日経新聞にシムズのインタビューが載って、いろいろ反響を呼んでいるようだ。2月1日に来日すると日本のマスコミも物価水準の財政理論(FTPL)に興味をもつと思われるので、これまで書いた記事をまとめておこう。 まずFTPLが「財政膨張策」だというのは誤解である。シムズはこう語っている。 物価引き上げに必要なのは、日本政府が政府債務の一部を、増税ではなくインフレで帳消しにすると宣言することだ。政府が2%の物価上昇率目標を掲げ、達成するまでは消費税増税を延期する。 これを彼の論文では実質債務のデフォルトと呼んでいる。名目債務はデフォルトできないが、実質債務はインフレで踏み倒せるという意味だ。彼は「インフレ税」で政府債務を縮小せよと提言しているのだ。そのしくみは、理論的には単純だ。FTPLは、コクランの書いた次の均衡条件に要約できる。 実質政府債務=名目政府債務/物価水準=財政黒字の現在価値 (1)