天皇陛下と皇后陛下が3日から17日までの日程でカナダと米ハワイ州を訪問されている中、陛下の外国訪問中に衆院解散が可能かどうかが論じられている。解散は天皇の国事行為(憲法第7条)だが、麻生太郎首相(68)や河村建夫(たけお)官房長官(66)は皇太子殿下が代行されるため問題はないとの認識を表明した。だが、外国訪問でご不在中の解散は、天皇陛下を軽んじるものと受け取られかねない。解散のタイミングを図ることは所詮(しょせん)、権力闘争の一つにすぎないからだ。 権威は歴史に由来するところが大きい。私たちの世代もまた未来からみて歴史を紡(つむ)ぐ存在だ。過去の日本人が歴代の天皇を重んじてきたように、麻生首相を含む現代の国民にも、国民統合の象徴である天皇の権威を大切にし、培っていく責務がある。それが日本の長期的な安定にもつながっていく。この辺りの感覚の不足が、多くの現役政治家の言動を軽いものと感じさせる一