日本新聞協会は7月17日、Web検索と連動してAIがサマリーを返す検索エンジンのサービスについて、著作権侵害に該当する可能性が高いとする声明を発表した。 以前から同協会では、AIによる権利侵害に対して警戒感を強めている。機械学習に報道コンテンツが自由に使われてしまうのは問題ではないかとして、AIによる学習を著作権者が拒否できる、もしくは利用時に許諾を得る仕組みの整備が必要であると訴えてきた。 上記の意見書は、内閣府が行ったパブリックコメントへの意見だが、今回の声明は特にパブリックコメントとは関係なく、独自に出されたものであることから、より緊急性が高い案件という事なのだろう。 現在Web検索に連動した生成AIサービスは、Googleでは「Search Labs AI」として提供されている。一方Microsoft Bingでは、検索ウィンドウ内で単純に検索するか、「ディープ検索」を使うか、ある
先日、光インターネット回線「NURO光」が掲載した広告に関するトラブルが話題になった。広告に描かれた女性キャラクターのイラストが、あるイラストレーターの作品を盗用したものではないかと指摘された。しかし実はこのイラスト、作者ではない人物が素材サイトに無断転載し、それを知らなかったNURO光は著作権フリー素材としてイラストを購入していたのだった。 この件についてNURO光は。イラストレーターへ謝罪や使用料の支払いを申し出るなどの対応をしており、当事者間での和解が成立しているようだ。しかし、フリー素材サイトで購入できるイラストが“実はフリー素材ではない”ことは、利用者にとっては想定外のリスクである。クリエイティブな仕事をする人にとっては、死活問題になる。 実際、NURO光が利用してトラブルに巻き込まれた有料素材サイト「Shutterstock」については、X(元Twitter)上で「『アニメ』で
内閣府が公開している資料「AIと著作権の関係等について」がTwitterで話題になっている。文化庁が制作した資料で、5月15日に開催した内閣府のAI戦略チームの会議で使用されたもので、AIと著作権に関する現行法での見解などをまとめている。6月3日頃からTwitter上で話題になっており、AIに詳しい弁護士も「かなり踏み込んだ内容」と見解を述べている。 同資料では、著作権の役割は「『思想又は感情を創作的に表現した』著作物を保護するもの」と指摘。データ(事実)やアイデア(作風や画風)は著作物に含まれないという。 この上で、AIと著作権の関係は「生成・利用段階」と「AI開発・学習段階」を分けて考えるべきと説明している。AIが生成した画像などを公開したり、そのイラスト集を販売したりする場合は、通常の著作権侵害と同様の法が適当される。AI画像と既存の著作物との類似性や依拠性(既存の著作物を基に創作し
ガジェット全般、サイエンス、宇宙、音楽、モータースポーツetc... 電気・ネットワーク技術者。実績媒体Engadget日本版, Autoblog日本版, Forbes JAPAN他 アメリカ合衆国著作権局は、連邦官報に掲載した新しいガイダンス文書のなかで、テキストをAI画像生成モデルに与えて出力された画像は、米国では著作権で保護されないと規定しています。 官報にはMidjourneyやStable Diffusionのような現在のAI画像生成モデルは「プロンプターが何を描かせたいかを特定するが、その指示がどのように出力に反映されるかは機械が決定する」と記されており、わかりやすくいえば絵画の買い手(ユーザー)が、「こんな絵が欲しい」という手紙(テキストプロンプト)を画家(AI)に渡して絵を描かせているのと同じ構図だということです。 もっと言えば、この考え方は画像だけでなく、文章や音楽、映像
著作権保護期間延長の是非に関する本格的な議論は、2006年ごろから始まった。著作権保護団体が文化庁に延長の要望書を提出したことがきっかけとなり、著作権保護期間は延ばした方がメリットがあるのか、逆に短い方がメリットがあるのか、さまざまな調査研究が行なわれた。 著作権保護期間延長はクリエイターのためになるか 国内議論においては延長反対派が優勢となり、延長論は沈静化したに見えたが、2018年に発行された国際条約「TPP11」によってあっさりひっくり返った。日本の著作権保護期間は、50年から70年に延長された。 延長することでどのようなデメリットがあるのか。1つは、著作権が切れた作品を無償公開する「青空文庫」のようなアーカイブに、20年間著作権切れ作品が入ってこなくなることだ。二次創作には別枠で手当がされたところだが、作品そのものの利用や翻案などは20年滞る事になる。 もう1つは、「孤児作品」が増
しかし発表直後からTwitterでは「他人の絵を学習して自分の作品と発表するなど悪用のリスクがあるのでは」などの声が殺到。これを受け、ラディウス・ファイブは発表からわずか1日でサービスを停止。不正利用を防ぐ仕組みができ次第、正式版として再リリースすることになった。 その後、SNSで活動するイラストレーターを中心に「私の絵をAIに学習させることは禁止です」など“AI学習禁止宣言”をする人たちが現れた。しかしこのような宣言で、AI学習への利用を禁止できるのか? 日本ディープラーニング協会の有識者委員を務めるなど、AI領域の法務に詳しい柿沼太一弁護士に話を聞いた。 “AI学習禁止宣言”に法的拘束力はない 柿沼弁護士は「Twitterをポートフォリオとして使い、プロフィール欄に“二次転載禁止”などのルールを書く人がいると思う。そこに加えるように“AI学習禁止”など一方的に記載しても、契約は成立しな
