金正恩氏の行動は、元経済ヤクザの眼から見れば驚くほど合理的だった ミサイル2発で「成果」を得たのだから 「完全破壊」――19日の国連演説で北朝鮮について、アメリカのトランプ大統領はこう言及した。核実験、ミサイル発射実験、そして制裁決議の全会一致の採択と、9月はまさに北朝鮮のための月だった。追い詰められたかに見えるが、金正恩氏はこの騒動の中でいくつもの「新たなカード」を入手したことにお気づきだろうか。 騒動を起こした張本人が利益を拾うその手法は、私のような元経済ヤクザからみれば、マフィアのビジネスそのものである。実は、犯罪組織の経済学的視点から金正恩氏の一連の行動を振り返ると、言動の一つ一つが「感情的」なものではなく、非常に合理的であることが分かるのだ。 「挑発」でも「反発」でもない 12日に開かれた国連安保理での制裁決議で、アメリカは戦略物資である石油の全面禁輸を提案。禁輸は見送られたもの