間もなく解体される余部鉄橋(手前)。並行して新しい橋がほぼ完成している=兵庫県香美町香住区、伊藤写す 開通から98年間、その美しさで多くの人に愛されてきた兵庫県香美町のJR山陰線・余部(あまるべ)鉄橋が、架け替えのため16日の運行を最後に撤去される。一部は残されて「空中散歩」のスポットに生まれ変わり、解体された鋼材は研究に役立てられる。 冬場は松葉ガニの観光客らでにぎわう香美町の北端。山と山にはさまれた小さな集落をまたぐように、鉄骨の組み合わせでできた朱色の鉄橋が延びている。100年前の技術では2キロ以上の長いトンネルを掘れず、山の中腹同士を結ぶこの形になったとされる。 コンクリート製の橋への架け替え工事は、2007年3月に始まった。しかし、鉄橋は日本の鉄道史を刻む建造物。学識者や地元自治体、住民らでつくる「余部鉄橋利活用検討会」は、一部を保存するよう兵庫県知事に提言していた