8月23日、文化庁は著作権法施行令の一部を改正するとして、パブリックコメントを開始した。内容は、録画補償金の対象として、ブルーレイレコーダーを追加指定するというものであり、ITmediaでもすでに記事になっているところだ。 筆者はインターネットユーザー協会の代表理事として、2015年から2019年まで、文化庁文化審議会著作権分科会の「著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会」の専門委員を務めた。この小委員会こそ、録画録音補償金制度の在り方を議論する場であり、まさに筆者は今回のような補償金問題の「中の人」であった。 今回の改正案は、「中の人」から見ると相当に筋が悪いものに見える。その理由を解説したい。 1.そもそも文化庁の審議会で合意していない 「著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会」では、文字通りインターネット時代に対応した著作物の保護と利用のバランスはどうあるべきかを
JEITA(電子情報技術産業協会)は8月23日、私的録音録画補償金制度の対象機器としてBlu-ray Discレコーダーを追加するとした文化庁の政令案に反対意見を示した。「政策としての合理性がない」と強い調子で批判している。 JEITAは反対する理由として、1)政令案に機器を追加する合理的理由が示されていない、2)レコーダーにDRM技術(著作権保護技術、ここではダビング10を指す)が搭載されていることが全く考慮されていない、3)政令案の決定に至るプロセスが不透明、を挙げた。 私的録音録画補償金は、著作物のデジタルコピーで権利者に生じた損害を補償する制度で、対象機器や記録媒体の価格に上乗せする形で消費者が負担する。1990年代に始まり、2005年に権利者団体が「iPod」やレコーダーを対象機器に含めるよう求めたことで広く知られるようになった。 以来、権利者団体と機器メーカーの意見を代弁するJ
AIが描いた絵の著作権は、誰が持つのか Midjourney画像の扱いを考える:小寺信良のIT大作戦(1/3 ページ) 文章や単語で「お題」を入力することで自動的に画像を生成してくれるAI「Midjourney」のクオリティが高いということで、ネットで話題になっている。まだβ版だが、無料と有料のプランがあり、無料プランの場合はCreative Commons 4.0 by-ncライセンスで利用できる。 利用にはチャットアプリDiscordのアカウントが必要になるが、そのあたりの使い方に関してはすでに詳しく指南してくれるサイトがたくさんあるので、そちらを参照していただいたほうが早いだろう。 誰でも簡単にAIに絵を描かせられる一方で、タッチというかトーン、世界観みたいなものはどことなく傾向があるように感じる。今後、画像を見ただけでどのAIが書いたものか、なんとなく見分けられるようになるかもしれ
イラストレーターのみふねたかしさんが運営するフリー素材サイト「いらすとや」。2012年の開設から10年以上運営が続くフリー素材サイトの老舗ともいえる同サイトだが、商用での素材の無償利用には実は個数制限がある。 あるTwitterユーザーが20日、「新入社員が作成したプレゼン資料に『いらすとや』の素材が大量に使われていた」と投稿。その社員に無償利用の範囲で素材を使っているのか聞くと、一定数以上使うと有償になるとは知らなかったという。 このツイートに対し「知らなかった」や「これ案外知らない人いる」「世間的に全然守られてない気はする」「どんな素材も利用規約を読むことは大切」などの意見が見られた。 いらすとやの利用規約を見ると「サイトで配布している素材は規約の範囲内であれば、個人、法人、商用、非商用問わず無料でご利用頂けます」と記載がある。ただし、その下には有償対応の場合として「素材を21点以上使
社団法人コンテンツ海外流通促進機構の推計によれば、オンラインで流通する日本のコンテンツの内、映画や音楽、ゲームなどにおける海賊版の被害額は、年間3300億円から4300億円以上(2019年時点)という。 被害の状況を受け、文化庁は8月をめどに相談窓口を立ち上げる方針。今回のポータルサイトも窓口の開設に先立った施策という。窓口はポータルサイト内に設置する予定。 関連記事 「早く対処しなければ『漫画村』のような問題に」──東映、KADOKAWAなど13社が「ファスト映画」制作者に損害賠償請求 損害額は20億円と算定 東映、KADOKAWAなど13社が、「ファスト映画」の制作者3人に損害賠償請求を求めて提訴した。損害額は20億円と算定。最低限の損害回復として、このうち5億円の支払いを求めている。 違法漫画サイトへの月間アクセス数、半年で半減 ただし後継サイトは急成長中 出版物の海賊版サイト上位1
トレースはもはや「つみ」状態なのか 引用とオマージュと再構築の果てに浮かび上がった問題とは?:小寺信良のIT大作戦(1/3 ページ) 2月に入ってからというもの、おそらく一生分の「トレパク」という言葉を目にしたように思う。 人気イラストレーター「古塔つみ」氏の多くの作品が、既存の写真や画像をトレースしたものではないか、またその利用許諾もとっていないのではないかとして、炎上状態にある。 「古塔つみ」氏本人はこの騒動について、「引用・オマージュ・再構築として制作した一部の作品を、権利者の許諾を得ずに投稿・販売してしまったことは事実」という声明をTwitterで出している。その一方で、「写真そのものをトレースしたことはございません。模写についても盗用の意図はございません」と、トレースではなく模写であると主張している。 YOASOBIなどを描いたイラストレーターがトレース疑惑で謝罪 「盗用の意図
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