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はてなキーワード: ナショナリストとは

2025-07-28

忙しい人向けのタイカンボジア紛争

今のタイカンボジア紛争っちゅうのはほんまにしょうもない有力者同士の喧嘩でほんまにしょうもないねん。聞いてや。

まあまずタイカンボジアっちゅう国はそらもう11世紀くらいかバチバチやってきてて仲悪いわけじゃな。

カンボジアっちゅう国はフランス植民地じゃったさかいカンボジアからすりゃ国境フランスが決めたものに基づくと思っとった。けどアホなことにフランスタイとは別の地図合意しちょったんじゃわ。フランスさまさまやで。

カンボジア国際司法裁判所に何度も泣きついてカンボジアの言い分を認めさせようとしちょったわけじゃわ。タイからするとフランスの息のかかった国際司法裁判所なんて認められないわけで出廷しないことでうやむやにしちょったわけじゃね。

タイもズルズルと国境を動かしカンボジアカンボジアでせこいことばっかしちょってもう何十年も膠着状態じゃわ。

こういう背景があってタイカンボジア国境問題はずーーーーっと解決せんわけね。

ほんでまあなんでこんなしょうもない国境問題すら平和解決せんのかいっちゅうたらやで、権力者からしたらむしろ解決してもうたら困るわけやわ。

こういう国境問題は頭の悪いナショナリスト達を焚き付けるのにはうってつけの話題やさかい両国権力者はこの問題自分地位を高めるために利用し続けとったんやね。なんかどっかで聞いた話やんな?まあどの国も同じよ。

ほんでまあ今のタイ首相ちゅうのは託身という前の有力な首相の娘なんね。ほんでカンボジアリーダー奮戦っていう人の息子なわけよ。お互いに有力者の子ども同士。託身奮戦っちゅうのは家族ぐるみの付き合いが何十年もあったわけやね。

いまタイで大揉めしとるんは託身の娘と奮戦電話リークされたことに由来しよるけんね。託身の娘が奮戦電話会議したんやけども託身奮戦のことを「おぢ」と呼んでしかタイ軍のことを「逆側」と呼んだわけじゃ。タイ軍は私とは逆側だからおぢの奮戦ちゃんは私と同じ側やねんで仲良くしようやっちゅうこっちゃね。

何があったかしらんけどまあ奮戦がこれをあえて漏らしちゃったんね。ほんでタイでは大騒ぎなわけよ。託身の娘は国賊なんじゃないんかとか言われちょるわけ。それでいま活動停止させられとるんね。

ややこしいのはタイ軍隊っちゅうのはほんまにクソで何回も何回もクーデターしとるほんまにどうしようもないクソ集団なわけね。タイ政治大事ポイントの一つに軍隊と仲良くするか仲良くせんかっていうのがあるわけね。託身の娘も選挙活動中に軍隊とは仲良くせんでとかいいよったんやがいざ当選してから何もできてへんねん。軍隊コントロールできてへんわけね。国のリーダーのくせに統治できてへんわけ。

まあそんな背景があって電話で言ったことは本当なんやろうけども軍隊側はこれを託身の娘を引きずり下ろす良いチャンスと思っとるわけ。軍隊を消したい人からしたら託身の娘は公約果たしてないって怒られるし軍隊応援派の人からたらここぞとばかりに攻撃できるっちゅうこっちゃ。

託身の娘の党であるぴえんタイちゅうのは反軍隊親王政っちゅう立場なんじゃね。実際にはあまり軍隊できてへんのが情けないとこやけどね。この前の総選挙で躍進した人々の党も反軍隊、だけどこっちは反王政国民の大半は反軍隊派なわけ。今度また選挙があったらぴえんは負けて人々の党が絶対に勝つと思われとるけん。

そしたらどうなるか、人々の党はこの前の選挙でも第一党のくせに腐敗したジジイどもに阻まれ首相の座を掴めなかった。今度はもうどうも言い訳できへん。こうなると軍は力ずく権力を取り戻すしかないんちゃうかっちゅうことでクーデター予測されとるわけやね。

別の説だとタイ国王が出てきて軍を鎮めてヒーローになるっちゅう話もあるわな。タイでの国王の力は絶大で軍を鎮められる力を持っとるんね。託身が娘を犠牲にして王の顔を立てるためにやっとるんちゃうかってことやね。

ほんまにしょうもないで。

2025-07-17

anond:20250717113421

候補者の詳細

1. 高橋はるみ (自由民主党)

高橋はるみ候補は71歳の現職であり 、自由民主党から立候補しています彼女選挙戦における主要な政策の柱は、「住民安全安心を守る医療介護体制の充実強化」です 。彼女は、2003年から16年間、北海道知事を務めたという圧倒的な知名度を最大の武器としています 。この長年の知事経験を通じて培われた公共への奉仕地域への貢献の歴史を背景に、彼女自身選挙活動を「北海道の人々への感謝の恩返し」と位置づけています

高橋候補選挙戦略は、その確立された政治的資産に明確に依拠しています彼女が「感謝の恩返し」というメッセージを強調し、16年間の北海道知事としての「圧倒的な知名度」を活用していることは、新たな政策提言よりも、有権者との信頼関係や親近感を優先する戦略的な動きと見ることができます。これは、特に彼女が深い根を張り、忠実な有権者基盤を築いてきた地域において、経験豊富な現職にとって、強固な実績と国民認知が、斬新な政策提案と同等かそれ以上に強力な要素となり得ることを示唆しています。また、彼女医療介護体制の充実に焦点を当てていることは、日本高齢化社会特に高齢者が多い支持層現実と直接的に合致しています。この政策の重点は、彼女の長年の知事としての実績と、信頼できる公僕としてのイメージを強化し、特定社会ニーズ対応するよう設計された、非常にターゲットを絞ったアピールであると考えられます

2. 田中よしひと (参政党)

田中よしひと候補53歳新人であり、参政から立候補しています。彼の主要な選挙公約は、「日本ファースト」の政策と、北海道外国資本から守るという強い決意を強調しています経済面では、税金社会保険料の合計負担率を35%に上限設定することを訴えていますさらに、消費税(段階的廃止可能性を含む)、インボイス制度ガソリン暫定税率廃止提案しています。彼の公約重要な柱の一つは、日本食料自給率現在の38%から100%に引き上げ、一次産業への国の強力な支援を確保することです。また、「北海道ファースト」のエネルギー政策提唱し、再生可能エネルギーバランスの取れた導入を通じて地域ニーズを優先することを目指しています。彼の選挙メッセージは、「このままでは日本日本でなくなる」というグローバル化に対する危機感を表明しており、有権者の一部に響いているようです。

田中候補公約は、「日本ファースト」や「北海道外国資本から守る」といったナショナリスト的なレトリックと、税負担の上限設定や消費税廃止といった具体的な経済ポピュリズム措置が明確に融合しています。この戦略は、国家アイデンティティ経済主権、そして生活費の高騰に懸念を抱く有権者に訴えかけるよう設計されています食料自給率の向上や「北海道ファースト」のエネルギー政策という明確な強調は、この広範なナショナリスト経済メッセージ北海道という資源豊富地域特に適合させ、関連性と説得力を持たせています

このナショナリズム経済ポピュリズム独自の組み合わせ、特に外国資本からの脅威に対する焦点は、参政党を主流政党に対する明確な代替勢力として位置づけています。先月の東京都議会議員選挙で3議席を獲得した参政党の最近選挙での成功は、この種の政策国民に受け入れられつつあることを示唆しています。これは、従来の政治国家アイデンティティ経済幸福に関する懸念対処できていないと感じている、幻滅した有権者層に参政党がうまくアプローチしていることを示しています

3. 小野寺まさる (日本保守党)

小野寺まさる候補は61歳の新人であり、日本保守党から立候補しています。彼の中心的なアピールは、「この国を愛する人物を一人でも多く国会に送り届ける必要性」に集約されています。また、SNS積極的活用することで、自身知名度を高め、メッセージ効果的に広めることを目指しています

小野寺候補の主要な公約は、「この国を愛する人物」を国会に送るという、政策の詳細なリストではなく、広範でイデオロギーに基づいたアピールです。この抽象的で価値観に基づいたアプローチと、知名度向上のためのSNS戦略的活用は、特定価値観を共有する有権者層を動員しようとする意図示唆しています。この層には、従来の保守政党原則妥協した、あるいは国家アイデンティティを十分に擁護できていないと感じている人々が含まれ可能性があります

この戦略は、参政党のアプローチ類似しており、新しい政治的実体候補者の間で、文化国家アイデンティティを、詳細な政策提言よりも重視する傾向が強まっていることを示していますデジタルプラットフォーム活用することで、これらの候補者は従来のメディアフィルター回避し、ターゲットとする聴衆と直接関わり、共通価値観コミュニティ意識を醸成することができます

