本日の愛和のおすすめは流輝(るか) 特別純米夏囲い生。 東京いる時に何度か飲んだ記憶があるものの、この色(仕込み)は初めて(後から調べたらけっこうレアらしい) やや酸い系のキレとツルッと口喉を通って行く感じにあわせて、長野・群馬に多い米の基礎味がしっかりと広がって余韻として残ります。 (2014/6/23)
本日の愛和のおすすめは流輝(るか) 特別純米夏囲い生。 東京いる時に何度か飲んだ記憶があるものの、この色(仕込み)は初めて(後から調べたらけっこうレアらしい) やや酸い系のキレとツルッと口喉を通って行く感じにあわせて、長野・群馬に多い米の基礎味がしっかりと広がって余韻として残ります。 (2014/6/23)
銀河系の中心部(写真中央から右寄りの白っぽい領域)は、巨大なブラックホールのある、混沌として謎めいた場所だ。新しい研究によると、この領域が放射する強力なX線は、死んだ星の集団から発生しているのかもしれない。(IMAGE BY NASA, ESA, SSC, SXC, AND STSCI) 銀河系の中心部には、巨大なブラックホールがある。その周囲では恒星やガス雲が猛スピードで渦巻き、とても騒がしい場所だ。このほど天文学者が、この渦から高エネルギーX線のもやが立ちのぼっていることを突き止めた。X線は死んだ星から出ていると考えられる。この場所の星の数は非常に多く、星の墓場と言ってよいほどだという。論文は科学誌「Nature」に掲載された。 X線は銀河系の中心部のブラックホールのまわりに集中していて、直径13光年、厚さ26光年の領域から出ている。論文の筆頭著者である米ハバフォード大学のカースティン
ウェッブ宇宙望遠鏡の主鏡を構成する六角形セグメント。主鏡は合計18枚のベリリウム製セグメントから成り、赤外線を反射しやすいように24金でコーティングされる。(PHOTOGRAPH BY NASA/MSFC/DAVID HIGGINBOTHAM) 25年前の4月24日、史上最大で最高のハッブル宇宙望遠鏡は、スペースシャトル・ディスカバリーによって地球低軌道に打ち上げられた。時をさかのぼり、宇宙の秘密を解明することが目的だった。 しかし、計画に20年もの歳月と15億ドルを費やしたハッブルが最初に送ってきた画像は、何ともひどいものだった。完ぺきな精度で作られたはずの集光ミラーに不具合があったのだ。 3年後、次のシャトルが修理に向かった。その後ハッブルは世界クラスの革新的な観測結果を送るようになり、壮大な画像に多くの地球人が魅了された。 ハッブルの写真で星の旅へ。数千個の星が集まるWesterlu
NASAのNuSTAR望遠鏡が撮影した衝突する2つの銀河。どちらの銀河も中心部に巨大なブラックホールがあるので、近い将来、ブラックホールどうしが激しい衝突を起こして、重力波を送り出すはずだ。(PHOTOGRAPH BY NASA/JPL-CALTECH/GSFC) 天文学者が想像する宇宙で最も激しい衝突現象は、2つの巨大ブラックホールどうしの衝突だ。この現象が目撃されたことはまだないが、このほど『アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ(Astrophysical Journal Letters)』誌に掲載された論文によると、近いうちに見ることができるかもしれない。 論文を執筆した米メリーランド大学の天文学者ティンティン・リュー氏らは、宇宙の端近くで周期的に増減する光が、2つの巨大なブラックホールの存在を知らせていると主張する。ブラックホールの質量は合わせて恒星100億個分にもなり、お互い
アンドロメダ銀河(M31)の中心部の右下に写っている輪郭のぼやけた丸い天体は、コンパクト楕円銀河M32だ。M32はM31の伴銀河だが、ほかの放浪するコンパクト楕円銀河と同様、激動の過去を持つのかもしれない。(PHOTOGRAPH BY R. GENDLER) 宇宙は放浪者でいっぱいだ。何十億という惑星や恒星が生まれ故郷を離れてさすらっているが、このほど、銀河がまるごと放浪者の仲間入りをした。 4月24日付け『Science』誌に掲載された論文によると、コンパクトな銀河は、重力の作用によって故郷の銀河団からはじき出される場合があることが明らかになったという。 コンパクト楕円銀河と呼ばれる銀河は、星の密度が高く、ボールのような形をしていることが多い。また、ほかの銀河に比べてかなり小さく、星の数はせいぜい数十億個である。私たちの銀河系は平均的な銀河だが、約1000億個の星からなる。 コンパクト楕
夜空に輝く月は、今から45億年近く前に、地球と火星サイズの天体との激しい衝突「ジャイアント・インパクト」が引き金となって形成された。『Science』4月17日号に掲載された論文によれば、この衝突で飛び散った破片が小惑星帯まで到達し、小惑星に痕跡を残していたことが明らかになった。 論文の著者である米サウスウエスト研究所のビル・ボトケ氏は、「内部太陽系(現在、地球や火星といった岩石惑星がある太陽に近いエリア)で起こった衝突としては最大規模の、とてつもない出来事でした」と言う。「膨大な量の破片ができて、そのうちのかなりの部分が地球―月系から放り出されました」。 研究者らはまず衝突のシミュレーションを行い、多数の大きな破片が火星と木星の間にある原始小惑星帯を突き抜けた可能性を明らかにした。次に、その小惑星帯から隕石として地球に落ちてきたものを34個調べた。2013年にロシアのチェリャビンスク州上
NASA/ESAのハッブル宇宙望遠鏡が撮影した、融合する4つの銀河の画像。そのうちの1つの銀河を取り巻くダークマターの「ハロー(かたまり)」の分布が銀河とずれているように見え、ダークマター粒子が実在する証拠である可能性が出てきた。(PHOTOGRAPH BY ESO) 天文学者は80年近く前から、宇宙を満たす謎めいたダークマターの正体を明らかにしようと努力してきた。彼らがダークマターの概念を思いついたのは、銀河の運動を観測すると、宇宙の質量が目に見える星や銀河の質量だけでは説明できないほど大きいように見えるからだ。彼らはこの物質を、ビッグバンの際に大量に生成した、重力には関わるもののどうやっても目に見えない素粒子だろうと推測した。天文学者はこうした素粒子を直接観察できていないため、ダークマターは基本的にまだ理論上の存在である(参考記事:「謎に満ちた見えない宇宙」)。 今回、ハッブル宇宙望遠
月は、生まれたばかりの地球に火星サイズの天体が衝突したときに形成されたと考えられているが、このシナリオの詳細はまだ完成していない。(ILLUSTRATION BY HAGAI PERETS) 昔から「どんなものでも細かいところがいちばん厄介だ」と言われるが、月の誕生をめぐる物語も、数十年前にあらすじだけは定まったが、ディテールはいまだに完成していない。 地球がどのようにして月という小さな友人を得たのか、だいたいのところはわかっている。およそ45億年前、地球が誕生して間もない頃に、火星サイズの天体テイアが衝突した。これによりテイアは粉々になり、融解した高温の破片が地球のまわりの軌道に撒き散らされた。この破片が数億年かけて融合し、地球の夜空に輝く天体になったのだ。ちなみにテイアは、ギリシャ神話の月の女神セレネの母の名前である。 問題は、重要な観測事実のいくつかが、このジャイアント・インパクト説
ペルーのマツェス族。数少ない狩猟採集民族のひとつで、塊茎類やバナナを主食としている。(Photograph by Jeffrey L. Rotman, Corbis) オクラホマ大学とペルーの国立保健研究所の研究者らが、アマゾン川上流を訪れ、人の腸内細菌の調査を行った。この結果、ある人がどんな腸内細菌を持っているかは、住んでいる場所よりも、食べているものに左右されることが判明した。 3日間かけて行われた今回の調査の目的は、日々の食事とライフスタイルが、人間の腸内に存在する数百兆個の細菌がつくる集団、つまり「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」の構成にどのような影響を与えるのかを詳しく調べることだった。 腸内細菌叢は、消化と代謝において大きな役割を果たしており、肥満、糖尿病、大腸がんといった疾患へのかかりやすさとも密接な関わりがある(関連記事:2013年1月号「小さな細菌の世界」)。 オク
