法務省では法務大臣のみが記者会見をし、その場所で初めて法務省の見解を表明することになっています。 その他の法務省としての記者会見としては、政策会議後の副大臣によるブリーフ(説明)があります。 今日(2010/07/20)の千葉法相の記者会見。江川紹子さんがツイッターで言及されていました。法務大臣が明言したことを宿題として位置づけるためにも、江川さんの発言をまとめてみました。このブログ記事を通じて法務省政務三役会議の議論がこのような形で世の中に出てくるということを分かって頂ければ幸いです。 <<<<<引用ここから>>>>> 千葉法相会見。可視化について任意調べでの録音機持ち込みについて質問した。例えば、録音をさせてくれるなら出頭に応じるという場合どうかと。千葉法相は「任意はあくまで任意。いつでも帰らせてもらうことはできるし、録音を認めてもらって任意出頭に応じるというのも一つの対応の仕方と思う
今朝の朝日新聞(大阪本社)朝刊に「遠のく取り調べ可視化」と題して、千葉法相が慎重姿勢に転じたことなどを伝える記事が掲載されているが、それと同時に08年に取り調べの録音・録画を法制化した韓国の事情が紹介されている。録画は義務ではなく検察官の裁量によって行なわれるが、「被告が裁判で検事調書の内容を否定した場合には、録音・録画していなければその調書を証拠として使えない仕組み」になっているとのことで、検察側が録音・録画へのインセンティヴをもつような制度になっているようだ。法制化にあたっても「韓国と日本の違いは、捜査当局が積極的に可視化を進めている点だ」とされている。 きっかけは、04年に最高裁が捜査段階よりも公判段階での供述を優先する判決を出したことだった。捜査の成果が認められなくなると心配した検察が、調書を証拠として認めさせることと引き換えに法制化に動いた。 日本の刑事訴訟法でも調書は320条の
民主党は、先の衆院選マニフェスト(政権公約)において、「警察、検察等での被疑者取り調べの全過程についてビデオ録画等による可視化を図り、公正で透明性の高い刑事司法への改革を行います。」と述べ、「取り調べでの自白の強要による冤罪を防止するため、裁判で自白の任意性について争いになった際に検証できるよう、取り調べの全過程を録音・録画することを捜査当局に義務付ける」ことなどを述べていた。 しかしながら、政権交代後、取調べの可視化は期待した程には進展していない。 これは、中井洽国家公安委員長が、就任会見以来、「一方的な可視化だけでは済まない」と述べて、おとり捜査や司法取引などの導入を併せて検討していく必要があるとの認識を示し、「捜査当局には(共犯者や余罪の)摘発率を上げる武器を持たさないといけない」などと述べていることと関係がある。まさに、閣内不統一である。 法務省は、取調可視化について、千葉景子法相
足利事件の記事を読んで、保坂展人議員の次のような記事を思い出した。 私は、東京地裁で模擬法廷を見たが裁判長は、「被告人は捜査段階で供述をコロコロと変えています。こうした人は一般的に信用性が低いと言うんですね。」と裁判員に語りかけているのをモニターで見てゾッとした。公開された法廷で予断を排除して審理に臨むと言っても、裁判長の描くシナリオに裁判員が強く影響されてはならないし、刑事裁判の原則を懇切丁寧に裁判員に伝える「説示」も個々の裁判体の扱いに任せるという最高裁の姿勢は、あまりに無責任だ。 「裁判員法改正の実現を 凍結と罰則削除、2段構えで」(週間法律新聞第1806号 平成21年5月1日)より (太字は私が付したもの) この裁判長に限らず、こういう考えを持っている裁判官は少なくないと思う。 しかし、それを裁判員に「一般的に信用性が低いと言うんですね。」などと言う神経が理解できない。こうまで言わ