4. 後藤朋子 (NHK党)

後藤朋子候補は55歳の新人であり、NHKから立候補しています彼女の唯一の焦点は、NHK日本放送協会)が将来的にスクランブル放送を導入し、NHK受信料を実質的無料にすることを提唱することです。彼女は、「公共放送は本来無料であるべきだ」と強く主張しています

後藤候補選挙公約は、NHK受信料問題スクランブル放送の導入という単一課題に完全に特化しています。この非常に具体的で焦点を絞ったアプローチは、NHK党の全体的な戦略の特徴です。この狭い政策焦点は、この特定課題に対して強い不満や信念を抱く人口層を動員する上で、驚くほど効果的であり、広範で多様な政策基盤を必要しません。

単一争点政党成功は、特定政府機関公共サービス、または政策に対する国民根深い不満のバロメーターとして機能することがよくあります。このような焦点を絞ったキャンペーンは、幅広い一般有権者アピールしないかもしれませんが、熱心な有権者から十分な支持を得て、立法機関に足がかりを築くことができます。これは、多党制政治システムにおいて、ニッチな不満とターゲットを絞ったアピールが持つ大きな力を示しています

5. 宮内しおり (日本共産党)

宮内しおり候補33歳の新人であり、日本共産党から立候補しています彼女は、経済的困難を緩和するための具体的な措置として、最低賃金年金の引き上げ、生活保護基準の向上を提案しています彼女の最終的な目標は、国民可処分所得を増やすことです。彼女は、「物価高で大変な暮らしをしっかり支える政治をつくる」と公約し、生活費に関する広範な懸念に直接対処しています

宮内候補公約は、「物価対策」のテーマに直接的かつ包括的対応しており、所得増加と社会保障網の強化に焦点を当てています。このアプローチは、日本共産党伝統的な社会福祉、経済平等、そして脆弱な人々の支援への重点と一致しています最低賃金年金生活保護の引き上げといった彼女の具体的な提案は、実質賃金可処分所得の低下に関する国民の広範な懸念に対し、具体的かつ即時的な対応提供しています

この戦略は、共産党インフレ経済不安定さに最も影響を受けている人々の擁護者として効果的に位置づけています生活費の高騰が支配的な争点となっている選挙において、直接的な財政的救済策を提供し、社会支援システムを強化することを約束する候補者は、特に経済的に苦しんでおり、現在政策に見捨てられていると感じている有権者のかなりの部分に強く響く可能性が高いです。

6. 岩本剛人 (自由民主党)

岩本剛人候補は60歳の現職であり、自由民主党から立候補しています。彼は、「国を守るためには、北海道が食料を守っていかなければならない」と主張し、責任ある与党である自由民主党公明党がこの重要目標を達成できると強調しています 2。また、北海道内の特定地域課題に取り組むこと、そして地域社会が直面する課題効果的に伝えることに焦点を当てています。彼の選挙運動を強化し、自民党北海道で2議席を維持するという目標を達成するため、農林水産大臣小泉進次郎氏を含む著名な党幹部からの高位の支援を受けています

自民党の現職である岩本候補選挙運動は、食料安全保障と広範な地域課題戦略的に焦点を当て、これらを自民党公明党与党連合能力責任に明確に結びつけています。このアプローチは、同じ自民党の現職である高橋はるみ氏(医療介護を強調)との差別化を図りつつ、自民党の核となる支持層アピールし、北海道の具体的かつ重要ニーズ対応することを目的としています小泉進次郎大臣のような著名な閣僚積極的応援演説を行うことは 3、この重要選挙区で自民党が両現職の議席を確保することに対する戦略的必要性を強調しています

これは、自民党が同じ選挙区内で多様な政策分野をカバーし、より幅広い有権者層にアピールしようとする協調的な戦略示唆しています岩本候補が食料安全保障を強調することは、特に北海道のような主要な農業地域において、根本的かつ増大する懸念に訴えかけるものであり、サプライチェーン脆弱性が増す世界において、与党国家の安定とレジリエンスのための信頼できる選択肢として位置づけています著名人応援必要であることは、主要政党の現職であっても、特に無党派層からの支持獲得に課題を抱えていることを示しており、選挙競争の激しさを浮き彫りにしています

7. 稲原むねよし (チームみらい)

稲原むねよし候補は36歳の新人であり、チームみらいか立候補しています稲原候補は、「世界から取り残されない日本を、ITの当たり前を実現する日本を作っていきたい」と公約していますさらに、「AIによる新しい政治」の実現を提案しており、ガバナンス社会進歩に対する技術主導のアプローチ示唆しています

稲原候補ITの普及と「AIによる新しい政治」という独自の焦点を持っていることは、選挙論議の中で独自政策ニッチを切り開いています。従来の経済問題社会問題支配的な政治情勢の中で、技術進歩革新へのこの強調は、特に若年層の有権者テクノロジー精通した個人、あるいはデジタル時代における日本国際競争力懸念を抱く人々にアピールする可能性があります

これは、日本政治において、ガバナンス形成し、社会進歩を推進する上でのテクノロジー重要役割という、新たな、しかしおそらくまだ主流ではないテーマを浮き彫りにしていますデジタル変革は、インフレに苦しむ幅広い有権者にとって直ちの最優先事項ではないかもしれませんが、日本世界技術的変化を乗り越え、主要な工業国としての地位を維持しようと努力する中で、ますます牽引力を得る可能性のある未来志向視点を表しています

(続く)

2025-06-23

anond:20250623075245

蹄鉄理論

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E8%B9%84%E9%89%84%E7%90%86%E8%AB%96

体現した党なんだけど、そういうのは別に今になって現れたわけじゃなくて日本右翼左翼っぽいし左翼右翼ぽいんだよ。そしてどっちもオカルトっぽい。革命志向反米ナショナリストだったり。

北一輝とか一水会とかな。

2025-06-17

【ChatGPT/DeepResearch】はてなブックマーク人気コメント思想的傾向1

2005〜2009年: サービス黎明期リベラルコメントの萌芽

はてなブックマーク創設期(2005年前後)には、ITリテラシーの高いユーザーが集まり始め、政治社会系の記事にもコメントが付くようになりました。当初はユーザーコミュニティの規模が小さく、議論は活発でしたが、コメント内容には玉石混交の傾向もありました。例えば2007年頃には、ある有名ブロガーが「もしネット右翼メッカ2ちゃんねるだとすれば、ネットイナゴ烏合の衆)が集まるのははてなブックマークだ」と苦言を呈しています

実際この時期、記事内容を論理的批判するコメントは少なく、**「バカ」「○ねばいいのに」**といった過激罵倒スラングが人気コメント欄に並ぶこともあり、2ちゃんねる的な粗野さが指摘されました。

はてなブックマークコメント欄は当初、必ずしも洗練された言論空間ではなく、極端な言葉遣いや叩きがスターボタンによって増幅されるケースも見られたのです。 とはいえ、この黎明期には既にリベラル寄りの思想傾向が芽生えていました。長年自民党政権が続く中、ネット上では権力改革志向の声も強まりはてなユーザー例外ではありませんでした。たとえば当時「はてな左翼はてサ)」と呼ばれる進歩的ブロガー/論客が台頭し始め、歴史認識人権問題保守派批判する動きが散見されます

実際、南京事件憲法9条などの論戦では左派スタンスユーザーが詳しい知識議論リードし、右派的主張に反論説教するといった場面も見られました。

極端な例では、ある著名ユーザーが「『自衛隊人殺し』『日本人という存在自体が悪だ』」とまで発言し物議を醸したこともあります

こうした過激表現はさすがに例外ですが、総じて反権力リベラル志向コメント共感を集めやすい土壌が形成されつつありました。2009年政権交代自民党から民主党へ)の際にも、はてなブックマーク上ではそれを歓迎・期待するリベラルユーザーコメントが多く見られ、長年の保守政権に対する変革への期待感が読み取れますもっとも、この時期のコメント欄はまだ手探り状態で、思想スタンスよりもコメント文化自体模索が続いていたとも言えますスター(★)による評価システムも始まったばかりで、どのようなコメントが支持を集めやすいかユーモア皮肉批判精神など)コミュニティ全体で試行錯誤している段階でした。