初期の太陽系で起こった惑星同士の衝突(想像図)。太陽の近くを回っていた、木星よりも小さな地球型惑星は粉々に砕けてしまった。(Illustration by NASA/JPL-Caltech) まるで建物を解体する巨大な鉄球のように、数10億年前、木星は内部太陽系(現在、地球や火星といった岩石惑星がある太陽に近いエリア)を大移動し、地球に似た生まれたての惑星を粉々に砕いていたという新説が発表された。 なぜ私たちの太陽系は、他の惑星系と大きく違うのか。3月23日に学術誌「米国科学アカデミー紀要」(Proceedings of the National Academy of Sciences)に掲載された画期的な発見により、この長年の謎の解明に一歩近付けるかもしれない。 少なくともこの銀河系では、地球よりも大きな惑星が恒星のかなり近くを周回しているのが惑星系の標準的な姿らしい。ところが太陽系では
ヘビ毒への免疫をもつキタオポッサム(カリフォルニア州モントレー湾で撮影)。(Photograph by Sebastian Kennerknecht, Minden Pictures/Corbis) 見たところあまり賢そうではないオポッサムだが、その血液が世界中のヘビ毒に効くかもしれないという研究結果が報告された。 カリフォルニア州、サンノゼ州立大学の研究チームは、北米に生息する有袋類オポッサム(フクロネズミ)の血液中に含まれるペプチド(複数のアミノ酸からなる分子)に、ヘビ毒を中和させる効果があることを突き止めた。マウスを使った実験で、米国に生息するニシダイヤガラガラヘビ(学名:Crotalus atrox)とインドのラッセルクサリヘビ(学名:Daboia russelii)の毒を無毒化させることに成功した。 「ヘビ毒を注入されたマウスにペプチドを注射したところ、中毒症状が全く現れませんで
火星の北半球にメイブンが観測した、紫外線の波長のオーロラを紫で示したイラスト。(ILLUSTRATION COURTESY NASA, UNIVERSITY OF COLORADO) 火星軌道を周回中の探査機メイブン(MAVEN)から、二つのサプライズが届いた。大気の下層部で発生した珍しいオーロラと、謎のダスト雲である。NASAの研究チームが18日、月・惑星科学国際会議(Lunar and Planetary Science Conference)で発表した。 同プロジェクトの主任調査員、ブルース・ジャコスキーは「ダスト雲に含まれる塵(ちり)がどこから来たかはわかりません」と述べ、この塵が2012年にやはり火星で発見された謎のプルームとは無関係であることを示唆した。 クリスマスの光 火星のオーロラは過去にも観測されたことがあるが、今回観測されたものは、そのどれにも似ていない。クリスマス直前
3月17日、強力な太陽嵐が発生した。きっかけは、コロナ質量放出(CME)と呼ばれる、太陽から荷電粒子が外へ吹き出す爆発現象が2度にわたって起きたこと。それは猛烈な磁気嵐を発生させた。 太陽嵐は「太陽の津波」ともいえる現象だが、2度の爆発は1つの巨大な塊となり、太陽から地球まで1億5000万キロの距離を移動して、日本時間18日午後1時30分に 地球を取り囲む磁気圏に入った。 磁気圏が乱れて発生した磁気嵐は、米国海洋大気庁のNOAAスケールでレベル「G4」とされ、2013年秋の太陽嵐以来、最も強いものとなった。 NOAAによると、磁気嵐の強度はG1(小さな)からG5(極端に大きな)までのレベルがありG4はG5に次ぐ強さ。太陽活動の周期11年の間に100回ほど発生するとされている。 影響としてはまず、電力網に障害をもたらす可能性がある。実際、過去にはそうした障害が生じたことがある。1989年3月
南極海に生息するマダコ科の一種(Pareledone charcoti)。タコの血液には銅を含むヘモシアニンという酸素運搬タンパク質が存在しているため、青色を帯びている。(Photograph by Tomas Lundalv) 一説には白い肌に静脈が青く浮き出ている様子にちなみ、高貴な生まれの人を「青い血(blue blood)」と表現することがあるが、タコの血管を流れる血液は赤ではなく本当に青い。 タコの血液が青いのは、銅を含むヘモシアニンというタンパク質が酸素を運搬しているからだ。ヘモシアニンは本来透明だが、エラから取り入れた酸素と結びつくと青色になる。一方、ヒトの血液が赤いのは、肺から取り入れた酸素を全身に運搬するヘモグロビンというタンパク質が鉄を含んでいるからだ。 ヘモグロビンもヘモシアニンも、酸素を必要とする組織のところで運んできた酸素を切り離すことで、全身に酸素を行き渡らせて
土星探査機カッシーニから撮影したエンケラドス。手前には縞模様を描く地表が見える。奥には、氷から立ち上る水蒸気も。水蒸気は内部海から発生していると考えられ、この星が生命の存在に適した環境であることが示唆される。(PHOTOGRAPH BY CASSINI IMAGING TEAM, SSI, JPL, ESA, NASA) 土星の衛星エンケラドスには、地球外生命が存在してもおかしくないと考えられてきたが、その説を後押しする新たな発見が、3月12日付『Nature』誌に発表された。 米コロラド大学のシャンウェン・スーほか東京大やJAMSTECらの研究チームが投稿したこの論文は、エンケラドス表面の分厚い氷の下にある「内部海」から噴出する微粒子について報告している。フランス・ナント大学のガブリエル・トビーは、同論文の付随論評において、その粒子の化学的性質は、「地球で最初の生命体が誕生した場所」とよ
論争の渦中にある化学物質ビスフェノールA(BPA)を使用していないプラスチック・ボトル。米国のアウトドア用品店で撮影。(PHOTOGRAPH BY DAVID MCNEW, GETTY) プラスチック・ボトルやレジのレシートなどに「BPAフリー」のラベルが付いているのを見たことがあるだろうか。BPAとは「ビスフェノールA」という名の化学物質のこと。女性ホルモンのひとつであるエストロゲンに似た作用を持ち、人や動物の健康にさまざまな影響を及ぼすとされているため、欧米では多くの消費者がBPAを含む製品を避けている。 ところが先週、学術誌『Environmental Health Perspectives』に掲載された論文で、BPAの代替品として広く使用されているもうひとつの化学物質BPS(ビスフェノールS)も、生物に同様の影響を及ぼす可能性があることが報告された。「BPSは必ずしも健康問題と無縁
光り輝くクエーサーに囲まれたブラックホールのイラスト(ILLUSTRATION BY ZHAOYU LI, SHANGHAI ASTRONOMICAL OBSERVATORY) 太陽120億個分の質量を持つ、超巨大なブラックホールが発見された。中国・北京大学の天文学者ウー・シュエビン氏らの国際研究チームが、2月25日付『Nature』誌に発表した。 今回見つかったのは、過去最大のブラックホールというわけではない。ただし驚くべきはその成長の早さだ。ビッグバンからわずか8億7500万年(宇宙の歴史全体のうち最初からわずか6%の時点)で、太陽120億個という圧倒的な大きさに成長したと考えられる。「そのような短期間で、どのようにしてこんなに大きくなったのだろうか」とウー氏。これまでブラックホールは周囲のガスや星を吸い込みながらゆっくり成長すると考えられていたが、今回の発見により、その説が覆されるか