平成20年6月3日の参議院法務委員会で公明党の木庭健太郎議員は次のように述べていました。 今回、民主党から全面可視化を目指す、目指すというか全面可視化の刑事訴訟法の一部改正案が今回出されたわけでございます。私どもも将来的な全面可視化の方向性ということについては共通するものがあると思っております、あると思っております。ただ現段階で、先ほども御指摘がありましたが、日本の捜査方法の問題、そして今の捜査の現状を考えたときに、直ちに全面可視化ということが果たして本当に我が国の司法の中で正しい判断であろうかどうかということについては、いささか疑問を持っているというのが今の我が党のスタンスでございまして、まず検察、警察もそれぞれ可視化の方向で取組を始めたばかりであり、我々は、これらの施策、可視化だけでなく、その他の適正化で警察、検察が今歩み始めたその施策の十分な検証を行う必要もあると、こういうふうに認識
民主、社民両党は3日午前、取り調べの全過程を録音・録画を通じて可視化する刑事訴訟法改正案を参院に提出した。 法案は公布から1年半以内は殺人や強盗などの犯罪に限定して可視化し、3年以内に全犯罪を可視化の対象とする内容。また検察官が公判前に、手持ちの証拠のリストを被告人・弁護人側に提出することを義務付ける。 検察・警察は一部で録画・録音を試行しているが、法案提出後に記者会見した民主党の松野信夫参院議員は「一部では極めて不十分で、自白の部分だけ録画・録音し、裁判員に見せるとかえって誤判の恐れが出てくる」と指摘した。 両党は、5月の裁判員制度のスタート前の成立を目指しているが、民主党が平成19年秋の臨時国会に提出した同法案は、昨年の与党の反対で昨年の通常国会で廃案になった経緯があるため、今回も成立は困難な見通しだ。
このブログでもすでに触れていることですが、5月から始まる日本の「裁判員法」の趣旨は、国民の参加によって司法に対する国民の理解を増進し信頼の向上を図る点にあるとされていて、そこには「司法の民主化」という現状改革の理念はうたわれていません。 したがって、法律やその解説を見ても、どこにも「誤判」や「冤罪」の防止のための改革という視点を見出すことができません。日本では司法に対する信頼が高いといわれていますが、最近でも、2007年1月、強姦事件で有罪が確定していた富山の事件で、別の真犯人がいることが明らかになった「氷見事件」や、2007年2月、公選法で起訴されていた被告人らに強引な取調べによる虚偽自白の採取があったとして全員無罪になった「志布志事件」など、「誤判」による人権侵害事件が跡を絶ちません。 ここからは外国の例ですが、北大の白取教授によりますと、フランスでは、無実を主張した13人の被告全員が
2008年9月21日のお昼過ぎころ、千葉県東金市の道路脇で、全裸で倒れている5歳の保育園児が発見されて病院に搬送されたが、死亡が確認された。 この事件について、しばらく犯人が見つからない状況が続いていたが、千葉県警東金警察署の捜査本部は、同年12月6日朝から、現場近くに住む若い男性に任意同行を求め、死体遺棄容疑で事情聴取を始め、その男性の自宅の捜索も行い、その男性を死体遺棄容疑の被疑者として逮捕した。 その男性は、被害者の衣服などが入れられて捨てられていたレジ袋がみつかったマンションに住んでいる男性だった。 逮捕後の警察の記者会見においては、被疑者が精神発達遅滞と診断されていることから、記者発表資料では匿名としたが、事案の重大性を考慮するとして、口頭で実名を明らかにしたという。 そのため、マスコミは、被疑者について、実名報道主義に基づき、住所、氏名、年齢及び顔写真を大きく報道した。テレビで
知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう そんなことがどこの国で行われるのか?北朝鮮でも、中国でもなく、日本でのこと…。起訴休職外務事務官佐藤優さんがJR浦和事件(組合脱退者に組合に戻るよう強要した疑い=強要罪)で、取り調べを受けた人から直接取り調べの様子を聞いたことを報告した一節だ(マスコミ市民8月号掲載)。 【「訳が分からないまま突然捕まり、14日間も朝早くから夜遅くまで『お前は革マル派の秘密同盟員だろう』と迫られ、気を失って目が覚めると飯田橋の警察病院で、右手に手錠をつけられたままベッドにつながれ、左手に点滴を打たれた状態で取り調べが続いた」というのです。この話を聞いたとき、私の腹わたの血が逆流しました】 起訴休職中の佐藤さんがこの話を聞き、本当に起きたことだと感じ、講演会で話しているのだから、その信用性はかなり高いと考