2010〜2014年: 左派コメントの台頭とコミュニティの活発化

2010年代前半になると、はてなブックマーク政治コメント欄ではリベラル左派)的な論調がいよいよ優勢となっていきました。民主党政権(2009〜2012年)の発足や2011年東日本大震災福島第一原発事故といった出来事を契機に、反原発・反権力の声がネット世論で高まりはてなでも人気コメントとして多くの支持を集めました。たとえば震災後の原発政策を巡っては、政府や電力会社批判するコメントスターを集め、「脱原発」「政府隠蔽体質批判」などリベラル色の強い意見が目立ちました(※当時、多くのはてなユーザー原発推進派の政治家・官僚に厳しい目を向け、代替エネルギー市民運動を支持する姿勢を示していました)。また、2012年に第二次安倍政権が発足すると、保守色の強い安倍政権政策憲法改正論議国粋主義発言など)に対し、はてな人気コメント欄では批判的な論調が一貫して支配的になります。「はてな左翼はてサ)」**と総称された進歩的ユーザーコミュニティがこの頃確立し、彼らが多くのスターを集めるコメントを量産したのです。

具体的な傾向として、保守ナショナリスト的な対象への批判揶揄が盛んでした。たとえば2012年前後には、大阪市長橋下徹氏(保守的・改革派の政治家)に批判的なコメントや、石原慎太郎都知事過激発言皮肉コメントが多数支持を集めています。実際、あるユーザーは「坊主(橋下)が憎けりゃ袈裟まで憎い」という諺をもじり、橋下氏の行動全般を痛烈に批判してスターを集めました。

またヘイトスピーチなど社会問題化したテーマでは、右派的な差別扇動に対する強い糾弾が人気コメント欄を賑わせました。2013年から在日コリアンに対するヘイトデモ問題視され始めましたが、その際もはてなでは反レイシズム立場から表現の自由を履き違えた差別は許されない」といったコメントが支持を集めています2016年ヘイトスピーチ解消法成立に至る世論形成にも、そうしたネット上の批判世論が背景にありました)。このように、2010年代前半のはてなブックマークリベラル志向の論者が主導権を握り、保守的な主張や差別的言説には厳しい反応が集まる傾向が強かったのです。 同時に、ジェンダーマイノリティ権利に関するトピックでもリベラル寄りのコメントが目立ちました。例えば女性LGBTQの権利問題についての記事では、「多様性尊重」や「男女平等」を訴えるコメントが人気化しやすく、ミソジニー女性蔑視)的な発言や古い価値観への批判が数多く見られました。はてなコミュニティ内でもフェミニスト観点を持つユーザーが増え、「はてな村」のフェミニズム論争が活発化します。これに対し一部では反発も生じ、2014年には匿名日記上で「はてブって女性のことになると、ネット右翼よりも全体主義低能集団集合知ではなく集合恥だな」という辛辣批判投稿されました。

この発言者は、はてなブックマーク上で女性擁護フェミニズム的主張ばかりがスターを集める状況に苦言を呈したものです。「日本人からすごい!女性からすごい!──ネット右翼とはてフェミってどっちも変わらん」とも綴られており、愛国心を拗らせたネット右翼と同様に、はてなリベラルフェミニスト層も思考が偏っていると批判していました。このような反発意見自体が注目されるほど、当時の人気コメント欄はリベラル(時に急進的)一色になりがちだったと言えます。実際、2012年にはあるユーザー右派新聞記者産経新聞阿比留記者)への個人攻撃をたしなめたところ、「相手があの記者から何を言ってもいいのか」と諫めた彼自身が「はてなサヨク」層から猛反発**を受けたというエピソードも伝えられています

このように2010年代前半は、リベラルユーザーが結束してスターを投じ合い、彼らの価値観合致しない意見には容赦なく批判が向けられる風潮が強まりました。 **まとめると、2010〜2014年はてなブックマーク政治ジャンル人気コメントは「リベラル派が主導し、保守派差別的言説への対抗言論が突出した時代」でした。民主党政権期のリベラル改革期待、そして第二次安倍政権開始後の保守回帰への反動もあり、左派的なスタンスコメントが常に上位を占める傾向が続きました。もっとも、コメント全体のトーンとしては皮肉辛辣さも増し、しばしば断定口調で上から目線批評スターを集めるという独特の「はてな語り」**も醸成されていきました。

実際あるユーザー2010年時点で「妙に上から目線で断定するコメントスターを集めていて、いつの間にか自分まで嫌な人間になりかけた」と感じ、はてなブックマーク熱が冷めたと告白しています

それでもなお、この時期は活発な左派言論によって他のネットコミュニティにはない独特の盛り上がりを見せていたと言えるでしょう。

2015〜2019年: リベラル優勢の定着と内輪化の進行

2015年以降も、はてなブックマーク上の政治コメント基本的リベラル左派)優位の傾向が継続しました。 第二次安倍政権下で保守色の強い政策が次々と打ち出される中、人気コメント欄ではそれらを批判揶揄する声が依然として主流でした。象徴的な出来事として、2015年安全保障関連法案(いわゆる安保法制強行採決があります。このとき国内で大規模な反対デモSEALDsなど若者中心の抗議運動)が起きましたが、はてなでも法案批判的な意見圧倒的多数を占めました。「憲法違反だ」「民主主義危機」「戦争法反対」といったコメントが軒並みスターを集め、安倍政権右傾化への強い警戒感がうかがえました。また2017年前後森友・加計学園問題政権スキャンダル)でも、真相解明を求める論調や「安倍晋三首相責任を取れ」といった厳しい批判コメントが人気上位に並び、政権追及一色の様相でした。このように安倍長期政権に対する不信・批判はてなでは一貫して根強く、人気コメント思想スタンスは反権力リベラル路線が盤石だったといえます。 同時期、社会文化的な論争でもはてなの人気コメントリベラル派に軍配が上がることがほとんどでした。例えば2018年には東京医科大学入試差別問題女子受験生の点数を一律減点)が発覚しましたが、このニュースに対しては「時代錯誤な男女差別だ」「女性の機会を奪う不公正」という糾弾コメントが大量に付き、スターを集めました。さら2017年から世界的に#MeToo運動が広がり、日本でも伊藤詩織さんの性暴力被害告発が注目されましたが、はてなブックマークでも彼女を支持し日本の性暴力問題警鐘を鳴らすコメントが多数賛同を得ました。逆に、杉田水脈議員による「LGBT生産性がない」発言2018年)など保守政治家の差別的な発言に対しては、「公人として許せない」「差別のものだ」と厳しく非難するコメントが目立ちました(抗議デモ記事にも「まず謝罪を」「議員辞職すべき」といったユーザーの声が集まっています)。

このように、ジェンダー平等マイノリティ人権擁護など進歩的価値観を支持するコメントが引き続き優勢であり、はてなにおけるリベラル志向は揺るがないままでした。 しかし、2010年代後半になると、そのリベラル優勢が「行き過ぎた内輪化」として指摘される場面も増えてきます。活発だったユーザー層が次第に高年齢化し、新規参入者や多様な意見が減ったことで、「同じメンバーによる同じような主張」が目立つようになったのです。実際2020年直前のある分析では、「最近はてブ負のオーラがすごい。一般感覚とかけ離れた左寄りコメで埋め尽くされ、陰謀論じみた人気コメントトップになることもある」と嘆く声がありました。

このユーザーは「明らかにユーザーが高年齢化し、40代前半くらいのおっさんばかりになった」と指摘しています。つまりネット上で極端なイデオロギーを露わにする層は中高年男性が多く、はてなブックマーク左翼のおじさんの溜まり場になってしまったという自己分析です。この指摘の通り、2015〜19年頃の人気コメント欄では、同じ論調メンバースターを付け合って盛り上がるエコーチェンバー化が進行した側面があります。「安倍政権=悪」「リベラルこそ正義」という大枠に沿うコメントは容易に支持を集める一方で、それに異を唱える意見最初から敬遠排斥されやす空気が醸成されていました。 もっとも、当のリベラルユーザーたちは自分たちの主張を**「正論」「市民感覚」だと信じていたため、そうした内輪化を自覚しにくかったようです。はてなブックマークを長年使ってきた一部のユーザーには閉塞感も広がり、2010年代後半には「最近はてブはひどい」「昔はもっと面白い情報が拾えたのに」という懐古的な意見も増えました。例えばある匿名日記では、「2年以上前からはてブは終わった”と言われているが、最近本格的に面白い情報が見つからなくなった気がする」と嘆かれています。この背景には、政治ジャンルに限らずホッテントリ固定化(いつも似たような記事コメントが上位に上がる)や、新興メディアNAVERまとめTogetterTwitter等)への関心分散がありました。 総じて、2015〜2019年リベラル優勢が定着する一方で、その強い傾向ゆえの弊害(画一化・内輪化)も指摘された時期と言えます。依然として人気コメントは「右派批判」「市民目線政府批判」が主流でしたが、その論調はどこかマンネリ化し、新鮮味に欠けるとの声も出始めたのです。

ただ、この頃まではまだ保守論調が人気上位に食い込むことは稀で、基本路線としては**「反自民リベラル」**の牙城が守られていたと総括できます

https://anond.hatelabo.jp/20250617074749 に続く

2025-06-09

自民党を敵視する右翼

外国人へのヘイトや、ナショナリスト的な主張をすると同時に、自民党も悪であると断ずる

左翼から見るとよくわからない存在かもしれないが、正体は参政党支持者です

選挙が近づくと活動が激しくなると予想されます

2024-08-19

anond:20240819121059

愛国者……というかナショナリズムに傾倒するものというのは

  

まず自分が無価値状態があり

自分価値を確保する必要があり

そのために「○○人であるので、私は価値がある」という思想に傾倒する。

 

なぜリベラル社会に住みながらそれに反するのか?ではなく

まずリベラル社会に反する、排斥されている(無能であるため)個人がおり

その受け皿の一つがナショナリズムなのだ

 

この状態批判の仕方は、2つある。

ひとつは、ナショナリストはアホであるということ

もうひとつは、現代リベラル社会などというものも、所詮は人を排斥するものであり、万能の楽園なのではないこと

両方の視点をもって考える必要があるだろう。

2024-06-02

與那覇潤センセイはウクライナ史を知らない?

