早稲田大学の人気が高まっている。受験・学歴研究家の伊藤滉一郎さんは「難関私大として双璧をなす慶應と比べても、早稲田を選ぶ学生が増えている。背景には、早稲田大学が行った『入試改革』があるのではないか」という――。
大隈重信像と大隈記念講堂
写真=時事通信フォト
大隈重信像と大隈記念講堂(東京都新宿区の早稲田大学、2023年11月14日)

早慶受験に「大変化」が起きている

「早慶」といえば、わが国の難関私立大学TOP2として双璧をなす存在であることは疑いようのない事実だろう。

この2校の対決は野球などのスポーツにおいても「早慶戦」と呼ばれ、白熱の様相を呈しているが、受験における早慶戦もまた目が離せない。

大学野球においては、90年代は慶應優勢、2000年代は早稲田黄金時代、2010年以降は慶應優勢、そして近年は早稲田が盛り返してきている。大変面白いことに、受験においても同じような動きが見られる。

受験においても1980年代~90年代にかけては早稲田優勢だったが、2000年代以降長らく慶應優勢の時代が続いてきた。しかし、その長く続いた流れはこの数年で大きく変わり、早稲田が急速に盛り返してきている。まさに「早稲田vs.慶應」の受験における大きな潮目を迎えようとしているのだ。

本稿では、2025年現在の両校の実力をさまざまな視点から検証していきたい。

まずは毎年、大学受験予備校の東進ハイスクール(ナガセ)が独自作成している「早慶ダブル合格者」の進学先データを見ていき、近年のトレンドについて検証していく。

両方に合格したら、どちらに進学?

2010年代後半から最新2024年までの、学部は関係なく早慶両大学を受験して両方受かった場合の進学率は下記の表の通りだ(図表1)。

早慶「ダブル合格者」進学先の変遷(2018年~2024年)
東進ハイスクールのデータを基にプレジデントオンライン編集部作成

2018年当時は、長らく続いてきた慶應優勢の流れの通り慶應への進学が71.5%、早稲田が28.5%と慶應が早稲田を圧倒していた。

しかし、2024年の最新のデータでは、慶應への進学率51.6%に対して、早稲田が48.4%と、ほぼ互角となっている。

加えて、慶應合格者の中には、早稲田で比較的合格しやすい学部と併願しているケースが多くある。

早稲田には人間科学部やスポーツ科学部といった偏差値から見ると慶應よりも合格しやすい学部が存在する。「どうしても慶應か早稲田に行きたい」と考えている受験生は、学びたい学問は関係なく併願するというケースが多く見られ、「早稲田下位学部vs.慶應」では多くの学生が慶應に進学するため、大学全体で見るとまだ少し慶應が多いという結果になっている。