膨大な量の高温のガスの柱を噴出する超巨大ブラックホール。NGC 1068という銀河のX線画像と光学画像を合成した。(PHOTOGRAPH BY X-RAY: NASA/CXC/MIT/UCSB/P.OGLE ET AL.; OPTICAL: NASA/STSCI/A.CAPETTI ET AL.) 遠方の銀河の中心にある超巨大ブラックホールから光速の3分の1という途方もないスピードで四方八方に噴出する「げっぷ」のような風は、ブラックホール自身の成長を制限し、その付近での星形成を終わらせている可能性があるという研究を、英国の研究者らが2015年2月20日付『Science』誌で発表した。 英国キール大学の天文学者エマヌエーレ・ナルディーニらは今回、欧州宇宙機関のX線観測衛星XMM-ニュートンとNASA のX線宇宙望遠鏡NuSTARを使って、へび座のPDS 456というクエーサーから噴出する高
今から7万年前、太陽系を通過するショルツ星と褐色矮星(手前)のイラスト。太陽(左後方)は、明るい恒星に見えただろう。この連星系は現在、20光年の距離にある。(ILLUSTRATION BY MICHAEL OSADCIW, UNIVERSITY OF ROCHESTER) 今から7万年前、太陽系の内側に、ある星が飛来した。現生人類がアフリカからの移動を始めようとしており、ネアンデルタール人も絶滅していない時代である。 学術誌『Astrophysical Journal Letters』に発表されたレポートによると、地球から1光年未満の距離をかすめ去ったその星は、史上もっとも接近した、恒星と地球のニアミス事故だった。 「ショルツ星」と呼ばれるその赤色矮星は、ふつうは薄暗くて肉眼では見えない。しかし、地球への接近時には、初期人類の目に、その燃え上がる姿を見せたことだろう。科学者が、ショルツ星の
2015年2月上旬、米国イエローストーン国立公園で「ビッグフット(北米の山中に生息するとされるヒトに似た毛深い未確認動物で、サスクワッチとも呼ばれる)」の姿を捉えたとされる動画がネット上で拡散して話題になった。そこで今回は、歴史的に有名な科学イカサマをいくつかご紹介したい。なお、この低画質の動画はまだ正式にはイカサマと判定されていないが、科学者も公園当局も、観光客や野生動物のいる公園内を未知の二足歩行動物がうろついている可能性はきわめて低いと言っている。 撮影された生き物は、ビッグフットの着ぐるみを来た人間だろうというのが大方の見方であるが、その正体が明らかになるのはいつなのか、そもそも正体が明かされることがあるのかはわからない。多くの古典的なイカサマは、懐疑的な人々によって見破られたり、当事者が嘘を告白したりして終息している。 もちろん、だからといって、この世界から小さな謎が1つもなくな
ガラパゴス諸島に生息する小型の鳥「ダーウィンフィンチ」のくちばしのさまざまな形は、生物の自然選択の研究において重要な意味を持つとみなされて来た。 (左はダーウィンによるイラスト、右はガラパゴスフィンチの写真)(Photographs by Paul D.Stewart, Science Photo Library/Corbis and Joel Sartore, National Geographic) 幅広いくちばし、細長いくちばし、尖ったくちばし、先の丸いくちばし。辺境のガラパゴス諸島に生息するフィンチに見られるくちばしの多様さは、生物は環境に適応して変化して来たとダーウィンが考えるきっかけとなった。 そのくちばしの多様性を生み出すある遺伝子を「ガラパゴスフィンチ(学名:Geospiza fortis)」の DNA を分析していた科学者らが発見し、ヒトの顔の形成に関わる遺伝子がさまざま
子どもへのワクチン接種は危険と考える人は依然として多い。(Photograph by Joe Raedle, Getty) 遺伝子組み換え食品を、科学者はYesと言い、消費者はNoと言う。 さまざまな科学技術の進歩について、科学者と米国の一般市民の間に大きな「見解の隔たり」があることが、米国ワシントンD.C.に拠点を置くシンクタンク、ピュー研究所の調査で明らかになった。 同研究所が1月29日に発表した調査結果によると、気候変動の原因や原子力の安全性といった議論では、従来と変わらず両者の溝は埋まっていない。さらに、麻疹(はしか)の流行とワクチン未接種の子どもたちとの関連をめぐる論争についても、科学者と一般人の間で意見の食い違いが生まれている。 「気候変動は人間のせい」に賛成は半数 科学者たちはこうした認識の相違について、社会に研究成果を伝える彼ら自身の能力不足や、科学教育の不足が原因とみてい
太陽系外惑星J1407bの周囲には、少なくとも30本の環からなる巨大な円盤が取り巻く。この円盤が主星の前を横切るには2カ月かかるという。(Illustration By Ron Miller) 4年前に発見された太陽系外惑星J1407bは、地球から約430光年彼方にある恒星の周りを公転し、木星の10~40倍の質量を持つとされる。このほど、オランダ・ライデン大学のマシュー・ケンワージーらの研究により、土星のような環を持つことが明らかになり、この惑星の巨大な環の構造に関する彼らの論文が『アストロフィジカル・ジャーナル』に掲載される。 確認されている2000ほどの太陽系外惑星の中で、J1407bは特に大きいわけではない。ただ、土星のような環があると考えられるものはJ1407bが初めてで、しかもその環は、上のイラストのように驚くほど巨大だ。これを太陽系の土星に当てはめた場合、土星の環が隣の木星との
NASAのオービターが撮影した写真で、10年以上行方がわからなかった〈ビーグル2〉が発見された。着陸船、パラシュート、カバーは見事着陸に成功していたが、地球との無線が通じることはなかった。(PHOTOGRAPH BY NASA, JPL-CALTECH/UNIV. OF ARIZONA/UNIVERSITY OF LEICESTER) 欧州宇宙機関(ESA)が打ち上げた無人火星探査機〈ビーグル2〉が見つかった。同機は2003年のクリスマスに赤い大地に向けて降下したあと、消息を絶っていた。 はたしてビーグル2は着陸できたのか? できたのであればどこに? という10年来の疑問は解決されたが、無線がつながらなかった理由は、まだわかっていない。NASAの探査機〈マーズ・リコネサンス・オービター〉から送られた写真には、着陸予定地点から3マイル(4.8km)ほど離れたイシディス平原に、太陽電池パネルが
リトルセントサイモンズ島(米国ジョージア州)で海をめざして進むアカウミガメの子ガメ。(PHOTOGRAPH BY MICHAEL MELFORD, NATIONAL GEOGRAPHIC) ウミガメは、世界各地の浜で孵化した後、何年間も広大な海を回遊する。それから自分の生まれ故郷に戻ってきて交尾し、産卵する。 長距離移動に正確な位置情報が必要なのは、人間もほかの動物も同じ。渡りや回遊をする動物の多くは、目に見えない地磁気を感じとって位置情報を得ている。ウミガメもこの方法で位置情報を感知していることは以前からわかっていたが、生まれ故郷の浜に正しく戻ってくる仕組みについてはよくわかっていなかった。 最新の研究により、その答えが明らかになった。ウミガメはここでも地磁気を利用して故郷を見つけていたのだ。海岸線の各地点には固有の磁気特性があり、ウミガメはこれを刷り込みによって覚え、故郷に帰るための体
地球の8倍の質量を持ち、岩石からなる太陽系外惑星「かに座55番星e」の想像図。部分的に溶融した表面(左)と、火山活動が始まり、噴出したガスや塵により部分的に覆い隠されている様子(右)。(ILLUSTRATION BY NASA/JPL–CALTECH/R. HURT) 太陽系外惑星に関する最近の報告の中でも、今回、論文サーバー「arXiv」に投稿された論文は驚くべきものである。地球から40光年の彼方にある「かに座55番星e」という太陽系外惑星で、大規模な火山活動が起きているかもしれないというのだ。 この論文の共同執筆者である英ケンブリッジ大学の天体物理学者ニック・マドゥスダン氏は、今回の発見について「非常に興奮しています」と語る。 太陽系外惑星は1990年代から発見されはじめたが、詳細な観測はハッブル宇宙望遠鏡の後継機となるジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げを待たなければならないと考