昨日、鹿児島県志布志市に到着した私たち「志布志冤罪事件」社民党国会調査団は、突然亡くなられた永利忠義さんのお宅を訪れて焼香してから、鹿児島県警の「でっちあげ」の舞台となった虚構の「会合」の場とされた藤元いち子さん宅の和室を検証し、また苛烈な警察の捜査に追いつめられた懐俊裕さんが滝壺に身を投げた福島川の現場(懐さんは下流に偶然居合わせた人に救助される)を見て、永利さんの葬儀の前に、志布志無罪国賠訴訟原告団長の藤山忠さん宅に皆さんに集まってもらった。原告団は13人だが、2005年5月に検察庁から病院での取り調べを受けた山中鶴雄さんが死去しており、昨日の永利さんも去って11人となる。私たちは懐集落と志布志市内ですべての原告と会うことが出来た。 「今日は国会議員調査団、よくお越しになりました。永利さんで原告団からふたりを失いました。私たちにはあまり時間がありません。国も誠意をもって決着をしてほしい
警察・検察による容疑者の取り調べについて、全面的な録音・録画(可視化)を義務づける民主党提出の刑事訴訟法改正案が、6月3日、参議院で可決され、衆議院に送られました。しかし、政府与党は警察・検察ともに、「全面的に可視化すると取調べで真実の供述を引き出しにくくなり、捜査に支障を来たす」として反対していますので、可決される可能性はないようです。 ところが、このブログでも紹介しましたように、西欧諸国だけでなく、お隣の韓国や台湾でも、法務当局自身がこれまでの密室取調べの悪弊を認めて、取調べ過程の全面的な録音・録画(可視化)を認める方向に舵を切りつつあるのです。 韓国の国立警察大学校の李東熹教授によりますと、韓国警察庁は、すでに2003年の段階で取調べの全過程を録音・録画するという方針を打ち出し、韓国の法務部・大検察庁も、取調べ全過程の録音・録画制度を導入する趣旨が、捜査手続の科学化を促進し、また人権
Hiroshima Peace Site 広島平和記念資料館 日本弁護士連合会 弁護士会も頑張っています! イラクボディカウント イラクで日々、私たちと同じ罪のない民間人が死んでいく 05・12・20早稲田大学文学部でのビラ撒き不当逮捕を許さない 大学にきっちり謝罪させましょう!! News for the people 市民のためのニュースサイト 兵庫県弁護士九条の会 尊敬すべき先輩が参加している会です 弁護士梓澤和幸のページ 表現の自由、外国人の人権に取り組む先輩弁護士のHP 監獄人権センターHP 監獄の中で自由を奪われた人たちの人権に関心を寄せるすべての方々へ 憲法メディアフォーラム 憲法を巡るニュースを発信するサイト アリさんとジェインさんのHP 入管収容施設問題を考える アムネスティ・インターナショナル日本 GPPAC(ジーパック) 「紛争予防」を目的とした、世界的なNGOプロジ
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/society/88963.html 録音・録画では、黙秘や否認の増加、容疑者が意図的に真相をゆがめて話すことを懸念。関係者の保護や協力確保に支障がある事件は「試行対象から除外すべきと思われる」とし、基準づくりの必要性を指摘した。 「警察庁認定」の有識、ですから、この程度のレベルであるのはやむをえないと言えばやむをえないことですが、「黙秘権」というものが、憲法上も保障された権利である、ということを念頭に置いて物を言う程度の有識は持ち合わせておいてほしいですね。捜査機関が言うならばともかく、有識を標榜するものが、「黙秘」の増加を懸念する、すなわち、正当な権利行使が増加することを懸念する、ということを口にする愚かしさ程度には、気づいてほしいものです。 志布志事件や富山における冤罪事件等々、取調べの可視化の流れを加速させたのは、