呉座勇一さんとの新刊の「おわりに」を公開します。

https://note.com/yonahajun/n/n5f920bd34136

これ読んでぶったまげたわ。

「ゼレンスキー政権の全体を「ネオナチ」と呼ぶロシアプロパガンダの歪みは明らかだが、独ソ戦下にドイツの側につくことでソ連から独立を策した、ステパン・バンデラ標榜する勢力ウクライナ存在することは事実だ。

 少なくとも彼らの視点では、ナチスは「良いこと」もしたのである。そう主張する、私たちにとって十分にはクリーンでない人々とも手を組まなければ、プーチン侵略という「悪いこと」に対抗できない。世界はそこまで、追いつめられている。 」

バンデラを英雄視するウクライナ人が、「ナチスは「良いこと」もした」とは言わんだろ。

かにバンデラは反ソの立場からナチドイツに協力しようとしたが、それは同床異夢でしかなく、独ソ戦開始直後の1941年7月ナチドイツから捕らえられて、強制収容所に入れられてるんだから

また今の情勢で「ナチスは「良いこと」もした」なんて言おうもんなら、国際世論から非難されるうえ、ロシアプロパガンダに塩送ることになるわけで、ウクライナナショナリストもそこまでバカではないよ。

しかも、「私たちにとって十分にはクリーンでない人々」って誰を指してんの? その直後に「プーチン侵略という「悪いこと」に対抗できない」とあるから、もちろんナチではないよな?

直前の「そう主張する」とあわせて考えると、「ナチスは「良いこと」もした、と主張するウクライナステパン・バンデラ標榜する勢力」ということなのかもしれんが、繰り返すように、別にバンデラを英雄視するウクライナ人が「ナチスは「良いこと」もした」と主張しているわけではないからな。

とにかく日本語としてわかりにくいうえ、ウクライナ歴史ならびに歴史認識の複雑さをまったく無視した暴論としか言いようがないよ。

2024-05-02

地域間文化格差地方主義者リベラル

東京都地方文化格差があるって話になると

「そんなことな地方の方が優れてる」みたいな

地方主義者地域ナショナリスト)がわらわら湧いてくるんだけど

「その通り、こうなったのはジミンノセイダー」

ってリベラルなら言いそうな感じなんだけどほとんど見かけないのは何で?

リベラル地元のことになるとナショナリズムに目覚めるの?

2024-03-08

国境廃止委員会

私は国家解体国境廃止を訴えている地球市民の1人である

私のことをアナーキスト批判する国家主義者右派左派わず)が存在するが、私から言わせれば国家主義者ほどアナーキー存在はいない。

彼らは国家主権絶対性を訴えるあまり国際社会における無秩序混沌から目を逸らすのである

国家主義者はその国際社会アナーキ性を正当化し、その中で秩序を構成するための自国軍事力経済力発言力向上も正当化するのである

力こそが秩序を決めるというのならば国際社会世紀末である

そのようなことが許されるのであろうか。

国家主義者と言うと自分と縁遠い人間想像する人もいるであろう。

しかし、自分国家主義者である自覚のない無意識ナショナリストは溢れている。

一例を挙げよう。

国力、殊に経済力的側面から少子化解決を訴える人間がいる。

から言わせれば彼らは真性ナショナリストである

我らのゆりかごは既に増えすぎた人間を抱え切ることができなくなっているのにも関わらず、相対的人口数低下に危機意識を持ち、人口増加を願うのならばそれはナショナリズムによるものである

他にも例を挙げればキリはない。

私はここ、はてな匿名ダイアリー国境廃止委員会本部及び国境廃止委員会日本支部設立宣言する。

国境廃止され、国軍廃止され、通貨廃止され、現状の国家ローカルガバメントとなることを目指す。

特に国軍廃止世界同時に行われなければならない。

我ら人類が保持することを認められた暴力装置警察権力のみであり、軍事力保有など決して認められないものである

なぜならば、人の命を奪うことは究極の不可逆的行為であるからである

国家国家の争いにより政治権力のない庶民子供たちが屠られたとしよう。

例えその後に国家国家和解しどれほど強い友愛が築かれようと、かつて失われた命が再び息を吹き返すことはもうないのである

唯一の例外は旧国家勢力の打倒のための一時的軍事力である

我ら国境廃止委員会を支持する世界市民主義者過半数を超えた時にも、反世界市民主義者が率いる国家とそれを支持する国民存在するであろう。

国境廃止委員会を支持する旧国家国境廃止委員会フォースプロバイダーとして旧国軍提供せよ。

国境廃止委員会の下におかれる国家解体軍事委員会提供された連合軍フォースユーザーとして組織国家主義者を破砕するのである

最後に。

地球市民主義欧米主導のグローバリズムとは異なるものである

我らは公用語という概念を持たない。

我らは地球における多様な文化を、それが個人自然権侵害しないものである限り否定しない。

私はお雑煮と言えば味噌仕立ての汁に丸餅とカブ鰹節である

しかし、だからと言って醤油仕立ての雑煮餡子の入った雑煮否定することはないのである

我らは皆同じ地球市民であるとともに多様なことな文化を持つのである

我らは国家解体し、現状の国家地球の一地域とする。

つの地球に一つの議会を。

つの地球に一つの行政府を。

つの地球に一つの最高司法機関を。

つの地球に多様な文化地域を。

地球市民の、地球市民による、地球市民のため世界政府を。

私はここに国境廃止委員会設立とその総裁への就任宣言し、地球市民のため職務を全うすることを厳かに誓う。

God bless earth

God bless people world over

2024-02-29

古文漢文必要派vs不要派」は政治的な争いであ

古文漢文なんていらねぇ!という主張は、とにかく評判が悪い。受験期になると毎年のようにこの手の論争が再燃するが、話がまともに前進することは稀である

ほんとうに意味のない教養信仰マウントやwhataboutismをとりのぞいたとき、私の考えでは、必要派のまともな論拠は以下の一点に絞られる。すなわち、古文漢文学習することは、日本人としての文化的アイデンティティを養うことに繋がるので、古文漢文は学ばれるべきなのだ

いずれにしたって、古文漢文に優先的に学ばれるだけの価値があるとすれば、それは役に立つからである

任意学問について学ぶことにはそれ自体価値がある(誰もこれを否定するべきではない)のだが、それだけでカリキュラムに組み込まれるわけではない。古文漢文英語数学とならんでとりわけ役に立つからこそ、受験科目にするほどの価値を認められているのだ。そうでないとすれば、あれやこれを受験科目にせず、古文漢文受験科目にすることがまったく正当化できない(これはいくらかwhataboutismだが)。

古文漢文はなんの役に立つのか。古文漢文をやっていれば、これに絡んだワードセンス物語優美さ・ユーモアが汲み取れる、というのはどう考えても小さすぎる利点なので、この程度の「役に立つ」を指摘して満足してしまうのは小物のやり口である

もっとがっつり役に立つ、例えば大学社会に進んだら漢文古文を読む機会がたくさんある、古文漢文で読解力や論理的思考が大幅に養われる、などと指摘するのは嘘つきのやり口である。そんなことないからこそ、不要論が立ち上がるのだ。