画像では青い染みのようにしか見えないが、EGS-zs8-1銀河は地球から約131億光年の彼方にあり、ビッグバンから7億年以内に形成された。この銀河までの距離を厳密に測定できたことは、天文学者にとっては技術的快挙である。(PHOTOGRAPH BY PASCAL OESCH AND IVELINA MOMCHEVA, NASA, EUROPEAN SPACE AGENCY VIA AP) 宇宙で最も遠い銀河が新たに見つかった。 このほど米国ハワイのケックI望遠鏡が、131億年前にこの銀河EGS-zs8-1を出て、はるばる地球まで旅してきた光をとらえたのである。 この記録も遅かれ早かれ覆される運命かもしれないが、現時点でEGS-zs8-1がこれまでに発見された最遠の銀河であることは確かだ。今回とらえられた光は、ビッグバンから7億年も経たない時代に、誕生から約1億年しか経っていないEGS-zs8
クエーサーは、銀河の中心にある巨大なブラックホールに物質が落ち込むときのエネルギーによって強烈に輝いている天体だ。今回、非常に明るい星雲の中に、きわめて珍しい四つ子のクエーサーが埋もれているのが発見された。(PHOTOGRAPH BY HENNAWI & ARRIGONI BATTAIA, MPIA) 天文学者のチームが、観測可能な宇宙の端で四つ子のクエーサーを発見した。クエーサーは非常に明るい天体で、ふつうはばらばらに存在しているが、今回発見された4個のクエーサーは、わずか65万光年という狭い範囲にひしめいている。 5月15日付け学術誌『サイエンス』にこの論文を発表したジョゼフ・ヘナウィ氏は、「平均すると、クエーサーどうしは1億光年ほど離れて存在しています。4個のクエーサーがこんなに狭い領域で見つかる確率は1000万分の1です」と言う。 1960年代初頭にクエーサーが発見されたとき、その
新たに発見された銀河WISE J224607.57-052635.0のイラスト。太陽の300兆倍以上という、宇宙一の明るさを誇る。(Illustration by NASA) 1000億個、あるいはそれ以上の銀河がひしめく宇宙で、最大の輝きを放つ銀河が見つかった。 新たに発見された銀河WISE J224607.57-052635.0の明るさは、太陽の300兆倍を超える。米NASAジェット推進研究所(JPL)の天文学者ピーター・アイゼンハルト氏らの研究チームが、専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル」6月号に発表した。 地球からはるか遠く離れたこの銀河の輝きは、恒星によるものというよりも、むしろ「怪物級のクエーサー」から出ているとアイゼンハルト氏は話す。 クエーサーは、銀河の中心にある巨大なブラックホール。ガスを大量に吸収し続けているため、周囲のちりが加熱されて数百万度もの高温になる。そうし
地球から3000光年ほど離れた銀河系内の星「Nasty1」は、急速に太陽よりもずっと巨大になる「ウォルフ・ライエ星」というタイプに分類されている。だが、典型的なウォルフ・ライエ星とは挙動が異なっていたため、研究者たちはその素性を解き明かそうと長年にわたり取り組んできた。 「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society」のオンライン版で5月21日に発表された報告によると、このたび天文学者らがハッブル望遠鏡を使って観測したところ、この星を幅2兆マイルという巨大な円盤状の星雲が取り囲んでいることが明らかになった。このような星雲が見つかったのは初めてだ。 中央に見える明るい2つの点は主星と伴星。つまり、2つの星があり、その間に描かれる明るい線は、伴星が主星から引き込むガスを示している。だが、なかにはこの共食いから逃れるガスがあり、それが巨大な星
冥王星の衛星ニクスの4年間の運動を2分のアニメーションにしたもの。自転が予測不可能な変化をしていることがわかる。(Video: NASA; ESA; M. Showalter, SETI Institute; G. Bacon, STScI) NASAのニューホライズンズ探査機が冥王星に最接近する7月14日まであと数週間。ハッブル宇宙望遠鏡による冥王星の観測データから、冥王星の衛星のうちニクス、ヒドラ、ケルベロス、ステュクスの4つが予測不能な奇妙な動きをしていることが明らかになり、6月4日付け『ネイチャー』誌に発表された。 「ニューホライズンズはすばらしく魅力的な系に入ろうとしているのです」と、論文を執筆した米SETI研究所のマーク・ショーウォルター氏は言う。 不規則にごろごろ転がっていた ショーウォルター氏はハッブル宇宙望遠鏡の膨大な量の画像を調べ、冥王星の小さな衛星の中では比較的大きい
発光するグラフェン。米国と韓国の研究者チームによる発見を表現したイラスト。(ILLUSTRATION FROM YOUNG DUCK KIM, COLUMBIA ENGINEERING) 電球がまたひとつ大きな進化を遂げた。厚みが炭素原子1個分で、最高レベルの強度を持つシート状の物質「グラフェン」を使った光源が誕生したのだ。 純粋な炭素からなる物質から、柔軟性が高く透明な光源を作ることに成功したのはこれが初。将来的には半導体チップの電子回路の代わりに光を利用する技術の開発も期待されており、これが実現すればコンピューターも大きく変貌するかもしれない。 「われわれが作りだしたのはいわば世界でもっとも薄い電球です」と、論文の共著者である米コロンビア大学工学教授のジェームズ・ホーン氏は語る。今回の成果は、韓国の研究者と米コロンビア大学のチームによって、6月15日に学術誌『Nature Nanote
アポロ計画の宇宙飛行士たちは、月の地平線上に謎の光を目撃した。写真は米国の月探査機クレメンタインが撮影。(PHOTOGRAPH BY NASA) 月は常にいびつな形の塵の雲に包まれていることが、米コロラド大学などの調査で明らかになった。大気のない天体のまわりに雲があるだけでも奇妙だが、この塵の雲を作り出した犯人はもっと変わっている。彗星だ。 彗星は小さな塵粒子をまき散らしながら太陽の周りを軌道運動しているが、6月18日付『ネイチャー』誌に発表された論文によると、軌道に残った塵粒子が月に衝突すると、月の塵が一時的に宇宙空間に舞い上がるという。「月は私たちに最も近い天体ですが、いまだに驚かされることばかりです」と、米NASAのゴダード宇宙飛行センターのリチャード・ヴォンドラク氏は語る。 流星群の時期に増える塵 観測によると、月の上空には常に平均120kgの塵が漂っているという。この塵は月面から
レクサスが広告キャンペーン用に製作したホバーボード。液体窒素で冷却した超伝導体と磁石を利用して浮いている。(PHOTOGRAPH COURTESY LEXUS) 街を乗り物で飛び回るハリウッド映画の世界が、いよいよ現実に? 「世界初の空飛ぶバイク」に米陸軍が興味を示しており、トヨタ自動車の高級車ブランドであるレクサスは「空飛ぶスケートボード(ホバーボード)」を作り上げた。 とはいえ、空中に浮き上がる乗り物が発売されるのはまだ少し先になりそうだ。安全性のテストが必要だし、規制についても精査しなければならない。なかには実用化というより、注目を集めるために開発されたものもある。例えばレクサスのホバーボードは、トヨタが開発中だという「空飛ぶクルマ」の下敷きとなるものではないと言う。 先週同社のウェブサイトに登場したホバーボードについて、レクサスのスポークスマンであるモエ・デュランド氏は「実際に浮い
