今年に入ってから権威主義的国家が諸外国に対し、自国の立場や価値観をのませるため世論を操作したり、圧力をかける「シャープパワー(sharppower)」に対する懸念が強まっている。 シャープパワーは軍事力や経済力などの「ハードパワー(hardpower)」でもなく、ハーバード大教授のジョセフ・ナイの指摘する文化的な魅力が生み出す「ソフトパワー(softpower)」でもない。その中間のものである。民主国家を分断したり弱体化させるシャープ(鋭い)な力という意味から、ワシントンのシンクタンク「全米民主主義基金(NED)」が名付けた。 2016年大統領選挙へのロシアの一連の介入疑惑がシャープパワーの典型例だ。トランプ陣営が組織的に共謀したかどうかという点に捜査の焦点はあるものの、それ以前に16年のロシアの選挙介入疑惑はアメリカ国民にとっていまだ大きな影を残している。今年11月には中間選挙を控えてい