ミシェル・ヴィノック著 『ミッテラン カトリック少年から社会主義者の大統領へ』 ある人物の生涯を辿ることが、そのままある時代を描くことになる存在がある。フランソワ・ミッテランはまさにそのような人物であろう。ミッテランを描くことは20世紀のフランスを描くことであり、20世紀のフランスを描くうえでミッテランという存在を欠かすことはできない。大嶋厚が「訳者あとがき」で数多くの文献に言及しているように、存命中から現在に至るまでミッテランについて膨大な本が生み出されてきた。左翼の立場から彼を高く評価するもの、右翼の立場から酷評するもの、あるいは左翼の立場から告発するもの。本書をはじめとするミッテランの伝記を読めば、これだけ評価が分かれるのは当然のことのように思えるだろう。そしてまた、政治家ミッテランのみならずその私生活等にも関心が寄せられるのは、かの有名な「隠し子」をめぐる逸話のようなゴシップ趣味