窓に映る時計と光の筋。チェコ共和国プラハにて撮影。(PHOTOGRAPH BY ABRAHAM NOWITZ, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE) 日本時間の7月1日、時が止まる。でも、心配することはない。ほんの1秒のことだから。 地球の公転と私たちのカレンダーを合わせるためにうるう年が存在するのと同様に、地球の自転と時計を合わせるためにうるう秒がある。この種の微調整は、原子時計が発明されるまでは問題にならなかった。たとえば原子時計のひとつであるセシウム時計は、地球の回転に基づく時計よりもずっと正確に時間を測ることができる。正確さが異なれば、やがて2つの時計にはズレが生じる。つまり、地球の自転を基準とした時間と原子の時間を合わせるうるう秒が必要になる。 うるう秒は、協定世界時(UTC)の23時59分59秒(日本標準時JSTの翌7月1日8時59分59秒)に追加される。
地球の輪郭を背にした国際宇宙ステーション。米国、ロシア、日本、欧州が分担して補給物資を届けている。(PHOTOGRAPH BY NASA) 6月28日、国際宇宙ステーション(ISS)への補給物資を積んだ米スペースX社のロケットが、打ち上げ後に爆発した。これで、宇宙ステーションへの物資補給ミッションは3回立て続けに失敗したことになる。 過去1年間で、大量の食料、資材、実験機器が煙と消え、宇宙ステーションと宇宙飛行士への補給問題だけでなく、急成長を見せる民間宇宙産業の先行きを懸念する声が上がっている。 一方、3人の宇宙飛行士が滞在する宇宙ステーションの時計は着実に進み続けている。 「民間企業による補給プログラムでは、補給機の損失も計算に入れられている」とNASAのチャールズ・ボールデン長官は声明を出した。しかし、度重なる失敗の結果、宇宙ステーションでは7月末までには予備の食料とトイレ用タンクに
高解像度望遠鏡(HDST)で見たと仮定した画像の例(右)。ハッブル望遠鏡(左)に比べて、100億光年先にある銀河がおどろくほど詳細に見える。(Illustration by D. Ceverino, C. Moody, and G. Snyder, and Z. Levay) 先日、新たな宇宙望遠鏡の驚きの実力を詳述したレポートが米国の宇宙望遠鏡科学研究所から発表された。 2030年代初頭には実用化できるというこの望遠鏡は、高解像度宇宙望遠鏡(HDST)と呼ばれる。地球から100万マイル(160万キロ)の距離に設置され、54個の独立した鏡が組み合わさって、鏡の面積はハッブル宇宙望遠鏡の25倍を誇る。地球に似た太陽系外惑星で生命の痕跡を探したり、銀河誕生の謎を明らかにしたり、我らが太陽系の秘密をより詳細に研究したりといった観測に十分に貢献できる大きさだ。 この望遠鏡はまた、圧倒的な美しさを誇
PHOTOGRAPHS BY ANDREW BEARDMORE (UNIV. OF LEICESTER) AND NASA/SWIFT 6月30日、NASAの探査衛星スウィフトが、ブラックホールと恒星からなる連星「はくちょう座V404」におけるブラックホールの爆発(アウトバースト)をとらえた。X線リングの見た目の大きさは満月の3分の1にも及ぶ。 射撃の的のように見える赤い波紋は、ブラックホールから放射されたX線と、周囲を取り巻く塵にぶつかって遅れて届くX線とが合わさってできる。爆発は1回だけだったが、塵の層が幾重にも重なっているため、時間とともに波紋が広がっていくように見えるという。画像は6月30日から7月4日までをアニメーションで見せている。 はくちょう座V404までの距離は約8000光年で、およそ20年に一度のペースでアウトバーストを起こしている。前回の爆発は1989年だった。(参考記
7月14日に撮影された冥王星の表面。富士山級(約3500メートル)の氷の山が見つかった。(Photograph by NASA-JHUAPL-SwRI ) 2006年に打ち上げられたNASAの探査機「ニューホライズンズ」は、翌年には木星の軌道を通過し、その後は1日160万キロ近いスピードで飛び続けている。この史上最速の探査機でさえ、約50億キロ離れた冥王星に達するには9年半の歳月を要した。(参考記事:「はじめての冥王星」) 時速4万8000キロ超の速さで進む探査機が冥王星のそばを通過するのにかかった時間は、たったの3分だ。それでも冥王星から遠く離れる前に、探査機は何百項目もの調査を行う。最初の高解像度画像はフライバイ(接近通過)の翌日に送信され、その後は16カ月間かけて徐々にデータが地球に送られてくる。 今回の冥王星接近通過に関する10の疑問を、宇宙ライターのナディア・ドレイク氏に聞いてみ
ハッブル宇宙望遠鏡による初めての冥王星写真 1994年、冥王星とその衛星カロン(右)を撮影したものとしては当時最も鮮明な写真だった。ハッブル宇宙望遠鏡の微光天体カメラによる画像で、2つの天体がはっきりと写っているが、その他はほぼ何も見えない。(PHOTOGRAPH BY DR. R. ALBRECHT, ESA/ESO SPACE TELESCOPE EUROPEAN COORDINATING FACILITY; NASA) NASAの探査機「ニューホライズンズ」は、日本時間の7月14日午後9時ごろ冥王星へ最接近した。それから数時間に渡って、探査機は旋回しながら7台の機械をフル回転させ、冥王星と5つの謎多き衛星の観測を行った。 1930年にクライド・トンボー氏が初めて発見した当時の冥王星は、おびただしい数の星々にまぎれて小さく光るひとつの点だったのが、技術の進歩により、画像は次第に鮮明なも
冥王星の最大の衛星カロンの極地方の暗さとひび割れた表面は、ニューホライズンズの研究チームを驚かせた。(PHOTOGRAPH BY NASA-JHUAPL-SWRI) NASAの探査機「ニューホライズンズ」が冥王星に最接近した際に撮影した画像の一部が公開された。 冥王星の赤道付近を撮影した画像からは、まだ地質活動があるように見える地表と、高さ3500mほどの氷の山々が見てとれる。この氷は、メタンや窒素ではなく水が凍ったものだ。冥王星の5つの衛星についても、ひときわ大きい衛星カロンの詳細な画像と、小さな衛星ヒドラの最初の画像が公開された。一連の写真は、氷の天体に関するこれまでの理解に早くも疑問を投げかけている。「冥王星系のすばらしさに驚嘆しました」と、ニューホライズンズの主任研究者アラン・スターン氏は語る。 7月14日、ニューホライズンズは冥王星系を猛スピードでフライバイ(接近通過)し、最接近
このシリコン球は何個の原子からできているのだろう?その答えからキログラムの新しい定義が決まるかもしれない。(PHOTOGRAPH BY JULIAN STRATENSCHULTE, DPA/CORBIS) フランスのセーブルにある国際度量衡局(BIPM)には、直径・高さともに約39mmの円柱状の金属塊が厳重に保管されている。100年以上にわたり全世界の質量の基準になっている「国際キログラム原器」だ。 キログラム原器は白金とイリジウムの合金でできている。国際単位系の基本単位を定義するために現在も使われている唯一の人工基準器だ。国際単位系は基礎物理定数による再定義が進んでいる。例えばメートルの場合、もともと合金製のメートル原器で定義されていたが、1983年に、299,792,458分の1秒間に光が真空中を進む距離として再定義されている。 世界各国の科学者たちは、キログラムについても時代遅れの定
冥王星の衛星ニクス(左)とヒドラ(右)の新たな画像も届いた。いずれもいびつな形をしている。(Photograph by NASA/JHUAPL/SWRI) 「いまでもまだ、ときおり自分に『深呼吸をしろ』と言い聞かせているような状態。冥王星の風景には、ただひたすら驚かされています」と、米NASAエイムズ研究センターのジェフ・ムーア氏は語る。 9年半、50億キロにわたる旅の末に、無人探査機ニューホライズンズは冥王星系を通過した。冥王星のそばを時速4万8000キロ超のスピードで通りすぎるほんの一瞬の間に、探査機は大急ぎで数多くのデータを収集した。現在は、そのデータを16カ月かけて地球に送っている最中だ。(参考記事:「冥王星“接近通過”をめぐる10の疑問に答える」) トンボー領域と呼ばれるハート形の地形の左側に、一酸化炭素の氷を検出した。緑の部分の中心に向かってその量は増えている。「正体について詳
