「震災による死」に人々はどう向き合い、感じてきたか。この春に卒業する東北学院大の社会学のゼミ生たちがフィールドワークを重ねて、卒論を書いた。工藤優花(ゆか)さん(22)は、宮城県石巻市のタクシー運転手たちが体験した「幽霊現象」をテーマに選んだ。 50代の運転手は工藤さんに、こう打ち明けた。 震災後の初夏。季節外れのコート姿の女性が、石巻駅近くで乗り込み「南浜まで」と告げた。「あそこはほとんど更地ですが構いませんか」と尋ねると、「私は死んだのですか」と震える声で答えた。驚いて後部座席に目を向けると、誰も座っていなかった。 別の40代の運転手。 やはり8月なのに厚手のコートを着た、20代の男性客だった。バックミラーを見ると、まっすぐ前を指さしている。繰り返し行き先を聞くと「日和山」とひと言。到着した時には、もう姿はなかった。 工藤さんは3年生の1年間、毎週石巻に通い、客待ちの運転手をつかまえて
2011年3月12日。東日本大震災による巨大津波の影響で、福島第一原発の一号機が水素爆発を起こしたちょうどその時。実は第一原発から直線距離にして、わずか12キロしか離れていない福島第二原発も、第一原発と同様の危機に直面していました。
「いつになったら元の生活に戻れるのだろうか・・・。」 東日本大震災が東日本に甚大な被害を及ぼしてから2年が経ったが、まだまだ多くの被災者が仮設住宅に住んだり、故郷から離れた土地で慣れない生活を送ったりしている。雇用の面でも被災地では建築関連の求人が増加しているが、雇用のミスマッチのせいなのかなかなか雇用関係の成立までにつながらない。震災で職を失った多くの被災者はまだ求職中だ。 これだけ大きな災害に見舞われたのだから、被災地が完全に復旧・復興するのに長い年月を必要とすることは誰もが承知している。しかし、いつになれば震災以前の普段の生活の戻るのか。それがわかる何かタイム・ラインみたいなものが欲しい。そろそろ東日本大震災の長期的な影響を議論する時期にきている。 その議論のガイドラインとして、私を含む研究グループ(大竹文雄大阪大学教授、奥山尚子大阪大学助教、安井健悟立命館大学准教授)は、18年前に
震災建物「保存か解体か」で揺れる町(3月4日 17時30分) 東日本大震災からまもなく2年の被災地で今議論となっているのが、津波の恐ろしさを伝える象徴的な建物などを「震災遺構」として残すかどうか、という問題です。 岩手県では宮古市田老地区の観光ホテルが保存する方向で検討されている一方で、陸前高田市の旧市役所は震災を思い出したくないという声も多く、先月解体されました。 保存か解体かで揺れ動く被災地の現状について、札幌放送局の松田香織里記者の報告です。 「保存か解体か」揺れる思い 津波で大きな被害を受けた岩手県大槌町。住民の1割に当たる1200人余りが犠牲となりました。町長や職員、40人が亡くなった旧町役場は、ガレキが撤去された今も、当時のまま残され、震災から2年近く経った今も、多くの人々が訪れる祈りの場となっています。 この建物を残すべきかどうかについて町では去年から議論を進めてきま
復興住宅の整備状況 【中村信義、野津彩子】東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県で、被災者が仮設住宅を出てから住む復興住宅(災害公営住宅)が56戸しかできておらず、2014年度末でも建設予定の55%にあたる約1万3千戸しか完成しない見通しであることが分かった。仮設に住む被災者の大半は14年度までしか入居できず、国は現在3年間となっている仮設住宅の入居期限を1年間、延長する方針を固めた。 用地確保が進まないのが最大の要因。今もプレハブ仮設で約11万人が暮らしており、被災者の厳しい生活が長引くことになる。 国や自治体によると、復興住宅は3県で約2万4千戸が計画され、岩手11市町村で5639戸、宮城21市町で1万5767戸、福島11市町村で2868戸が予定されている。 続きを読むこの記事の続きをお読みいただくには、会員登録が必要です。登録申し込みログインする(会員の方) 無料会員登録は
災害や事故の悲惨な現場で、救助・捜索活動にたずさわる消防隊員たちの「惨事ストレス」。命を救えなかった自責の念や無力感、被災した自らの家族を思う心の叫びをどのようにケアしていけばいいのか。総務省消防庁の新たな取り組みには、課題も残る。 ■助けられず「ふがいない」 「家族の安否を考えると心配で一睡もできず活動した」「阪神大震災のニュースを見て消防士を志したが、あの日ほど無力さを感じた日はない」 津波で隊員3人が犠牲になった岩手県の釜石大槌(おおつち)地区行政事務組合消防本部は昨秋、隊員の手記と活動記録を収めた300ページに及ぶ冊子「猛威への挑戦」をまとめた。 当時の記憶を風化させまい、と製作を呼びかけたのは菊池忠男・釜石消防署長(59)。自身も釜石市にあった3階建て庁舎で津波に襲われた。 トラックを押し流す真っ黒な水の壁から逃げようと屋上に駆け上がった。「助けてくれ!」。電柱につかまっ
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