1年前、テレビほか多くのメディアは、佐々木勇気のことを「藤井聡太の連勝を止めた男」という形で取り上げた。彼ほどの人物をそれだけの言葉で片付けてしまうのは、実にもったいない。感情豊かで、仲間思いで、将棋にひたむきで、人間味の溢れた人となりは、棋士としての枠組みを超えてもそうはいない。 こだわりは将棋観だけではない。今回のインタビューを受けた棋士で最も「言葉の重み」というものを意識していた。誰かを傷つけていないか、読者に間違った伝わり方をしないかと、一言一言を丁寧に慎重に絞り出していた。特集のラストは、そんな「勇気流」の思考を存分に楽しんでいただければと思う。(編集部) 佐々木勇気(ささき・ゆうき) 1994年生まれ。埼玉県三郷市出身。2004年、小学4年の時に、史上最年少で小学生名人戦優勝。石田和雄九段門下。2004年、6級で奨励会入会。10年、四段。13年、加古川青流戦優勝。14年、五段。