太陽系外惑星ケプラー452bは、これまでに発見された太陽系外惑星の中で最も地球に似ていて、岩石の表面と液体の水、厚い大気があるかもしれない。(ILLUSTRATION BY SETI INSTITUTE/DANIELLE FUTSELAAR) NASAのケプラー宇宙望遠鏡が、「第2の地球」を発見した。この惑星は、これまでに見つかっている多数の太陽系外惑星の中で、地球に最もよく似ているという。 NASAエイムズ研究センターのジョン・ジェンキンズ氏は、7月23日の記者会見で、この惑星は「生命が居住できる太陽系外惑星の条件に最も近い」と言い、合わせて500個の惑星候補を新たに発見したと発表した。 ケプラー452bと名付けられたこの惑星は、地球から約1400光年離れたところにある恒星のまわりを回っている。主星の年齢は60億歳で、太陽によく似ている。惑星は地球の約1.6倍の大きさで、質量は約5倍だ。
青く輝く地球の手前を横切る月の「裏の顔」を、人工衛星DSCOVRが捉えた。NASAの発表によると、今回のような写真を毎年2回新たに公開するという。(画像クリックで拡大)(ANIMATION BY NASA/NOAA) NASAの宇宙天気観測衛星「DSCOVR(ディスカバー)」が、太陽嵐に目を光らせる傍ら、青く輝く地球の前を横切る月の謎めいた「裏の顔」を撮影した。 NASAは早速、この画像を使ってアニメーションを製作した。 月は地球に常に同じ面を向けているため、月の裏側を捉えた画像を私たちが目にすることはめったにない。人類が初めて月の裏側を目にしたのは、ソ連の無人月探査機ルナ3号が月の裏側にまわり込んで数枚の写真を撮影した1959年のことだった。 地球から見る月の表面は、まだら模様をしている。黒っぽい色の玄武岩でできた「海」と呼ばれる広大な領域がいくつもあるからだ。一方、月の裏側には海がほと
スコット・ケリー宇宙飛行士がツイッターに投稿した天の川の写真。"135日目の天の川。古くて、埃まみれで、ガスっぽくて、歪んでいて。でも美しい。宇宙ステーションより。おやすみなさい!”と書かれていた。PHOTOGRAPH BY SCOTT KELLY, NASA NASAのスコット・ケリー宇宙飛行士とロシアのミハエル・コニエンコ宇宙飛行士が、現在、宇宙の微小重力環境が人体に与える影響の実験台になっている。 9月15日、2人は国際宇宙ステーション(ISS)に滞在予定である342日間の半分を消化した。NASAの宇宙飛行士にとっては最長記録だ(ロシアの宇宙飛行士は、宇宙ステーション「ミール」で、1年以上のミッションを何度か経験している)。 2人は身体に起こる変化を記録し続けており、そこから得られた情報は、人類が火星へと旅立つ際の準備に使われるかもしれない。(参考記事:「有人火星探査、“模擬実験”で
火星にあるくぼ地「コプラテス・カズマ」の急斜面に見られる黒い筋。これらは、化合物を含む水が流れてできたものとわかった。(PHOTOGRAPH BY NASA/JPL-CALTECH/UNIV. OF ARIZONA) 火星の斜面を水が流れている証拠を発見したと、NASA(米航空宇宙局)が発表した。はるか昔、火星に水が流れていたことは以前から知られていたが、今回の発見は、液体の水が現在も存在していることを裏付ける、これまでで最も有力な証拠だ。 9月28日付の科学雑誌「ネイチャー・ジオサイエンス」に掲載された論文によると、水は特定の季節になると現れ、急斜面を流れ下る際に黒い筋をつくっている。しかし、水がどこから来るのか、また、生命が生息可能な化学的性質をもっているのかはまだ解明されていない。 いずれにせよ、季節ごとに現れたり消えたりする謎の黒い筋の正体が水であることは明らかになった。これらの筋
白色矮星が近くの天体を崩壊させている現場が、このほど初めて観測された。崩れていく天体は、今後100万年以内に、白色矮星の表面に金属の塵だけを残して消滅してしまうだろう。(ILLUSTRATION BY MARK A. GARLICK) 白色矮星は、大きさは地球ほどなのに質量は太陽ほどもある高温で高密度の星だ。そんな白色矮星が、近くにある天体を粉砕している様子が、このほど初めて観測された。まもなく破片を飲み込みはじめるだろう。 この発見について報告する論文は『ネイチャー』最新号に掲載された。論文の筆頭著者である米ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのアンドリュー・ヴァンダーバーグ氏は、「多くの研究者が、こういう現象が起こっているに違いないと思っていましたが、今回ついに現場を押さえることができたのです」と説明する。 第2の地球を探していたら WD 1145+017はおとめ座の白色矮星で、
ケンタウルス座α星Bbの想像図。ケンタウルス座α星は三重連星で、想像図にはそのうちの2つの恒星(左がA星、中がB星)と、B星のまわりを公転する惑星Bb(右)が描かれているが、この惑星が存在しないことが明らかになった。(PHOTOGRAPH BY REUTERS) 科学者が1つの惑星を消滅させた。このほど発表された研究によれば、太陽系から最も近い太陽系外惑星として話題になったケンタウルス座α星Bbは、観測データ上にあらわれた幽霊にすぎないという。 2012年に科学誌「ネイチャー」にこの惑星の存在が報告されたときには、推定質量が地球程度だったこともあり、画期的な発見と評された。ケンタウルス座α星系は、地球からの距離がわずか4.3光年で、『アバター』や『トランスフォーマー』などのSF作品の登場するキャラクターの故郷に設定されている。そんなに近いところに生命が棲んでいるかもしれない惑星が見つかった
太陽に照らされる準惑星ケレスの北極周辺。2015年4月14日・15日に、NASAの探査機ドーンがケレスを撮影した。(Credits: NASA/JPL-Caltech/UCLA/MPS/DLR/IDA, Photograph by NASA/JPL-Caltech/UCLA/MPS/DLR/IDA) 準惑星ケレスを今年の3月から周回しているNASAの探査機ドーンによる新たな観測結果が議論を呼んでいる。46億年前に生まれたこの天体は、より低温の太陽系外縁部から、火星と木星の間にある小惑星帯へ飛ばされてきた可能性があるというのだ。 この研究成果は11月9日、アメリカ天文学会・惑星科学部会の年次大会で報告された。ケレスの地表にアンモニア化した鉱物があるというドーンの発見は、興味深いシナリオを示唆する。この物質が存在するということは、ケレスが生まれたのは海王星の軌道よりもさらに外側であり、鉱物がで
冥王星の山々や氷の平原や谷が日没の光にほのかに輝き、かすんだ空も光を放っている。(PHOTOGRAPH BY NASA/JHUAPL/SWRI) 冥王星はきわめて小さな天体だが、流れる氷河、興味深いくぼみのある領域、かすんだ空、多くの色を持つ風景など、信じられないほど多様な特徴が見られる。溶岩ではなく氷を噴き出す「氷の火山」や氷に浮かぶ山々があり、さらに衛星は予想もつかない動きをしているようだ。(参考記事:「冥王星“接近通過”をめぐる10の疑問に答える」) 2015年7月に冥王星へのフライバイを成功させたNASAの探査機「ニューホライズンズ」の科学者チームは、11月9日、米国天文学会惑星科学部会の年次総会で新たな観測結果を発表した。観測データが示す冥王星は、事前の予想とは全く異なる天体だった。(参考記事:「冥王星の三つの事前想像図」) ニューホライズンズの主任研究者であるアラン・スターン氏
最新の分析によれば、火星の衛星フォボスは崩壊しつつある。 NASAのゴダード宇宙飛行センターに所属するテリー・ハフォード氏らのチームは、11月11日の米国天文学会惑星科学部会の年次総会で、フォボスの表面に何本も走る長く浅い溝が火星の潮汐力でゆっくりと引き裂かれている最初の兆候だと発表した。フォボスの溝は天体の衝突によってできたと長らく考えられてきたが、火星の潮汐力によって引き裂かれる際の「ストレッチマーク」のようなものだという。(参考記事:「宇宙の“巨石”、火星の衛星フォボス」) フォボスは火星の上空約6000kmの軌道を回っており、惑星との距離は太陽系の衛星のなかでもっとも近く、火星の重力によって100年に2メートルずつ「落下」しているという。科学者らは3000万年から5000万年の間にフォボスが引き裂かれるのではないかと予想する。 同様の説は、NASAの探査機バイキングがフォボスの画像
