節電要請の各種報道を見ても電力不足の原因を「脱炭素化による火力廃止のせい」としか説明していないが、火力が減っているのは脱炭素のためだけでない。現下の電力不足は、供給力確保・電源投資への手当てを欠いた全面自由化の制度設計に起因する構造的な問題であることを長くなるが説明する。
節電要請の各種報道を見ても電力不足の原因を「脱炭素化による火力廃止のせい」としか説明していないが、火力が減っているのは脱炭素のためだけでない。現下の電力不足は、供給力確保・電源投資への手当てを欠いた全面自由化の制度設計に起因する構造的な問題であることを長くなるが説明する。
電力不足が深刻さを増している。最大の要因であるLNG(液化天然ガス)の不足はなぜ起きたのか。その背景には、電力自由化や再生可能エネルギーの拡大といった電力システムの変化がある。発電事業者が適正なLNG調達量を判断しにくくなっていたのだ。 今回の電力のひっ迫には大きく2つの要因がある。本誌で既報の通り、寒波による冷え込みで電力需要が増加したこと。加えて、火力発電燃料のLNGの不足である(「電力市場の異常な高騰はまだまだ続く? LNG供給に乱れ」)。 確かに寒波は厳しいもので、電力需要は全国で増加している。ただ、ここまでの需給ひっ迫とJEPX(日本卸電力取引所)価格の高騰を招いた最大の要因はLNGの不足の方だ。中国と韓国によるLNG輸入量の増加、産ガス国での生産設備トラブル、新型コロナ影響によるパナマ運河の通関手続き遅延などが絡み合っている。 ここで一つ、疑問が湧く。いくらLNGの需給がタイト
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