各地で絶賛された、アナサロのジャパン・ツアー2008が待望のDVD化!
アナサロの来日ツアーDVDを観て、ヴァルター・ベンヤミンの『複製技術時代の芸術』を思い出した。同書の中でベンヤミンは、芸術の一回性に宿る畏怖や崇敬のことを<アウラ>と表現し、それは複製品には宿らないと説いた。つまり彼の理論に従えば、2008年12月の渋谷O-NESTいう限定された場所に居合わせた人間だけにしか感じ取れない空気感は、複製品のDVDからは感じ取れないということになる。
それにも関わらず、アナサロ初の映像作品である今品からは、実際にライヴに足を運んだかのような感覚が伝わってくる。それこそ、アナサロがSigur RosやArcade Fireを引き合いに出される所以であろう。非日常的で神秘的な静寂を、音で表現することの出来る希有なバンドとアナサロは同位置にいる。それでいて、Broken Social SceneやLos Campesinosのようなカラフルでアート感のあるポップさをも持ち合わせている。
鍵盤と鉄琴、ハンド・クラップで幕を開ける「Dokkoise House」で、観客は一瞬にしてアナサロの世界へ導かれる。トランペットや様々な楽器を7人が使い分けながら、ライヴは進んでいく。色々な楽器の音が鳴り響いたかと思うと、急に音が少なくなり静寂が会場を包む。もはや、静寂さえも楽器のひとつとして演奏を引き立てる。静と動。光と影。対比を駆使したステージは、7人の個性を出来うる限り反映させる。何かを選ぶということは、それ以外のものを排除するということでもある。だからこそ多彩な楽器を使い、個人の役割を限定しないスタイルで各々が一心不乱に演奏するアナサロの音楽は、懐が広く、聴き手の自由な反応を喚起させるのだろう。ステージ上の7人が真摯に演奏に向かい、出来上がったアンサンブルが聴き手を魅了する。
ラスト曲が終わり、メンバーがステージ上にいるにも関わらず、アンコールの拍手が打ち鳴らされる。初来日とは思えないほどの親密さを感じ取ることができる。最高のライヴだったということは、観客の態度が表している。DVDからこれだけの空気感が伝わってくるのだから、現場でライヴを体感したらどれだけ素晴らしいことか。なんと7月19日からアナサロが再び日本ツアーを敢行する。これを逃す手はない。月末に発売されるDVD、そしてrecommuniで配信予定のライヴ音源。アナサロ旋風がこれから本格化するのは間違いない。
(text by 西澤裕郎)
再来日決定!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
7月18日(土)@下北沢GARDEN
『光源 vol.1』
open / start:14:00 / 15:00
チケット:¥3,000 / 前売 ¥3,500 / 当日 ¥5,500 / 2日通し券
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info:http://kogen.tv/
7月19日(日) @渋谷o-nest
open/18:00 start/18:30 adv/\3,000 door/\3,500
w / aie / Qurage
7月20日(月) @山形sandinista
open/18:00 start/18:30 adv/\2,000 door/\2,500
w / shift / Qurage
7月21日(火) @京都METRO
open/18:00 start/18:30 adv/\3,000 door/\3,500
w / tba
7月22日(水) @名古屋KD Japon
open/18:30 start/19:00 adv/\3,000 door/\3,500
w/tba
7月23日(木) @大阪sunsui
open/18:00 start/18:30 adv/\3,000 door/\3,500
w/tba
チケット予約:
【ライブ・ハウス】
03-3462-4420(渋谷)
023-622-8962(山形)
075-752-2787(京都)
052-251-0324(名古屋)
06-6243-3641(大阪)
【メール】
氏名 / 連絡先 / 公演場所 / 枚数をご記入の上
anathallo(@)moorworks.com (@の()を省いて下さい)まで
DISCOGRAPHY
Canopy Glow
USインディー・ミュージック・シーンに突如現れ、創造性に満ちあふれた楽曲でシーンを席巻した彼らの日本デビュー作。ロラパルーザ、コーチェラの2大フェス出演を経て製作された今作は、叙情的なメロディーや端々に見える遊び心にブラス感を足した、極上ポップ・ソング。7人が様々な楽器、更には手拍子や足踏み、声を楽器の様に用いるなど、まるで演劇を見ている様な錯覚させ起こさせます。ライヴでのダイナミズムは圧巻の一言!
LINK
- ANATHALLO blog : http://ameblo.jp/anathallo/
- MOORWORKS web : http://www.moorworks.com/
PROFILE
2001年、アメリカはミシガン州にて結成。当時17歳〜18歳だった若者達によって結成され、近隣の駐車場や大学構内、ハウス・パーティーにいたるまで様々な場所でライブ活動を行った。その後国内ツアーを敢行、7人組という大所帯、そして何よりその雑多的で創造性に溢れる音楽性がすぐさま話題を呼ぶ。メンバー交代などを経て、2006年満を持して1stフル・アルバム"Floating World" をリリース。ソニー/BMGといったメジャー・レーベルがディストリビューションを行い、アメリカ国内を中心に更なる話題を呼ぶ事となる。また、 2006年国内2大フェスティバルであるロラパルーザ、翌年にはコーチェラに出演を果たす。ユニークな日本語で綴られたタイトルや詩、更には日本的解釈で彩られた楽曲群がここ日本でも話題を呼んだ。フェス出演を期にアメリカ国内での認知度が急激に上昇、現在まで幾度となく全国ツアーを行っている。