオジブリで「CG」「エフェクト」「撮影」などを担当。『ホーホケキョ となりの山田くん』(1999)、『千と千尋の神隠し』(2001)、『風立ちぬ』(2013)、『かぐや姫の物語』(2013)などを担当。 ジブリ作品以外でも『電脳コイル』(2007)、『ジャーニー 太古アラビア半島での奇跡と戦いの物語』(2021)で撮影監督を務めるほか、『モノノ怪 第一章「唐傘」』(2024)ではビジュアルディレクターを担当する。著書に『Open
アニメ制作会社の社長やスタッフに、自社の歴史やこれまで手がけてきた作品について語ってもらう連載「アニメスタジオクロニクル」。多くの制作会社がひしめく現在のアニメ業界で、各社がどんな意図のもとで誕生し、いかにして独自性を磨いてきたのか。会社を代表する人物に、自身の経験とともに社の歴史を振り返ってもらうことで、各社の個性や強み、特色などに迫る。第15回に登場してもらったのは、株式会社ゴンゾ(以下GONZO)の代表取締役社長・石川真一郎氏。経営コンサルティング会社の出身で、外の世界からアニメ業界に入ってきた特殊な経歴の持ち主だ。「日本のアニメを世界に広げる」という考えのもとGONZOに合流し、独自の方法でアニメ業界に携わっていく石川氏が考える“GONZOらしさ”とは。さらに石川氏が見据えるGONZOの未来も語ってもらった。 取材・文 / はるのおと 撮影 / 武田真和 デジタル技術を活かし、世界
2023年3月10日、アニメ評論家・氷川竜介の新著『日本アニメの革新』(角川新書)が発売された。さっそく買って読んだのだが、いろいろ言いたいことが生まれたので、以下本文を解釈しながらいろいろ書いていく。 『日本アニメの革新』(角川新書)表紙 まずは著者について説明しよう。氷川は、アニメ評論家であり、(文章を読むタイプの)アニメ(や特撮の)ファンなら誰もが知るベテランライターの一人でもある。 1958年生まれで、日本初のテレビアニメ『鉄腕アトム』をリアルタイムで観た。77年、大学在学中に雑誌『月刊OUT』の「宇宙戦艦ヤマト特集」でデビューした。この特集は子ども雑誌以外で「アニメ」をメインに扱った最初期のものだ。また、当時は『宇宙戦艦ヤマト』ファンクラブの会長を務め、日本初のアニメ評論本とされる『アニメ大好き!──ヤマトからガンダムへ』(徳間書店)にも寄稿していた。氷川は、アニメライターという
富野由悠季とはどんなアニメーション監督か。「演出の技」と「戯作者としての姿勢」の二つの切り口から迫る徹底評論! 書籍化にさきがけて本論の一部を連載します。 今回はシリーズ「富野由悠季概論」の第2回。富野由悠季監督の経歴を時代背景とともに振り返り、アニメーション監督として果たした役割に迫ります。 (バナーデザイン:山田和寛(nipponia)) アニメーションに「作者」はいるか? 富野がアニメーション監督の認知に大きな役割を果たしたのは、1977年から1984年いっぱいまで続いた「アニメブーム」の時期に当たる。この時期は、劇場版『宇宙戦艦ヤマト』をきっかけに、それまで子供(小学生)向けと思われていた「テレビまんが」「漫画映画」が内容的にも進化し、ティーンエイジャーの熱狂的な支持を得ていることが広く知られるようになった時期である。先述の富野のキャリアに当てはめると、1977年から1988年にか
※本記事は、シャフト批評合同誌『もにも~ど 2』(2024)所収の論考を一部加筆・修正のうえ、転載したものです。 Drain-Images Chase:About the Direction of Anime by SHAFT|Animmony 文:あにもに 自分の思考乃至動揺の中心部に、ぽっかりと暗い穴、颱風の眼のようなものがあって、さまざまな相反する判断が敲ちあって生れる筈の思考の魚が、生れかけるや否や途端にその穴、その眼の中へ吸い込まれてゆくように思われた。もしその穴、その颱風の眼をそこだけ切り取って博物館に陳列するとしたら、それには、人間的、という符牒のような札がかけられるかもしれない。 堀田善衛『広場の孤独』 はじめに いくぶん唐突な問いではあるが、「シャフト演出」と聞いたとき、ただちに連想するものと言えば何だろうか。 人によってはキャラクターを非解剖学的な角度で振り向かせる「シ
取材=間瀬佑一、文・構成=すなくじら、写真=『君たちはどう生きるか』©︎2023 Studio Ghibli 映画とアニメーションの垣根が曖昧になりつつある昨今、その変化の最前線を映し出したのが2024年の数々の映画賞だった。 日本が誇るアニメーション界の巨匠、宮﨑駿監督の『君たちはどう生きるか』が第96回アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞。同賞の日本からの受賞は、同じく宮﨑が監督を務めた『千と千尋の神隠し』以来、21年ぶりとなった。本作が世界最高峰の映画祭で評価されたことは、アニメーションの新たな地平を切り開く出来事と言えるだろう。一方、インターネットを中心に社会現象にまで発展した『すずめの戸締まり』が同部門にノミネートされるなど、大衆性とアーティスティックな表現が交錯する現在のアニメーション事情を象徴する出来事も相次いだ。 こうした状況を受け、本座談会では映画ライターの杉本穂高氏、
■コロナ禍からの完全回復が見えてきた中国映画市場コロナ禍で苦しめられた中国の映画市場が回復軌道に乗っています。2020年には年間204億万元まで落ち込んだ興行収入は、23年には549億元まで回復。過去最高だった19年642億元の85%の水準です。24年も1/3が過ぎた4月末段階で約200億元、ほぼ平常ペースに戻ったとみてよいでしょう。 これは映画業界全体だけでなく、劇場アニメーションも同じです。2020年から22年は3年間の年平均は12億元と2019年の1/10まで落ちましたが、23年には80億元まで回復しました。 ただ数字が戻りましたが、ヒット作品の内訳はコロナ禍以前とは一変しています。中国産アニメーションが急成長しているのです。 この辺りは、3年前にも「日本・中国・米国 どのアニメが中国の映画館で選ばれているか」の話題でとりあげたのですが、その傾向がさらに加速しており、もう一確認してみ
ディズニープラスが日本アニメの配信を始めて2年が経過した。当時は、ディズニーのブランド名を冠したサービスで日本のアニメ作品が配信されるということに世間は驚いた。しかも、当初から独占配信作品なども揃え、本気で日本アニメをやろうという意気込みが感じられた。 この2年、ディズニープラスの日本のアニメーション責任者である八幡拓人氏は何を感じていたのか。世界に拡大し続ける日本アニメの人気を牽引する配信業者の一角として、これからの日本アニメに同社はどんな貢献をするのか、そして、2024年の期待の作品など多岐にわたる話を八幡氏に聞いた。 【八幡拓人プロフィール】 ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社アニメーション責任者。エイベックス・ピクチャーズ株式会社、ワーナー ブラザース ジャパン合同会社でアニメ作品の宣伝、企画プロデューサーなどの経験を経て、2021年9月にウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
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