したがって、古文漢文が真に役に立つのだとしたら、上に述べた通り、日本人としての文化的アイデンティティを養うことに繋がるというのが、その「役」なのである。この「役」は、聖書プログラミングを学ばせても代替できない点で、古文漢文をとりわけ優先するもっともらしい理由を与えてくれる。中高生たちは日本人としての文化的アイデンティティを養うべきであり、古文漢文はこの望ましい帰結をもたらすからこそ役に立つ、優先的に学ばれるべきなのだ。というか、これこそが古典教育目標であることは(ここまで露骨ではないものの)高等学校学習指導要領に書かれている。

古典としての古文漢文古典に関連する文章を読むことによって、我が国伝統文化に対する理解を深め、生涯にわたって古典に親しむ態度を育てる。

古文漢文必要派は、この一点突破を狙うべきだろう。小さすぎるお役立ちを挙げるのも、大きすぎるお役立ちを挙げるのも、教養信仰マウントやwhataboutismに徹するのも、墓穴を掘って自らを辱めるだけだ。

しかし、「中高生たちは日本人としての文化的アイデンティティを養うべきだ」という前提は、すでにかなり党派的なものである。それはれっきとした国粋主義であり、軍国的な仕方で「国民」なるもの要請している。このグローバル化が進みきった時代において、なぜ日本人にっぽんじん)としてのアイデンティティを持たなければならないのか、それがなんの「役に立つ」のかという疑問はスキップされており、とにかく、「文化的アイデンティティを養うべだ」という義務けが突きつけられている。

実際、古文漢文不要派の一部は、まさにこの「国民」の押し付けにこそ反対しているのであり、特定文化的アイデンティティ固執するべきではないと考えているのだ。必要派が本質的ナショナリストならば、不要派は本質的アナーキストである

というふうに、「古文漢文必要派vs不要派」の争いは多分に政治的な争いであり、私が思うに、発信する人の多くはこれを分かっている(ほんとうに無自覚な人もいるが)。しかし、両陣営ともに自らの政治的立場を明言しないのが普通である。というのも、露骨党派性を示してしまえば、そうしなかった場合には言いくるめられたフォロワーまで引かせてしまうからだ。そのせいで議論はいつも上滑りし、互いに口汚く罵り合って、相手馬鹿だと結論し、翌年の再戦を待つばかりだ。

中高生たちは日本人としての文化的アイデンティティを養うべきだ」という前提の是非にのみ話を絞れば、古文漢文必要性をめぐる議論はもう少し見通しが良くなるだろう。

なんにせよ、アイデンティティを持つことは、心身の健康にとって必要不可欠であるかもしれない。国民であるという拠り所すら失われたときに、人はどれだけの孤独を感じるのか。そんなものに寄りかから自分の脚で立て!というマッチョ個人主義に、みんながみんなついていけるわけではない。

はたまた、仮に日本人としてのアイデンティティを養うべきなのだとして、古文漢文やらせるというのは理にかなった方法なのかという疑問も意味をなしてくる。これだけ少なくない人々に、古文漢文という科目への悪いイメージを植えつけているのだとすれば、それはいわゆる「義務教育の敗北」ではないか

はたまた、少なから党派的な思想を陰に陽に植えつけようとする事自体中高生自律性を脅かすパターナリズムでなくてなんなのか。「自分の脚で立て!」とまではいかないにせよ、子どもたちには一定選択が与えられるべきであり、古文漢文必須受験科目とすることはその道を閉ざしているのではないか

そんなに言うなら、私立理系に進めばいいだけの話だ!と言われるかもしれない。しかし、だとすれば理系はなぜ日本人としての文化的アイデンティティを養う義務から(ある程度)自由を許されるのか、と問われるかもしれない……。

疑問・議論は尽きないが、私たちはいまや「古文漢文必要なのか」というはじめの問いよりも、はるかに全うな問いたちを手にしつつあるのではないか

2024-02-21

排他的ナショナリストって、外国人のこと嫌いだけど、日本褒める外国人大好きだよね

そんでガチ右翼喧嘩してるのをよく見る

2024-01-26

anond:20240126183251

9.「平和基本法から佐藤優現象〉へ

 〈佐藤優現象〉を支えている護憲派の中心は、雑誌としては『世界』であり、学者では山口二郎和田春樹である。この顔ぶれを見て、既視感を覚える人はいないだろうか。すなわち、「平和基本法である。これは、山口和田らが執筆し、共同提言として、『世界』一九九三年四月号に発表された。その後、二度の補足を経ている(56)。

 私は、〈佐藤優現象〉はこの「平和基本法からの流れの中で位置づけるべきだと考える。

 同提言は、①「創憲論」の立場、②自衛隊合憲化(57)、③日本経済的地位に見合った国際貢献必要性、④国連軍国連警察活動への日本軍の参加(58)、⑤「国際テロリスト武装難民」を「対処すべき脅威」として設定、⑥日米安保の「脱軍事化」、といった特徴を持つが、これが、民主党の「憲法提言」(二〇〇五年一〇月発表)における安全保障論と論理を同じくしていることは明白だろう。実際に、山口二郎は、二〇〇四年五月時点で、新聞記者の「いま改憲必要なのか」との問いに対して、「十年ほど前から護憲立場から改憲案を出すべきだと主張してきた。しかし、いまは小泉首相のもとで論理不在の憲法論議が横行している。具体的な憲法改正をやるべき時期ではないと思う」と答えている(59)。「創憲論」とは、やはり、改憲論だったのである

 同提言の二〇〇五年版では、「憲法九条の維持」が唱えられているが、これは、政権が「小泉首相のもと」にあるからだ、と解釈した方がいいだろう。「平和基本法」は、戦争をできる国、「普通の国」づくりのための改憲である。同提言軍縮を謳っているが、一九九三年版では、軍縮は「周辺諸国軍縮過程と連動させつつ」行われるとされているのだから北朝鮮中国軍事的脅威が強調される状況では、実現する見込みはないだろう(60)。また、「かつて侵略したアジアとの本当の和解」、二〇〇五年版では、周辺諸国への謝罪過去清算への誠実な取組みの必要性が強調されているが、リベラル過去清算は終わったと認識しているのであるから、これも実効性があるとは思えない。要するに、同提言には、論理内在的にみて、軍事大国化への本質的な歯止めがないのである

 佐藤が語る、愛国心必要性(61)、国家による市民監視(62)、諜報機関の設置等は、「普通の国」にとっては不可欠なものである佐藤饒舌から私たちは、「平和基本法」の論理がどこまで行き着くかを学ぶことができる。

 馬場は、小泉純一郎首相(当時)の靖国参拝について、「今後PKOなどの国際的軍事平和維持活動において殉死殉職した日本人の慰霊をどう処理し追悼するか、といった冷戦後平和に対する構想を踏まえた追悼のビジョンもそこからは得られない」と述べている(63)。逆に言えば、馬場は、今後生じる戦死者の「慰霊追悼施設必要だ、と言っているわけである。「普通の国」においては、靖国神社でないならば、そうした施設はもちろん、不可欠だろう。私は、〈佐藤優現象〉を通じて、このままではジャーナリズム内の護憲派は、国民投票を待たずして解体してしまう、と前に述べた。だが、むしろ、すでに解体は終わっているのであって、「〈佐藤優現象〉を通じて、残骸すら消えてしまう」と言うべきだったのかもしれない。

 ここで、テロ特措法延長問題に触れておこう(64)。国連本部政務官川端清隆は、小沢一郎民主党代表の、テロ特措法延長反対の発言について、「対米協調」一辺倒の日本外交批判しつつ、「もし本当に対テロ戦争への参加を拒絶した場合日本には国連活動への支援も含めて、不参加を補うだけの実績がない」、「ドイツ独自イラク政策を採ることができたのは、アフガニスタンをはじめ、世界の各地で展開している国連PKOや多国籍軍に参加して、国際社会を納得させるだけの十分な実績を積んでいたかである。翻って日本場合多国籍軍は言うに及ばず、PKO参加もきわめて貧弱で、とても米国国際社会理解を得られるものとはいえない」と述べている(65)。

 元国連職員吉田康彦は「国連憲章の履行という点ではハンディキャップなしの「普通の国」になるべきだと確信している。(中略)安保理決議による集団安全保障としての武力行使には無条件で参加できるよう憲法の条文を明確化するのが望ましい」と述べている(66)。川端吉田の主張をまとめれば、「対米協調一辺倒を避けるため、国連PKOや多国籍軍軍事活動積極的に参加して「国際貢献」を行わなければならない。そのためには改憲しなければならない」ということになろう。民主党路線と言ってもよい。今の護憲派ジャーナリズムに、この論理反論できる可能性はない。「8」で指摘したように、対北朝鮮武力行使容認してしまえば、改憲した方が整合性があるのと同じである

