作家自身は、どんな「本屋のお客」なんだろう?そしてどんな「本の読者」なんだろう? そんな疑問を、作家の方々に直撃インタビューです。 作家の読書道 第161回:磯﨑憲一郎さん 2007年に文藝賞を受賞して作家デビュー、2009年には芥川賞を受賞。意欲的な作品を発表し続けている磯﨑憲一郎さん。叙事に徹した日本近代100年の物語『電車道』も話題に。時間の大きな流れの中で生きる人々をとらえたその作品世界は、どんな読書生活から育まれていったのか? 商社に勤めながら40歳を前に小説を書きはじめた理由とは? ――一磯﨑さんは、お生まれは千葉県なんですよね。 磯﨑:そうです。でも千葉に住んでいたのは小学校までで、中学に上る前に家族で埼玉に引越しました。学校はその後ずっと東京ですね。中学も越境して東京に通っていました。 ――一読書の記憶といいますと。 磯﨑:まず最初に言っておかなければと思うんですが、家で本