革命やら戦争やら、もう何をしたって世界が変わることはない…。「世界の終わり」とか終末観だの閉塞感を、作品のテーマに一貫して採用しているマンガ家がいる。長編デヴュー作『凹村戦争』、『世界の終わりの魔法使い』、近作『ディエンビエンフー』の作者、西島大介さん。 しかし、一連の作品を相応に見れば、彼が「世界の終わり」に拘っているわけではないということが分かってくるだろう。じゃなきゃ、作家が「世界の終わり」とともに、ことのほか恋愛をも描き続けるはずはないではないか。 だからといって、西島作品は、ここ数年流行りのセカイ系に属するものではない。むしろ、「世界の終わり」という大局的な世界設定を悲劇的な背景として、ごく私的なラブロマンスを物語るというセカイ系特有の、「世界の終わり」をロマンチックに消費するスタンスを相対化する意志に満ち溢れたものだというべきだろう。 西島作品の決まって可愛らしい恋愛のエピソー