■Buenos ポンピドーセンター -3
スパイをしていた93年ごろ。
世界は情報ハイウェイ構想に沸き返っていましたが、まだインターネットは立ち上がっていませんでした。
当時、パリ郊外にあるINA(仏国立視聴覚研究所)をしょっちゅう訪れました。
テレビ番組をアーカイブする国立機関です。
映像を貯めて、それをデジタル化していくことに、相当な予算と労力を割いていました。
気になりました。なぜそんなに熱心なのか?
何度も通ううち、担当者がやっと口を開いてくれました。
「いずれ世界は通信ネットワークで覆われる。映像が通信で流通するようになる。そのときフランスは、国民資産たる映像情報を発信し、国家の威信を誇示するのだ。ハリウッドに対抗するのだ。」
ははは。
冗談にしても大仰ですね。
それから十数年。
2006年4月、INAは、10万本の番組をネット配信しはじめました。
毎年5000本を追加していくといいます。衛星含め87チャンネルの番組をどんどん貯めていくといいます。
驚きました。
今はフランソワ・ミッテラン図書館内にアーカイブを置くINAは、ずっと、本気だったのです。
ずっと、やっていたんです。
2007年7月、フランステレコムとフランステレビジョンは、ニュース以外の番組を放送後一ヶ月、ケータイとパソコン向けに独占的に配信すると発表しました。
NTTとNHKとが独占契約でIPTV事業を行うようなものです。
日本じゃ考えられない。
YouTubeとハリウッドの連合に対抗するには、それくらいの本気さが必要なのか。
日本では主要国の3年ビハインドで、NHKがNHKオンデマンドを2008年末に開始。
テレビアーカイブをネットで見られるようになりました。
しかし、スタート時の番組数は1000本。
INAスタート時の100分の1です。
本気さが問われている、気がします。
(少年タケシ それでもポップか! 改訂)
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