(三枝成彰/作曲家) すったもんだのオリンピックが終わった。コロナ禍で精いっぱいの健闘をされた選手の皆さんには敬意を表したい。しかしながら開閉会式の中継を見て覚えたのは、「オリンピックはすっかり広告代理店が仕掛ける学芸会になってしまった」という諦念である。 TV各局女子アナの“汗だくだく”五輪中継「金メダル」はこの人だ! オリンピックが商業主義化したのは1984年のロサンゼルス大会からだ。以来、開催に伴い動くカネはどんどん大きくなっている。今回の経費は7340億円から3兆円に膨れ上がり、史上最高額となった。 当初に掲げていた“コンパクトなオリンピック”はどこ吹く風。「オリンピックは儲かる」というイメージとともに、経費は肥大化を続けてきたのだ。 そこで乗り出したのが広告代理店で、スポンサーと組織委員会の間を取り持ち、メディアへの出稿を管理しマージンを取ってきた。4年に1度の数千億円の商機とも