■ワクチン戦略、焦りは禁物 初めて自転車に乗るとき、誰しもハンドルをふらつかせながら必死にバランスをとり、慎重に、けれど止まらないようこぎ続ける。新型インフルエンザのワクチン接種の進め方も、どこか似ている。 目前で感染が広がる病気へのワクチン開発と接種は時間との戦いでもある。リスクとベネフィット(利益)のバランスをとりながらワクチン接種という自転車は試し乗りでも前へと進む。そしてワクチン接種をできる限り効果的に、安全に、そしてスムーズに進めるため、つまずきかねない路上の石を拾うかのように副反応事例をつぶさに集め、検証してもいる。 先週、厚生労働省で開かれた新型ワクチンの安全性についての公開検討会で、接種数日以内に生じた死亡例が21例発表された。それまでに出荷された量は約450万人分だ。一方、季節性インフルエンザの場合、ワクチンと関係する可能性があるかもしれないとして報告されるのは年に数例程