2025年1月に、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト5をお送りします。政治・経済部門の第1位は――。

政治・経済部門では、米の価格高騰の原因を深掘りしたキヤノングローバル戦略研究所研究主幹・山下一仁さんの記事が1位に。山下さんは政府が備蓄米を放出しても「米の価格は下がらない」と強調しています。2位は、かつて「第2の夕張市」と呼ばれた高知県須崎市のリポート。人気キャラクター「しんじょう君」を活用して財政危機から立ち直らせたキーマンに、ライターの甲斐イアンさんが迫る長編記事です。3位には、解剖学者・養老孟司さんが「田中角栄のせいで日本が貧しくなった」と指摘する記事がランクイン。長引く景気低迷の原因を養老さんの視点で深掘りした記事に注目が集まりました。1~5位のランキングは以下の通りです。

▼第1位 だからコメの値段が下がらない、下げるつもりもない…JA農協のために備蓄米を利用する農水省の呆れた実態
▼第2位 ふるさと納税が200万円→34億円に…「第2の夕張」と呼ばれた金欠の町を元フリーターのヨソ者が復活させるまで
▼第3位 日本人がここまで貧乏になったのは「田中角栄のせい」である…養老孟司が見抜いた“不景気の根本原因”
▼第4位 ソ連崩壊前にそっくり…「呑まなきゃやってられない」酒におぼれるロシア人を大量に生み出したプーチンの限界
▼第5位 「マイナンバーカードには有効期限がある」トラブル続きのマイナ保険証を政府が国民に押し付ける本当の狙い

コメ価格の高騰を受けて、農林水産省は政府備蓄米を条件付きで販売できるようにする考えを示した。これから価格は下がるのだろうか。キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「将来的に国が買い戻す条件付きでJAなどの集荷業者に販売するとなっている。放出してもいずれ市場から引き揚げるのであれば、コメの供給量は増えない。これでは米価を引き下げる効果はなく、国民は高いコメを買い続けることになる」という――。
政府備蓄米を保管している福島県矢吹町の倉庫=2024年4月
写真提供=共同通信社
政府備蓄米を保管している福島県矢吹町の倉庫=2024年4月

いまのコメ価格は史上最高水準

新米が出回ってもコメの価格が高止まりしている。このため、江藤拓農林水産大臣は、1月24日閣議後の記者会見で政府備蓄米を条件付きで販売できるようにする考えを明らかにした。

JA農協が卸売業者に販売する「相対価格」と呼ばれる米価(2024年産)は、60キログラム(一俵)当たり2万4665円(24年12月)にまで高騰している。高米価を批判された食糧管理制度時代の米価、なかでも冷害による大不作で平成の米騒動と言われた際の米価をも上回る過去最高水準だ(1993年産の不作を反映した94年の政府買い入れ価格は1万6266円、自主流通米価格は2万3607円)。

昨年夏にコメ不足が問題になる以前から、農林水産省とJA農協が農家に減反を強化するよう指導していた。このため、2021年産1万2804円、22年産1万3844円、23年産1万5306円となり、10年ぶりの高米価となっていた。それから、現在の水準に高騰するまで、農林水産省は何も対策を講じてこなかった。

【図表】コメ価格の推移
図表=筆者作成