キューバが革命の国であることはよく知られている。チェ・ゲバラとフィデル・カストロ率いる革命軍が、アメリカの影響下にある独裁政権を倒し、社会主義国の礎を築いた。 そのような武装闘争の歴史や思想背景の強いカリブの島国に、私は計1年以上滞在した。そのため、周囲からは「彼は余程の思念を持ってキューバに行ったのでは」とのイメージを持たれることも多い。期待に添えず申し訳ないが、そういうわけではない。 当初は人気漫画『ONE PIECE』が大好きで、「キューバはカリブ海にあるらしい! ワンピースに出るような海賊がいそうじゃん! 面白そう」くらいの興味だった。決して真面目な動機ではない。 そのような軽いノリで私が最初にキューバを訪れたのは2015年。キューバとアメリカが国交正常化に踏み切り、半世紀ぶりに雪解けへと向かった重要な年だった。それまで外国との貿易機会が限定され、物資不足に悩まされてきたキューバだ