Published 2021/05/12 08:00 (JST) Updated 2021/05/16 18:37 (JST) 国民投票法改正案が今国会で成立する見通しになったが、自民党が野党の立憲民主党の修正提案に応じたことには、やはり驚かされた。法案をめぐって国民の大きな批判にさらされたわけでも、不祥事が絡んだわけでもない。原案通りに成立させることも十分に可能だった法案だからだ。それなのに自民党はなぜ、野党に「折れる」形で法案修正に応じたのか。 筆者は自民党が国民投票法改正案の採決を急いだ理由が「近づく次期衆院選を前に立憲民主党と共産党の分断を狙った」との仮説に立っている。だが、理由はそれだけではないだろう。ここでは自民党内の政治状況について書いてみたい。(ジャーナリスト=尾中香尚里) 菅義偉首相は前任の安倍晋三前首相に比べ、憲法改正への熱意はさほど強くない。大げさな国家観を振りかざす