前回紹介した「心をつくる―脳が生みだす心の世界」は本当に今になって読んでよかったと思っている。これを読んでpredictive codingに関して感じていたモヤモヤがなくなってきた。それをいくつか挙げよう。 前々回に紹介した「予測的符号化・内受容感覚・感情」は良い論文だが、どうしても違和感があったところがあった。それはpredictive codingを説明するところでヘルムホルツの無意識的推論について言及しているところだが、これはなんか違うと思っていた。これはこの本を読んだらスッキリと解消されて、ヘルムホルツの無意識的推論は前半の二重過程説で扱われていて、後半の予測脳の話では同じヘルムホルツでも不安定な網膜像にも関わらず安定した世界を知覚できるのはなぜか?という疑問の方が取り上げられていた。私もこれが妥当な扱いだと思う。実は私が違和感を感じた理由はヘルムホルツの無意識的推論というとリチ