 なお、佐藤は、『世界』二〇〇七年五月号に掲載された論文山川均の平和憲法擁護戦略」において、「現実国際政治の中で、山川ソ連侵略性を警戒するのであるから、統整的理念としては非武装中立を唱えるが、現実には西側の一員の日本を前提として、外交戦略を組み立てるのである。」「山川には統整的理念という、人間努力によっては到底達成できない夢と、同時にいまこの場所にある社会生活改善していくという面が並存している」と述べている。私は発刊当初この論文を一読して、「また佐藤柄谷行人への点数稼ぎをやっている」として読み捨ててしまっていたが、この「9」で指摘した文脈で読むと意味合いが変わってくる。佐藤は、「平和憲法擁護」という建前と、本音が分裂している護憲派ジャーナリズムに対して、「君はそのままでいいんだよ」と優しく囁いてくれているのだ。護憲派ジャーナリズムにとって、これほど〈癒し〉を与えてくれる恋人もいるまい(67)。

10.おわりに

 これまでの〈佐藤優現象〉の検討から、このままでは護憲派ジャーナリズムは、自民党主導の改憲案には一〇〇%対抗できないこと、民主党主導の改憲案には一二〇%対抗できないことが分かった。また、いずれの改憲案になるにしても、成立した「普通の国」においては、「7」で指摘したように、人種差別規制すらないまま「国益」を中心として「社会問題」が再編されることも分かった。佐藤沖縄でのシンポジウムで、「北朝鮮アルカイダの脅威」と戦いながら、理想を達成しようとする「現実平和主義」を聴衆に勧めている(68)が、いずれの改憲案が実現するとしても、佐藤が想定する形の、侵略植民地支配反省も不十分な、「国益」を軸とした〈侵略ができる国〉が生まれることは間違いあるまい。「自分国家主義者じゃないから、「国益」論なんかにとりこまれるはずがない」などとは言えない。先進国の「国民」として、高い生活水準や「安全」を享受することを当然とする感覚、それこそが「国益」論を支えている。その感覚は、そうした生存の状況を安定的保障する国家先進国主導の戦争積極的に参加し、南北格差固定化を推進する国家―を必要とするからだ。その感覚は、経済的水準が劣る国の人々への人種主義、「先進国」としての自国を美化する歴史修正主義の温床である

 大雑把にまとめると、〈佐藤優現象〉とは、九〇年代以降、保守派大国路線に対抗して、日本経済的地位に見合った政治大国化を志向する人々の主導の下、謝罪補償必要とした路線が、東アジア諸国民衆の抗議を契機として一頓挫したことや、新自由主義の進行による社会統合破綻といった状況に規定された、リベラル左派危機意識から生じている。九〇年代東アジア諸国民衆から謝罪補償を求める声に対して、他国の「利益のためではなく、日本私たちが、進んで過ちを正しみずから正義回復する、即ち日本利益のために」(69)(傍点ママ歴史清算を行おうとする姿勢は、リベラル内にも確かにあり、そしてその「日本利益」とは、政治大国を前提とした「国益」ではなく、侵略戦争植民地支配可能にした社会のあり方を克服した上でつくられる、今とは別の「日本」を想定したものであったろう。私たちが目撃している〈佐藤優現象〉は、改憲後の国家体制に適合的な形で生き残ろうと浮き足立リベラル左派が、「人民戦線」の名の下、微かに残っているそうした道を志向する痕跡消失もしくは変質させて清算する過程、いわば蛹の段階である改憲後、蛹は蛾となる。

 ただし、私は〈佐藤優現象〉を、リベラル左派意図的計画したものと捉えているわけではない。むしろ無自覚的、野合的に成立したものだと考えている。藤田省三は、翼賛体制を「集団転向寄り合い」とし、戦略戦術的な全体統合ではなく、諸勢力からあいもつあいがそのまま大政翼賛会に発展したからこそ、デマゴギーそれ自体ではなく、近衛文麿のようなあらゆる政治立場から期待されている人物統合象徴となったとし、「主体が不在であるところでは、時の状況に丁度ふさわしい人物実態のまま象徴として働く」、「翼賛会成立史は、この象徴人物の未分性という日本政治特質をそれこそ象徴的に示している」と述べている(70)が、〈佐藤優現象〉という名の集団転向現象においては、近衛のかわりに佐藤が「象徴」としての機能果たしている。この「象徴」の下で、惰性や商売で「護憲」を唱えているメディア、そのメディア追従して原稿を書かせてもらおうとするジャーナリスト発言力を確保しようとする学者、無様な醜態晒す本質的には落ち目思想家やその取り巻き、「何かいいことはないか」として寄ってくる政治家や精神科医ら無内容な連中、運動に行き詰った市民運動家、マイノリティ集団などが、お互いに頷きあいながら、「たがいにからあいもつれあって」、集団転向は進行している。

 ところで、佐藤は、「仮に日本国家国民が正しくない道を歩んでいると筆者に見えるような事態が生じることがあっても、筆者は自分ひとりだけが「正しい」道を歩むという選択はしたくない。日本国家同胞日本人とともに同じ「正しくない」道を歩む中で、自分が「正しい」と考える事柄の実現を図りたい」と述べている(71)。佐藤は、リベラル左派に対して、戦争に反対の立場であっても、戦争が起こってしまたからには、自国国防、「国益」を前提にして行動せよと要求しているのだ。佐藤賞賛するような人間は、いざ開戦となれば、反戦運動を行う人間異端者扱いするのが目に見えている。

 この佐藤発言は、安倍晋三首相の目指していた「美しい国」づくりのための見解とも一致する。私見によれば、安倍の『美しい国へ』(新潮新書、二〇〇六年七月)全二三二頁の本のキモは、イランでのアメリカ大使館人質事件(一九七九年)をめぐる以下の一節である。「(注・反カーター陣営の)演説会で、意外に思ったことがある。人質事件に触れると、どの候補者もかならず、「私は大統領とともにある」(I am behind the President.)というのだ。ほかのことではカーターをこきおろす候補者が、そこだけは口をそろえる。/もちろん、人質にされている大使館員たちの家族配慮するという意図からだろうが、アメリカ一丸となって事件対処しているのだ、という明確なメッセージを内外に発しようとするのである国益からむと、圧倒的な求心力がはたらくアメリカ。これこそがアメリカの強さなのだ。」(八七~八八頁)

 文中の、「人質事件」を拉致問題に、「大統領」を安倍に、「アメリカ」を日本に置き換えてみよ。含意は明白であろう。安倍は辞任したとはいえ総連弾圧をめぐる日本言論状況や、〈佐藤優現象〉は、安倍の狙いが実現したこと物語っている。安倍政権は倒れる前、日朝国交正常化に向けて動きかけた(正確には米朝協議の進展で動かされたと言うべきだが)が、こうなるのは少なくとも今年春からは明らかだったにもかかわらず、リベラル左派の大多数は、「日朝国交正常化」を公然と言い出せなかった。安倍政権北朝鮮外交に敗北したのは明らかである。だが、日本リベラル左派安倍政権ときに敗北したのである

 〈佐藤優現象〉は、改憲後に成立する「普通の国」としての〈侵略ができる国〉に対して、リベラル左派の大部分が違和感を持っていないことの表れである侵略植民地支配過去清算在日朝鮮人人権擁護も、そこには含まれる)の不十分なままに成立する「普通の国」は、普通の「普通の国」よりはるかに抑圧的・差別的侵略的にならざるを得ない。〈佐藤優現象〉のもとで、対北朝鮮武力行使の言説や、在日朝鮮人弾圧の言説を容認することは、戦争国家体制に対する抵抗感を無くすことに帰結する。改憲に反対する立場の者がたたかうべきポイントは、改憲護憲(反改憲)かではない。対北朝鮮武力行使容認するか、「対テロ戦争」という枠組み(72)を容認するかどうかである容認してしまえば、護憲(反改憲)派に勝ち目はない。過去清算も不十分なまま、札束ではたいて第三世界諸国の票を米国のためにとりまとめ、国連民主的改革にも一貫して反対してきた日本が、改憲し、常任理事国化・軍事大国化して、(国連主導ではあれ)米軍中心の武力行使を容易にすることは、東アジア世界平和にとって大きな災厄である(73)。

改憲戦争国家体制拒否したい人間は、明確に、対北朝鮮武力行使の是非、対テロ戦争の是非という争点を設定して絶対的に反対し、〈佐藤優現象〉及び同質の現象を煽るメディア知識人等を徹底的に批判すべきである

(1)岩波書店労働組合「壁新聞」二八一九号(二〇〇七年四月)。

(2)ブログ「猫を償うに猫をもってせよ」二〇〇七年五月一六日付。

(3)ただし、編集者佐藤右翼であることを百も承知の上で使っていることを付言しておく。〈騙されている〉わけではない。

(4)「佐藤優という罠」(『AERA』二〇〇七年四月二三日号)中のコメントより。

(5)インターネットサイトフジサンケイ ビジネスアイ」でほぼ週一回連載中の〈 Permalink | 記事への反応(0) | 18:37

金光翔 『<佐藤優現象批判

インパクション』第160号(2007年11月刊)掲載

目次

1.はじめに

2.佐藤優右派メディアでの主張

 (1)歴史認識について

 (2)対北朝鮮外交について

 (3)朝鮮総連への政治弾圧について

3.佐藤優による主張の使い分け

4.佐藤優へ傾倒する護憲派ジャーナリズム

5.なぜ護憲派ジャーナリズム佐藤を重用するのか?

