国家安全維持法の制定、民主化デモ、新型コロナウイルスの感染拡大などに襲われた香港。格差社会と孤立感が広がる中で愚直なまでにまっすぐに生きようとする香港人の今を切り取った映画「星くずの片隅で」が公開中だ。香港では上映禁止になった「少年たちの時代革命」(2022年日本公開、レックス・レンと共同監督)のラム・サム監督単独長編デビュー作。香港アカデミー賞(金像奨)などで高い評価を受けた新世代の旗手ラム監督に、演出や香港で映画を作る思いについて聞いた。 困難を抱える人たちに勇気を与える映画を20年、コロナ禍で静まりかえった香港。「ピーターパンクリーニング」の経営者ザクは、車の修理代や品薄の洗剤に頭を悩ませつつ、家や店舗などの消毒作業に追われていた。ある日、ザクの元に派手な服装のシングルマザー、キャンディが職を求めてやってくる。キャンディは娘ジューのために慣れない清掃の仕事を頑張るが、客の家から子供用