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2010年3月13日土曜日

競争力・国際標準化メモ


■Buenos  競争力・国際標準化メモ

 知財本部では、コンテンツ専門調査会と並び、競争力・国際標準化専門調査会もスタートしました。私はそちらの委員も兼ねており、ITやメディアの観点から、政務官ら関係者に以下のような3点の意見を提出しています。こちらも論点整理が大事、というスタンスです。

1. 大相撲か、イチローか
「日本という場の力」を重視するのか、「日本企業、日本人の力」を重視するのか、その整理をしましょう。

A. 大相撲型 :日本という場の力、立地の価値を国際的に高めること。
      大相撲のように日本を本場とし、プレイヤーは外国人もOK
      外から人を入れるアプローチ。
イチロー型:日本企業や日本人の力を国際的に発信すること。
      イチローのように本場で活躍する資源を送り出すアプローチ。
これらは政策的意味も戦略も異なるのではないか。

B. 日本の状況をどう見るか。
中国は双方とも上昇しており、米国は場の力が落ちつつも企業の力を発揮しているのに対し、日本は双方とも低下しているのではないか。

C. 「日本企業」とは何か。
ソニーは日本企業か。日本IBMは米国企業か。
つまり、企業の国籍にこだわった比較は妥当性を失っているのではないか。
  このあたり、政府の各種委員会でも議論がごっちゃになっている。その整理が必要。


2. 勝ち負けは戦略か、意志か
 任天堂、ソニー、アニメ、コピー機、光ファイバ、液晶といった勝ち組と、通信、
携帯電話機、PC、映画のように国内ではうまく行っても海外で勝てないものの違いはどこに求められるのでしょうか。

A. ゲームは国際市場を席巻したのに、世界一発達した携帯電話機は10%程度のシェアしか取れないのはなぜか。
 通信会社は海外に出て行けないでいるのに、イギリス、ドイツ、スペインなどの通信会社の海外売上比が60%〜80%を占めているのはなぜか。

B. 戦略で対応できるものと、意志の問題とがあるのではないか。
 戦略の対応例としては、国際標準/プラットフォームの獲得、競争抑制的国内規制の有無、ハード+ソフトの総合展開等が挙げられる。
 しかし、国際展開の経営意欲のほうが重要な問題ではないか。ブラジルの地デジ方式で日本がプラットフォームを獲得しても、ワンセグケータイに進出しないメーカはノーチャンス。


3. 国にできることは何か
 外交、税制、教育など総合的な方策が求められます。

A. 外交 
 ・トップセールス(プラットフォーム形成、企業誘致等)
 ・ボトムアップ (国際標準化協議への参加支援等)
B. 税制
 ・立地条件の整備、R&Dの強化
C. 大学の機能強化
 ・R&Dの強化、産学連携・起業支援、人材の受入れ

 私が最も強調したのは最後に記した大学の機能強化。日本は大学のプラットフォーム機能が弱い。Googleは上場時からスタンフォードのヘネシー学長が役員として尽力していました。日本もさまざまな優れた商品やサービスが生んでいますが、大学がプロデュースしたものは極めて乏しい。

 会議の週のコミックモーニング「社長 島耕作」は国際競争力がテーマでした。韓国の大統領とサムソンのCOOとおぼしき人物が「日本が科学技術予算を削ったことを韓国にとってチャンスだ」とやりとりする場面がありました。そう見ているでしょうね。しっかりやりましょう。とモーニングを政務官に手渡した次第です。

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