永田町(政界)、霞が関(官界)、経済界、任侠界を縦横無尽に飛び回る部落解放運動家──通称「同和のドン」と呼ばれるフィクサーがいる。1945年生まれ。現在も存命の上田藤兵衞(うえだ・とうべえ)氏(「自由同和会」創立メンバー)だ。 いよいよ2月9日に、骨太ノンフィクション『同和のドン 上田藤兵衞 「人権」と「暴力」の戦後史』が発売される。ジャーナリスト伊藤博敏氏が、上田氏の激しく蠱惑的なパーソナルヒストリーに迫る。 350ページ超えの重厚な本書には、自民党の歴代総理大臣経験者や経済人、広域暴力団の親分衆の実名がこれでもかと躍る。マスメディアでは報じられないアンダーグラウンドな戦後日本史に、読者は瞠目するはずだ。(以下、文中敬称略)。 『同和のドン 上田藤兵衞 「人権」と「暴力」の戦後史』連載第1回前篇 品川プリンスホテルに集結した数百人の反社会的勢力 京都で同和運動に従事していた上田藤兵衞が、