決戦の舞台は京都 将棋の八大タイトルの1つ、「王座戦」五番勝負、第4局が行われたのは、京都市のホテルだ。五番勝負は、先に3勝をあげた棋士がタイトルを獲得する。ここまで藤井聡太七冠が2勝、永瀬拓矢王座が1勝。藤井七冠がタイトル奪取、すなわち八冠独占に王手をかけていた。 対局中の様子は控え室にあるモニター画面を通してしか見られないが、対局が始まるとき、そして終局直後だけは報道陣に公開され、撮影が許されている。テレビ局は順番で代表撮影の担当を決めていて、この日はたまたまNHK。幸運にも私は対局室へ入ることができた。 対局が始まるのは朝9時。ホテル敷地内の専用通路を通って対局室へ向かい、30分ほど前にはスタンバイしていた。 先に入室したのは前局までと同様に永瀬王座。水色の羽織に緑のはかま姿で、着座するとすぐに目を閉じた。タイトル保持者にもかかわらず先に対局室に現れたのは、この勝負への思いの表れだろ