「生前退位」の意向を示していると報じられた天皇陛下。国民に大きな驚きを与えたこの報道だが、皇太子さまが陛下の代理を務められるご名代や摂政といった方策ではなく、なぜ生前退位をお選びになったのか。ベテラン皇室記者は語る。 「その理由は、陛下のご体験に拠る面もあるのではないでしょうか。両陛下は皇太子同妃時代の1981年、イギリスのチャールズ皇太子とダイアナ妃の結婚式に昭和天皇のご名代として出席されました。天皇皇后なら最前列でも、ご名代ということで4列目くらいの席に案内されたことがありました。また、接見や地方公務の折、ご名代となるとやはり人々の気持ちも少し変わるものです」 だが、そのご意向は大きな問題もはらんでいた。憲法で規定されているとおり、天皇は象徴であり、国政に関する権能を有していない。また、皇室典範では天皇の退位については規定されておらず、天皇は崩御するまで「終身天皇」とされている。つまり