 (1)ナショナリズム

 (2)ポピュリズム

 (3) 格差社会

 (4)「硬直した左右の二項対立図式を打破」―〈左〉の忌避

6.「人民戦線」という罠

 (1)「ファシズム政権樹立」に抗するために、人民戦線的な観点から佐藤擁護する

 (2)「論壇」での生き残りを図るために、佐藤擁護する

7.「国民戦線」としての「人民戦線

8.改憲問題と〈佐藤優現象

9.「平和基本法から佐藤優現象〉へ

10.おわりに

1.はじめに

 このところ、佐藤優という人物が「論壇」を席巻しており、リベラル左派系の雑誌から右派メディアにまで登場している。

 だが、「論壇の寵児」たる佐藤は、右派メディア排外主義のものの主張を撒き散らしている。奇妙なのはリベラル左派メディアが、こうした佐藤の振舞いを不問に付し、佐藤を重用し続けていることにある。

 佐藤による、右派メディアでの排外主義の主張の展開が、リベラル左派によって黙認されることによって成り立つ佐藤の「論壇」の席巻ぶりを、以下、便宜上、〈佐藤優現象〉と呼ぶ。この現象意味を考える手がかりとして、まずは、佐藤による「論壇」の席巻を手放しに礼賛する立場記述検討からはじめよう。例えば、『世界』の編集者として佐藤を「論壇」に引き入れ、佐藤の著書『獄中記』(岩波書店、二〇〇六年一二月)を企画編集した馬場公彦(岩波書店)は、次のように述べる。

 「今や論壇を席巻する勢いの佐藤さんは、アシスタントをおかず月産五百枚という。左右両翼の雑誌寄稿しながら、雑誌の傾向や読者層に応じて主題文体を書き分け、しかも立論は一貫していてぶれていない。」「彼の言動共鳴する特定編集者と密接な関係を構築し、硬直した左右の二項対立図式を打破し、各誌ごとに異なったアプローチ共通の解につなげていく。」「現状が佐藤さんの見立て通りに進み、他社の編集者意見交換するなかで、佐藤さんへの信頼感が育まれる。こうして出版社カラーや論壇の左右を超えて小さなリスク共同体が生まれ編集業を通しての現状打破への心意気が育まれる。その種火はジャーナリズムにひろがり、新聞社会面を中心に、従来型の検察官邸主導ではない記者独自調査報道が始まる。」「この四者(注・権力民衆メディア学術)を巻き込んだ佐藤劇場が論壇に新風を吹き込み、化学反応を起こしつつ対抗的世論公共圏形成していく。」

 馬場見解の中で興味深いのは、〈佐藤優現象〉の下で、「硬直した左右の二項対立図式」が打破され、「論壇」が「化学反応」を起こすとしている点であるある意味で、私もこの認識を共有する。だが、「化学反応」の結果への評価は、馬場と全く異なる。私は、これを、「対抗的世論公共圏」とやらが形成されるプロセスではなく、改憲後の国家体制に適合的な形に(すなわち、改憲後も生き長らえるように)、リベラル左派が再編成されていくプロセスであると考える。比喩的に言えば、「戦後民主主義体制下の護憲派が、イスラエルリベラルのようなものに変質していくプロセスと言い替えてもよい。

 以下の叙述でも指摘するが、佐藤は対朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮武力行使在日朝鮮人団体への弾圧必要性を精力的に主張している。安倍政権下の拉致外交キャンペーンや、一連の朝鮮総連弾圧に対して、リベラル左派から批判や抗議の声はほとんど聞かれなかったのは、「化学反応」の典型的ものである。「戦後民主主義」が、侵略植民地支配過去とまともに向き合わず在日朝鮮人に対してもせいぜい「恩恵」を施す対象しか見てこなかったことの問題性が、極めて露骨に出てきていると言える。〈嫌韓流〉に対して、リベラル左派からの反撃が非常に弱いことも、こうした流れの中で考えるべきであろう。

 私は、佐藤優個人は取るにたらない「思想家」だと思うが、佐藤右派メディアで主張する排外主義を、リベラル左派容認・黙認することで成り立つ〈佐藤優現象〉は、現在ジャーナリズム内の護憲派問題点を端的に示す、極めて重要な、徴候的な現象だと考える。

 馬場は、佐藤が「左右両翼の雑誌寄稿しながら、雑誌の傾向や読者層に応じて主題文体を書き分け、しかも立論は一貫していてぶれていない」などと言うが、後に見るように、佐藤は、「右」の雑誌では本音を明け透けに語り、「左」の雑誌では強調点をずらすなどして掲載されるよう小細工しているに過ぎない。いかにも官僚らしい芸当である佐藤自身は自ら国家主義であることを誇っており、小谷野敦言葉を借りれば、「あれ(注・佐藤)で右翼でないなら、日本右翼なんか一人もいない」。

 佐藤が読者層に応じて使い分けをしているだけであることは誰にでも分かることであるし、事実ウェブ上でもブログ等でよく指摘されている。そして、小谷野の、この現象が「日本知識人層の底の浅さが浮き彫りになった」ものという嘲笑も正しい。だが、改憲派の小谷野と違い、改憲を阻止したいと考える者としては、この現象について、佐藤優に熱を上げている護憲派を単に馬鹿にするだけではなく、〈佐藤優現象〉をめぐって、誰にでも浮かぶであろう疑問にまともに答える必要がある。なぜ、『世界』『金曜日』等の護憲派ジャーナリズムや、斎藤貴男魚住昭のような一般的には「左」とされるジャーナリストが、佐藤に入れ込んでいるのか? なぜ、排外主義を煽る当の佐藤が、『世界』『金曜日』や岩波書店朝日新聞出版物では、排外主義ナショナリズムの台頭を防がなければならない、などと主張することが許されているのか?

 この〈佐藤優現象〉はなぜ起こっているのか? この現象はどのようなことを意味しているのか? どういう帰結をもたらすのか? 問われるべき問題は何か? こうした問いに答えることが、改憲を阻止したいと考える立場の者にとって、緊急の課題であると思われる。

2.佐藤優右派メディアでの主張

 まず、佐藤排外主義的主張のうち、私の目に触れた主なものを挙げ、佐藤排外主義者としての活躍振りを確認しておこう。

(1)歴史認識について

 佐藤は言う。「「北朝鮮が条件を飲まないならば、歴史をよく思いだすことだ。帝国主義化した日本ロシアによる朝鮮半島への影響力を巡る対立日清戦争日露戦争引き起こした。もし、日本ロシアが本気になって、悪い目つきで北朝鮮にらむようになったら、どういう結果になるかわかっているんだろうな」という内容のメッセージ金正日に送るのだ」。朝鮮植民地化に対する一片の反省もない帝国主義者そのもの発言である。また、アメリカ議会における慰安婦決議の件に関しても、「事実誤認に基づく反日キャンペーンについて、日本政府がき然たる姿勢反論することは当然のことだ。」と述べている。

 特に大川周明テクスト佐藤解説から成る日米開戦真実大川周明著『米英東亜侵略史』を読み解く』(小学館、二〇〇六年四月)では、極めて露骨に、日本近現代史に関する自己歴史認識開陳する。以下、引用する。佐藤が自説として展開している部分である

 「日本人は(注・太平洋戦争)開戦時、少なくとも主観的には、中国アメリカイギリスによる植民地支配から解放したいと考えていた。しかし、後発資本主義である日本には、帝国主義時代の条件下で、欧米列強植民地になるか、植民地を獲得し、帝国主義国となって生き残るかの選択肢しかなかった。」(三頁)、「「大東亜共栄圏」は一種棲み分け理論である日本人はアジア諸民族との共存共栄真摯に追求した。強いて言えば、現在EUを先取りするような構想だった。」(四頁)、「あの戦争を避けるためにアメリカ日本妥協を繰り返せば、結局、日本アメリカ保護国、準植民地となる運命を免れなかったというのが実態ではないかと筆者は考える。」(六頁)、「日本武力によって、列強による中国の分裂が阻止されたというのは、日本人の眼からすれば確かに真実である。(中略)中国人の反植民活動家の眼には、日本列強とともに中国を分割する帝国主義国の一つと映ったのである。このボタンの掛け違いにイギリスアメリカはつけ込んだ。日本こそが中国植民地化と奴隷支配を目論む悪の帝国であるとの宣伝工作を行い、それが一部の中国政治家と知的エリートの心を捉えたのである。」(二八一頁)。また、蒋介石政権については、「米英の手先となった傀儡政権」(二五七頁)としている。他方、佐藤は、汪兆銘南京国民政府は「決して対日協力の傀儡政権ではなかった」(二四九頁)とする。

