まず前提として、差別問題において被差別側に原因や対策を求めるのは「アドバイス」として間違いだ。 水原さんは、アメリカ人の父と韓国人の母の間にアメリカで生まれ、オードリー・希子・ダニエルと名づけられた。その後、母のホームタウン神戸で育ち、両親の離婚を経て、ある時期から母方の姓を取り水原希子と名乗るようになったという。 常識的に考えると、おそらく母親は日本生まれの在日コリアン。普段から水原姓を使い、娘に希子と名づけるのは自然なこと(韓国で今はほとんど「子」とつけない)。彼女にとって水原希子という名は、「芸名」というよりナチュラルに「自分の名前」なのだろうと思う。 ネイションの枠組は様々で、移動や出会いによって多様な可能性がある。さらに名づけ、名乗りは、ネイションにかかわらずとも個々人の様々な事情や選択がありうる(そもそも日本風の「芸名」は「日本人」の専売特許だろうか)。より広い想像力を。