2014年02月13日12:03 カテゴリ本 「15年戦争」を生んだ現場主義 アゴラこども版で解説したように、「南京大虐殺はあったか」という論争には意味がない。南京陥落の際に民間人の殺傷事件があったことは事実で、それが他国の領土だったことも明らかなのだから、これが侵略であることは争えない。中国のいう「30万人」が大げさだとしても、何もなかったことにはできない。 しかし日本軍の中国侵略が何を目的にして行なわれたのかは、いまだにはっきりしない。これまでの歴史学の主流では、陸軍の一貫した膨張主義によって「15年戦争」が計画的に行なわれたことになっているが、本書は一次史料にもとづいてこれを否定する。この15年間(実際は14年)、陸軍に一貫した方針はなかった。軍の首脳部は、中国に戦線を拡大することには反対していた。 15年戦争の発端になったのは1931年の満州事変だが、その本来の目的は来るべき対ソ戦