「普通の生徒」に意識割く鈴木先生 「今の学校教育は 我々が普段思っている以上に―― 手のかからない子供の 心の摩耗の上に支えられている」(「鈴木先生」5巻より) これは、2005年から2011年にかけて連載された漫画「鈴木先生」(漫画アクション/双葉社)の主人公・中学校で教師として勤める鈴木先生の言葉です。 「子どもの頃から、熱血教師が出てくる作品も楽しく見ていました。物語の中心にいるのは、問題を抱える生徒で、その苦悩や憂いがかっこよかったりする訳です」 そう語るのは、「鈴木先生」の作者・武富健治さん。 「でも、どこか『自分に向けられた話じゃない』という感覚がありました。誰かに気を遣いながら、『よそ者』として見ている感じがあったんです」 鈴木先生が意識的に実践するのは、学校生活を人並みに過ごす「普通の生徒」にも時間を割くこと。「手のかからない子ども」が持つ苦悩を、敏感にすくいとります。