先週から急に増えた質問です。 15〜17歳の場合、見かけでは児童だとわからない場合があるので、捜査機関も自白獲得に躍起になります。 「不起訴」にするのは検察官の権限ですし、認めたら証拠が揃うので起訴するのが普通(不起訴率は数%)なので、信用できません。 50期後半の知らない弁護士からの電話。 「事案がわからないと量刑なんて決まらないことも知らないのは当たり前で、弁護士らしからぬ愚問ですね。ある程度量刑要素を教えないと絞れませんよ」と前置きした上で、「親族関係」のみで検索して「データでは懲役1年4月〜6年。まれに執行猶予。厳刑化傾向」と回答しました。 実刑の場合は刑期が気になると思うんですが・・・。
密室でおこなわれる不透明な取り調べを可視化するため、警視庁が来年度から録画による記録を予定している件について、早くも捜査現場から反発の声が上がっている。第一線で捜査や取り調べに従事する刑事たちが、 「録画ならこれまでも徹底しておこなってきた」 と異を唱えているというのだ。 東京・新宿にある警視庁七曲署。 「ウチではもう、1972年から捜査過程を録画していますよ」 と憤慨するのは捜査一係の藤堂俊介係長。これまでに記録してきたビデオは延べ718時間ぶんにも及ぶ。「開かれた警察」を意識し、徹底した情報公開をおこなってきた。その対象は取り調べ風景にとどまらない。若手刑事の死亡率の異様な高さで知られる同署では、なんと刑事の殉職シーンまで記録・公開しているのだ。取材する記者に「なんじゃあこりゃあ!」と叫びながら死んでいく刑事の映像を見せながら、藤堂係長は「これでも可視化が足りませんか」と涙ぐむ。 同様
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080314/trl0803142331018-n1.htm 警察庁は今回、可視化の試行を検討するにあたり、組織犯罪の捜査などは除外する方向だ。 「暴力団犯罪や麻薬などの組織的密売など、組織犯罪の取り調べでは、容疑者の供述がその後の捜査を大きく左右する。容疑者と取調官の特有の信頼関係が前提で、録音、録画にはなじまない」。ベテラン捜査官は指摘する。 警察庁は検察の試行状況をにらみ今後、制度の細部を検討する。ある幹部は「犯罪の解明に支障を来さず、任意性の立証に役立つ制度設計を作るのは、かなり難しい作業になる」としている。 この問題に関し、捜査機関がよく言う「信頼関係」なるものが、真の意味での信頼関係なのかどうか、ということが、現状では検証しようがない、ということが大きな問題でしょう。検事に頼んで求刑を軽くしてやる、こ
知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう 同房者による事情聴取を基に放火・殺人で起訴され、無罪となった引野口事件の判決骨子を入手したので、早速読んでみた。そこには驚くべき内容が書いてあった。同房となった一般人を捜査の道具(スパイ)として利用していたのだ。取り調べの全過程が録画されることになってさえいれば、警察は違法捜査と認定されるおそれがあるため、一般人を利用した捜査を躊躇したのは間違いない。やはり、早期に取り調べの全過程の録画が必要だ。 判決は、まず、本件被告人と後にスパイとなる人物の身柄関係を図解しながら、捜査の流れを認定している。冒頭の図がその図解だ。被告人は5月25日から6月24日まで水上署に身柄が置かれ、後にスパイとなる人物が偶然6月18日から同署に留置・勾留され、本件被告人と同房となった。 本件被告人は殺人・放火に
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