ドアを開けると体格のいい女性警察官が立っていた。バッジを示し「家の中を見せてもらえますか」。米国フロリダ州に住む日本人女性、ウィルソン陽子さん(36)=仮名=一家は3年前、9歳だった長男(12)に虐待通告があったとして調査を受けた。 その2日前、ジャマイカ出身で米国の市民権を持つ自動車部品販売業の夫(34)は、ダイニングで長男の宿題を見ていた。やる気のない態度に腹を立てた夫は「いすに座りなさい」と長男の両腕をつかみ、無理やり座らせた。両腕にくっきりと、指の跡が赤いあざになって残った。 翌日、学校で担任があざに気づいた。長男は授業を受けず別室で話を聴かれた。学校から、日本の児童相談所に当たる州機関「児童保護局(CPS)」へ虐待通告がなされた。警察官が来たのは児童保護局からの依頼によるものだった。 女性警察官はチェックリストを手に子供部屋からトイレ、冷蔵庫、クロゼットの中まで見て回り、「片づい