ISBN: 9784334100599 発売⽇: 2023/09/21 サイズ: 21cm/643,55p 「万物の黎明」 [著]デヴィッド・グレーバー、デヴィッド・ウェングロウ 数年に一度、人類史の全体像を提示する本が現れ、国際的なベストセラーとなることがある。原書が2年前に英語で刊行された本書も、その一冊だ。副題を見て『サピエンス全史』のような本を思い浮かべるかもしれないが、その印象は裏切られるだろう。人類学者と考古学者の手で書かれた本書は、このジャンルの前提に正面から挑戦する。 その前提とは、人間社会が一定のパターンに沿って進化するということだ。典型的には、小規模で平等な狩猟採集社会が、定住農耕による生産力の向上を経て、階級格差を伴う大規模な国家へと発展する。 本書によれば、こうした思考は西洋人の偏見にすぎない。近年の考古学は、農耕が始まる前に巨大な都市が築かれたことを示す遺跡など、