【ブエノスアイレス=福田涼太郎】2020年夏季五輪の東京開催が決まった7日夕(日本時間8日早朝)は、東京都の猪瀬直樹知事(66)にとって、特別な日だった。7月に65歳で急逝した妻、ゆり子さんの四十九日。最終プレゼンテーションに臨む前には、ホテルの部屋でゆり子さんの写真に、「勝たせてほしい」と、そっと手を合わせた。 「(妻と)一緒に戦っているつもりでやる」 ゆり子さんの遺影を収めた銀色のペンダントを胸に忍ばせた。招致レースをともに駆け抜けてきた“戦友”。開催都市が発表される瞬間もペンダントを握りしめ、決定後、記者から「奥様に報告は」と問われると、「ここにいるよ」とペンダントを指した。 「松明(たいまつ)の火は消さない」 石原慎太郎前知事が平成23年6月、都議会の所信表明でこう語り、2016年に続く、2020年夏季五輪の招致レースが本格的に幕を開けた。昨年12月に就任した猪瀬知事はその灯火を高