政府の国家戦略室はまだ機能していないようだ。菅直人担当大臣がドイツの電気買い取り制度(フィードインタリフ)と同じことをすれば環境問題が大きく前進するかのような発言をしていることからもそれが分かる。他の先進事例の紹介や後追いだけでは戦略にならない。 戦略性のない日本の行政はこの30年ほど続いていると思う。1980年以降ということだ。この時代は、民間と市民の頑張りで持ちこたえてきたと言えるかもしれないのだが、その間に不動産バブルやITバブルがはじけたり、ついには経済危機に陥ってしまったことから分かるように、価値観の変化とともに、社会は複雑化して非線形(nonlinearity)性を高めてきた。 こんな時こそ「戦略性」を、そして「長期的な視点からの国家戦略」を取り戻すことが必要なのだ。鳩山政権の「CO2排出25%削減を目標」も「アジア共同体構想」も、そういう意味では素晴らしいことだ。新政権は21