 右翼たる佐藤面目躍如たる文章である。ちなみに、こんな大東亜戦争肯定論の焼き直しの本を斎藤貴男は絶賛し、「大川こそあの時代知の巨人・であったとする形容にも、大川の主張そのものにも、違和感を抱くことができなかった」としている。

(2)対北朝鮮外交について

 佐藤は、「拉致問題解決」を日朝交渉大前提とし、イスラエルによるレバノン侵略戦争も「拉致問題解決」として支持している。「イスラエル領内で勤務しているイスラエル人が拉致されたことは、人権侵害であるとともにイスラエル国権侵害でもある。人権国権侵害された事案については、軍事行使も辞せずに対処するというイスラエル政府方針を筆者は基本的に正しいと考える」。さらに、現在北朝鮮ミュンヘン会談時のナチス・ドイツに準えた上で、「新帝国主義時代においても日本国家日本人が生き残っていける状況を作ることだ。帝国主義選択肢には戦争問題解決することも含まれる」としている。当然佐藤にとっては、北朝鮮の「拉致問題解決」においても、戦争視野に入っているということだ。『金曜日』での連載においても、オブラートに包んだ形ではあるが、「北朝鮮に対するカードとして、最後には戦争もありうべしということは明らかにしておいた方がいい」と述べている(10)。

 さらに、アメリカが主張してきた北朝鮮米ドル札偽造問題が、アメリカ自作自演だった可能性が高いという欧米メディア報道に対して、佐藤は「アメリカ政府として、『フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング』の記事に正面から反論することはできない。なぜなら、証拠を突きつける形で反論するとアメリカ情報源情報収集能力が明らかになり、北朝鮮を利してしまうからだ」(11)と、いかなる反証根拠も示さずに(反証必要性を封じた上で)、「北朝鮮情報操作」と主張しているが、この主張は、保守派原田武夫にすら否定されている(12)。佐藤現在右派メディアの中でも最も「右」に位置する論客の一人であると言えよう。

(3)朝鮮総連への政治弾圧について

 佐藤は、「在日団体への法適用拉致問題動く」として、「日本政府朝鮮総連経済活動に対し「現行法の厳格な適用」で圧力を加えたことに北朝鮮逆ギレして悲鳴をあげたのだ。「敵の嫌がることを進んでやる」のはインテリジェンス工作の定石だ。/政府が「現行法の厳格な適用」により北朝鮮ビジネス利益を得ている勢力牽制することが拉致問題解決のための環境を整える」と述べている(13)。同趣旨の主張は、別のところでも述べている(14)。「国益」の論理の下、在日朝鮮人の「人権」は考慮すらされてない。

 漆間巌警察庁長官(当時)は、今年の一月一八日の会見で、「北朝鮮が困る事件摘発拉致問題解決に近づける。そのような捜査に全力を挙げる」「北朝鮮日本交渉する気にさせるのが警察庁仕事。そのためには北朝鮮資金源について事件化し、実態を明らかにするのが有効だ」と発言しているが、佐藤発言はこの論理と全く同じであり、昨年末から激化を強めている総連系の機関民族学校などへの強制捜索に理論根拠提供したように思われる。佐藤自身も、「法の適正執行なんていうのはね、この概念ができるうえで私が貢献したという説があるんです。『別冊正論』や『SAPIO』あたりで、国策捜査はそういうことのために使うんだと書きましたからね。」と、その可能性を認めている(15)。

3.佐藤優による主張の使い分け

 排外主義者としての佐藤の主張は、挙げ出せばきりがない。前節で挙げたのも一例に過ぎない。では、佐藤は、こうした主張を『世界』『金曜日』でも行っているのだろうか。

 佐藤が仮に、「左」派の雑誌では「右」ととられる主張を、「右」派の雑誌では「左」ととられる主張をすることで、「硬直した左右の二項対立図式を打破」しているならば、私も佐藤をひとかどの人物と認めよう。だが、実際に行われていることは、「左」派メディアでは読者層の価値観に直接抵触しそうな部分をぼかした形で語り、「右」派メディアでは本音を語るという下らない処世術にすぎない。「左右の二項対立図式」の「打破」は、「左」の自壊によって成り立っているのだ。佐藤が『金曜日』と右派メディアで同一のテーマを扱った文章を読み比べれば、簡単にそのことはわかる。

 一例として、米国下院での「慰安婦」決議に関する佐藤の主張を読み比べてみよう。産経新聞グループサイト上での連載である地球を斬る〉では、「慰安婦問題をめぐるアメリカ報道を「滅茶苦茶」と非難し、「慰安婦問題に関する二〇〇七年三月一日の安倍発言についても「狭義の強制性はなかった」という認識なのだから正当だとして、あたかも「慰安婦」決議案自体不正確な事実に基づいたものであるかのような印象を与えようとしている(16)。ところが、『金曜日』では、こうした自分の主張は述べず、国権論者としての原則的立場から日本政府謝罪には反対だとしている(17)。なお、『金曜日』の同文章では「歴史認識を巡る外交問題 Permalink | 記事への反応(1) | 18:32

2023-11-30

右派ナショナリストなのでナ派、左派社会主義なのでドイツ語のゾチアからチ派

連合させたらナチになるのでどちらかだな

2023-10-19

anond:20231019232745

例えば子供の頃に聞いた祖父母の話す方言継承したい気持ちを〈方言コスプレ〉だとか言われたらキレてもいいと思う。

そういうことを言う増田のような言語文化ナショナリストがこの世からいなくなりますように。

2023-06-12

anond:20230611231950

ネットならナショナリスト演じないと危ないみたいな話を見聞きするけどね。

2023-05-23

なぜはてサは「世界の」リベラル退潮を認められないのか

はてサが好きそうな、はてなブログ記事はてブリンクで、いっぱい読んできたはずじゃない?

 

ナショナリズムポピュリズム欧米で台頭だの

ポリコレ金持ちで広まって、反ポリコレ一般層で広まる階級闘争だの

某国左派右派拮抗してどうのだの、どっちから大統領が出ただの

 

なんでそういうの踏まえずに、すぐに「日本ネトウヨ」とかいう前提から日本社会状況だけの分析を書き散らすかね。

世界で起きてて日本はその一つにすぎないんだってば。

お前らが一番日本けが特別と思ってるナショナリストだろ実は

 

2023-02-18

王道スニーカー

adidas

スタンスミス言わずもがな ABCモデルに差をつけろ

スーパースター:同上

BW ARMY:発売が不定期だけどデザイン王道 ドイツ会社が作ったジャーマンなんだから「本物」に違いない

サンバ:BWよりもadidas感を出したいならこっち

カントリーコルテッツに逆張れ

キャンパススエードだしチャリ乗ったりスケシューにするのに向いてる

NIKE

AF1:言わずもがな ミーハーとも言わせないほどの王道

AJ1:スニオタ感が出なければ上級者!

ダンク:ややブーム過ぎ BY YOUは相変わらず人気なのかな

エアマックス95:横から見たシルエットがかっこいい!上からは……

インターナショナリスト:NB574のNロゴが嫌なNIKE狂にはこれ!

・NewBalance

574:プアマンズ996

992:501とイッセイのハイネックでジョブズになれ!

996最近のシュッとした900番代で忘れがちなNBらしいNB こういうのでいいんだよこういうので

2002R:最近流行ってる!プアマンズ992

Reebok

クラブC:マルジェラともちょいちょいコラボしてる名作 影薄し

ポンプフューリー最近あんま見ない シュコシュコやってみたい!

Converse

CT70:ヘイト企業伊○忠を許すな

2023-02-05

教育大事

まだ「国力ガー」、「国家ガー」、「少子化ガー」、「国益ガー」、「防衛ガー」と言っている人を見ると「未だ国民国家的な世界観で生きてるんだ⁈」とびっくりする。学位を持ってる人でもその有様。私も両親も友人もみんな宇宙船地球号世界市民主義者から国民国家とかナショナリズムなんて幻想だと思ってた。やはり、劣悪な教育や家庭環境が人をナショナリストにするんだろうか。

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