実験中、シロガネアジを観察する研究者モリー・カミングス氏。(PHOTOGRAPH COURTESY THE UNIVERSITY OF TEXAS AT AUSTIN) 何の障害物もない海中では、隠れる場所などないように思える。だが、水と太陽光しかない場所で姿を隠す方法を発達させてきた魚がいる。米テキサス大学オースティン校の研究者パリッシュ・ブレイディ氏とモリー・カミングス氏らがその仕組みを初めて解明し、11月20日付の科学誌「サイエンス」に発表した。 研究者たちは以前から、シロガネアジやメアジのような銀色の魚が、体表の色をカムフラージュに使っているのではないかと推測していた。光を別の方向へ反射させれば姿を目立たなくできるからだ。だが、実際の海中でそれを確かめるのは困難だった。(参考記事:「蛍光に光るウナギの仲間を発見、世界初」) 今回、研究チームは風見鶏のように4本のアームがゆっくりと旋
惑星系の外縁部に追いやられた太陽系外惑星は、やがて主星から離れて銀河をさまよう浮遊惑星になるかもしれない。(ILLUSTRATION BY NASA/JPL) 米国ハワイで開催されたエクストリーム・ソーラーシステムズIII(Extreme Solar Systems III)という学会で12月2日に発表された研究によると、地球から約300光年の彼方にある惑星系の巨大惑星HD 106906bは、他の天体との重力相互作用により外縁部にはじき出されたものであることが明らかになった。現在、主星からHD 106906bまでの距離は、太陽から地球までの距離の650倍もあるという(参考記事:「“孤児惑星”、130光年先で発見」)。 これは、太陽から冥王星までの距離の16倍以上だ。 恒星からこんな遠くにいった理由 HD 106906bは最初からこんな寂しい場所にあったわけではなく、主星にもっと近い場所で形
小惑星帯で衝突後、1200万年かけて地球までたどりつき、4億5800万年前の古代の海に衝突する2つの小惑星。これにより、スウェーデンのロックネ付近に2つのクレーターが生まれた。(Illustration by Don Dixon, copyright Erik Sturkell) およそ4億7000万年前、現在のスウェーデン中部は古代の浅い海に覆われ、プランクトンのような微小な生物が生息していた。だが、この穏やかな環境はじきに一変する。12月14日に科学者たちがアメリカ地球物理学連合(American Geophysical Union)の年次大会で行った発表によれば、過去数10億年で太陽系で起きたなかでも最大級の事件のせいだ。 火星と木星の間の小惑星帯で2つの岩石が衝突し、直径200キロもの小惑星が粉々に砕けたのだ。破片は宇宙空間に飛び散り、地球に向かって飛んで行ったものもあった。(参考
新しいリモートセンシング技術により、アラスカのブルックス山脈の高精度地図が作られた。(PHOTOGRAPH BY ANDY BARDON, NATIONAL GEOGRAPHIC) アラスカの北極圏はおいそれとは行けない辺境であり、ほとんどの地域について正確な地図がない。これは飛行機が山々に衝突する危険の種になるほか、石油パイプラインを敷設するデベロッパーなどにとっても不都合が多かった。 米国アラスカ州北東部の北極圏国立野生生物保護区(ANWR)では、正確な地図がないことが長年問題視されてきた。なかでも、この地域の最高峰がチェンバレン山とイスト山のどちらであるかは、科学者たちにとってずっと議論の的だった。(参考記事:「北米最高峰マッキンリー、デナリに名称変更」) だが12月16日、米アラスカ大学フェアバンクス校のマット・ノラン氏が新しい地図作成技術にもとづいて分析を行った結果が、アメリカ地
PHOTOGRAPH BY ESA/HUBBLE & NASA, D. PADGETT (GSFC), T. MEGEATH (UNIVERSITY OF TOLEDO), AND B. REIPURTH (UNIVERSITY OF HAWAII) まるでライトセーバーのように噴出する高エネルギーのガスジェットをNASA/ESAのハッブル宇宙望遠鏡がとらえた。星のフォースを覚醒させたのは、地球から1500光年離れたオリオン座のHH(ハービッグ・ハロー天体)24だ。 ハービッグ・ハロー天体は、新しく生まれた恒星(原始星)の周りにできる星雲状の小さな領域である。これは、成長する星の両極から放出されるジェットが、周囲のガスやちりなどと衝突してできる。目に見える「ビーム」は、ジェダイのマントのようなちりに包まれたHH24の原始星から出たジェットが衝撃波を生み、周囲のガスを何千℃にも熱したために形
計算の結果、シンデレラのガラスの靴は砕けてしまうことが分かった。これでは恋は実らない。(PHOTOGRAPH BY AF ARCHIVE, ALAMY) 真夜中の鐘が鳴り、シンデレラは王宮の舞踏会から走り去る。残されたのはガラスの靴が片方だけ。王子はこの靴を持って王国中を探し回り、ついに靴がぴったり合う女性を見つけ出して結婚した。誰でも知っているおとぎ話だ。 しかし、物理学を専攻する学生たちが、ガラスの靴にかかる負荷を計算して耐久性を評価したところ、シンデレラの幸せは、もろく砕け散っていた可能性が高いことが分かった。 彼らによると、シンデレラが両足でじっと立っているときには、下向きの力は左右のガラスの靴に均等に分散している。しかし、歩いたり走ったりすると、下向きの力がすべて片方の足にかかってしまう。 結論は? ヒールの高さが1.3センチ以上になると、ガラスの靴は割れてしまう。だから、シンデ
球状星団の「ターザン5」。銀河系にはこのような球状星団が約150個ある。(PHOTOGRAPH BY ESA/HUBBLE & NASA) 地球外知的生命による通信電波を探している天文学者は、少し意外な場所を覗いてみるといいかもしれない。恒星が互いの重力で球形に集まった天体「球状星団」だ。 球状星団には恒星が密集していて、惑星がほとんどないように見える。だが、米ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのロザンヌ・ディ・ステファノ氏は、2016年1月6日に米国天文学会で発表を行い、ここに非常に長い歴史をもち、高度に発達した文明が存在する可能性を指摘した。(参考記事:「生命は地球外にも存在するのか?」) なぜ惑星は見つかりにくい? 銀河系には約150個の球状星団があり、銀河系と同じ頃の約100億年前に形成された。1つの球状星団は数千個から数百万個の恒星からなるが、これまでのところ球状星団内の
太陽系外縁部に大きな第9惑星が潜んでいる可能性が出てきた。この惑星が実在するなら、太陽から非常に遠い軌道をまわる、天王星や海王星よりやや小さいガス惑星であるはずだ。(COURTESY OF CALIFORNIA INSTITUTE OF TECHNOLOGY) 太陽系外縁部の極寒の暗がりに、地球より大きい未知の惑星が潜んでいる可能性が出てきた。学術誌『アストロノミカル・ジャーナル』2016年1月20日号に発表された研究によると、カイパーベルト(海王星軌道の外側にある天体密集領域)にあるいくつかの天体の奇妙な軌道を調べると、未知の大きな惑星の重力が作用している形跡が見てとれるという。(参考記事:「カイパーベルトで新たな準惑星を発見か」、「カイパーベルトの密度の変遷」) つまり、これらの奇妙な軌道が、未知の大きな第9惑星が太陽系外縁部に潜んでいる証拠である可能性が出てきた。「太陽系にもう1つ惑
