5月11日、日経ビジネスオンラインでは大阪都構想の推進派である上山信一・慶応義塾大学教授の記事を掲載し、大きな反響があった。そこで17日の住民投票を前に、反対派の論客である村上弘・立命館大学教授の論考を掲載する。 大きな「市」の廃止をめぐる住民投票としては、ベルリン市(都市州)と周辺州の合併を問う事例(1996年、否決)と並ぶギネス級の投票が迫る中、行政学、地方自治論の視点から、しかし批判的に、大阪都の内容と進め方について論じる。 1.東京からは見えない大阪都問題 最初に指摘しておきたいのだが、不思議なことに、橋下徹市長以外の維新の党の政治家は、テレビなどの討論会に出席しない。(4月30日の弁護士会シンポジウムは、維新側が直前にキャンセルし中止になった)。つまり、ほとんど橋下氏の弁舌だけが、大阪都構想を支えている。 書店に並ぶ本は、大阪都反対が圧倒的に多い。5月5日、大阪での学者による記者