1986年に福井市で中学3年の高橋智子さん=当時(15)=が殺害された事件の再審請求審で、名古屋高裁金沢支部(伊藤新一郎裁判長)は30日、殺人罪で懲役7年の実刑判決が確定し、満期出所した前川彰司さん(46)の再審を開始する決定を出した。 犯行には包丁が使われたが、犯人に結び付く物証がなく、確定した控訴審判決が有罪の根拠としたのは「血の付いた服を着た前川さんを見た」「犯行を打ち明けられた」などの複数の知人の証言だけだった。 再審請求審で弁護団は、新たに開示された前川さんの知人らの供述調書を分析。「知人男性1人が証言を変えた直後に、他の関係者も同様に変えたことが判明した」として、警察官による誘導を示す新証拠と主張していた。一方、検察側は「新証拠とされたものに新規性と明白性はなく、確定判決は揺るがない」と棄却を求めていた。