背後から太陽に照らされて、冥王星の大気が青く光っている。NASAの宇宙探査機ニューホライズンズから送られてきた高解像度画像だ。 層をなす青い帯は、太陽の光を浴びたメタンや窒素などが反応してできた光化学スモッグだと考えられている。スモッグにはさまざまな種類の分子が含まれ、分子が集まってマイクロメートルレベルの大きさの粒子となり、それが太陽の光を散乱して鮮やかな青色のもやのように見える。(参考記事:「ここまで鮮明に! 冥王星の写真の変遷を見てみよう」) もやの粒子は複雑な層を構成し、なかには水平方向に数百キロメートルまで広がるものもある。層の厚さは全体で200キロメートル以上だ。
ブラジル、レシフェ。蚊を殺す殺虫剤を噴霧する市の職員を少年たちが避ける。蚊はジカウイルスを媒介している可能性がある。(PHOTOGRAPH BY FELIPE DANA, ASSOCIATED PRESS) 現代の世界には時折、恐ろしいウイルスが突如現れる。多くの場合、要因は複雑で、流行の下地は数年から数十年かけてひっそりと作られている。 「ジカ熱」もその例外ではない。最近まで多くの人が知らずにいたこのウイルスについて、米国疾病予防管理センター(CDC)と世界保健機関(WHO)がにわかに不吉な警告を出す事態となっている。 1月27日、WHOはジカウイルスが「爆発的に広がっている」と発表した。警告が出たのは、ブラジルで急増する先天性の欠損が、妊娠中の母親のジカウイルス感染に関連する可能性があるためだ。この騒ぎの中、推測と事実を区別すること、そしてジカ熱をより広い視野でとらえることには意味があ
木星と衛星ガニメデ。高度な数学を用いて天体の運動を追跡していた古代バビロニア人は、幾何学を応用して木星の位置を計算していた。(PHOTOGRAPH BY NASA, GETTY IMAGES) 古代バビロニアの粘土板が解読され、14世紀にヨーロッパで発明されたのと同じ数学的手法で木星の見かけの動きを計算していたことが明らかになった。 科学誌「サイエンス」2016年1月29日号に発表された論文によると、古代バビロニア人は、夜空の中の木星の見かけの動きを時間を追って観察した結果を台形で表し、その面積を計算することで、木星の運動を追跡していたという。このような幾何学的手法が発展したのは、少なくとも1400年後の14世紀ヨーロッパだと考えられていたことから、歴史書を書き換える大発見となった。(参考記事:「世界最古の十進法の計算表、中国で発見」) 米カリフォルニア大学バークレー校のニーク・フェルトハ
2016年2月2日、英国イングランドの北部、ノーサンバーランド、ウィットリーベイ付近に現れ、目を楽しませた真珠母雲。(Photograph by Owen Humphreys, PA Wire, Associated Press) 「ハリケーンの後には虹が出る」と米国のミュージシャン、ケイティ・ペリーはヒット曲「ファイアーワーク(花火)」で歌っている。この歌そっくりの光景が、2日夜、英国スコットランドからイングランド北部の上空に現れた。 ハリケーンの規模にはならなかったものの、「ストーム・ヘンリー」は風速97キロ/時の強風を伴って英国北部を襲い、数千人が洪水や停電に見舞われた。だが、吹き込んだ寒気の影響はそれだけではなく、美しい真珠母雲(しんじゅぼぐも)ももたらした(真珠母雲の名は、真珠母貝に似ていることに由来する)。(参考記事:「インドで彩雲の撮影に成功」) 光揺らめくこの現象は、イング
小惑星2013 TX68は、一部の人工衛星よりも地球に近いところをかすめるかもしれない。(PHOTOGRAPH BY ESA/NASA) 小惑星が地球に接近している。地球へ衝突することはまずないが、かなりスレスレのところを通過しそうだ。(参考記事:「標的は地球?小天体接近」) NASAの発表によれば、小惑星2013 TX68は米国時間の3月5日に地球をフライバイ(接近通過)する。推定されている最接近時の距離は、静止軌道衛星の高度の約半分である1万7000キロから、月までの距離の35倍ほどの1400万キロと大きな幅がある。 これはデータが十分にないためだ。2013 TX68が観測されたのは、米アリゾナ州で実施中の地球近傍天体観測プロジェクト「カタリナ・スカイサーベイ」が、2013年に初めて見つけた時の一度きり。当時、科学者たちはこの小惑星についてのデータをわずか3日間しか収集できなかった。3
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した「かみのけ座銀河団」。画像中央の最も明るい天体が楕円銀河NGC 4889で、その中心には超巨大ブラックホールが眠っている。(PHOTOGRAPH BY NASA & ESA) ハッブル宇宙望遠鏡が新たに撮影した美しい銀河団の画像から、ブラックホールの謎を解く手がかりが得られるかもしれない。(参考記事:「ハッブル宇宙望遠鏡 50の傑作画像」) その天体は、地球から3億光年離れた「かみのけ座銀河団」でひときわ明るく輝く巨大楕円銀河NGC 4889。この銀河の中心に、太陽の210億倍の質量を持つ超大質量ブラックホールが眠っている。(参考記事:「太陽の120億倍、説明不能なブラックホール発見」) ブラックホールの大きさは、その「事象の地平線」の大きさによって表すことができる。事象の地平線とは、あらゆるものがブラックホールの重力から逃れられなくなる境界だ。NASAによると
画像の全体を見るには、画像下のスクロールバーを利用するか、画面をスワイプしてください。(ESO/APEX/ATLASGAL CONSORTIUM/NASA/GLIMPSE CONSORTIUM/ESA/PLANCK) 息をのむほど美しいこの画像は、南半球から見える天の川だ。 ヨーロッパ南天天文台は、ATLASGAL(APEX Telescope Large Area Survey of the Galaxy:APEX望遠鏡銀河系広域探査)プロジェクトを終えるにあたり、私たちの故郷である天の川銀河(=銀河系)の新たな眺めを発表した。 巨大な画像に写っているのは銀河系の円盤に沿った面(銀河面)の全体像。地球は銀河系の中にあるため、私たちは銀河系を内部から見るしかない。夜空に見える恒星のほとんどすべてが銀河系の中にあり、夜空を帯のように横切る天の川は、銀河系の中で恒星が特に密集している領域である
りゅうこつ座の方向、3万光年のかなたから届いたウォルフ・ライエ星WR 31aの輝きをハッブルがとらえた。ウォルフ・ライエ星とは、質量が太陽の20倍、温度が40倍にもなる青色巨星のこと。WR 31aをとり囲む青いリングは、宇宙のちり、水素やヘリウムなどのガスからなる星間雲で、ウォルフ・ライエ星雲と呼ばれる。ウォルフ・ライエ星から水素が放出されるときに形成され、球状となることが多い。この青いリングはおよそ2万年前にできたと推測され、時速22万kmで広がり続けている。(参考記事:「宇宙に膨らむイヌの顔、S308」) 大きな星にもかかわらず、ウォルフ・ライエ星の寿命は数十万年しかない。宇宙の時間的スケールからするとほんの一瞬だ。ほとんどが10万年ほどで半分以下になってしまう。WR 31aも例外ではない。そしていずれは超新星爆発を起こし、星雲は新しい星の素となる。(参考記事:「ハッブル望遠鏡 50の
このほど、2つのブラックホールが合体する際に発生した重力波が検出された。図はブラックホールの合体のシミュレーション画像。ブラックホールがお互いを飲み込む直前には、それ以外の宇宙全体よりも大きなエネルギーを放出する。(ILLUSTRATION BY SXS COLLABORATION) 100年におよぶ壮大な探し物に、ついに決着がついた。科学者たちはレーザーと鏡を使って、時空のさざ波「重力波」を直接観測することに成功した。 この重力波は、地球から約13億光年の彼方で、2つのブラックホールが互いに渦を巻くように回転して衝突したときに発生した。ブラックホールの1つは太陽の36倍の質量を持ち、もう1つは29倍の質量を持っていた。(参考記事:「21年後に巨大ブラックホールが衝突へ」) 重力波は池に生じたさざ波のように宇宙を広がり、2015年9月14日、地球上に設置された4組の鏡の距離に、ごくわずかだ
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