MUSIC Column 偉大なるミュージックマン、石坂敬一さんを悼む ~忌野清志郎と対峙した『COVERS』をめぐって~ 2017.01.10 RCサクセションが1988年に制作したアルバム『COVERS』は、バリー・マクガイアの反戦歌「明日なき世界」で始まり、ジョン・レノンの「イマジン」で終わるという構成で、全編が洋楽のカヴァーによるメッセージ性の高い作品だった。そのアルバムは世界で最初に原子爆弾が広島に投下された8月6日、つまり多くの人の生命が奪われた平和記念日に合わせて発売される予定になっていた。 カヴァーする際に原詩と異なる日本語の訳詞の使用を認めてもらうために、担当者レベルでは話がつかない困難な局面があったという。それが許諾されたのはビートルズやローリングストーンズを手がけてきた東芝EMIというレコード会社の信用と、トップの交渉力もふくめて、関わったスタッフによる努力の積み重ね